小売業では、日々多くの商品が入荷や販売によって動くため、帳簿上の在庫数と実際の在庫数に差が生じる場合があります。
正確な在庫状況を把握し、欠品や過剰在庫を防ぐために重要な作業が棚卸です。
棚卸を適切に行えば、在庫差異の発見だけでなく、仕入れや販売計画の改善にもつなげられます。
一方で、商品数が多い小売業では棚卸に時間がかかり、通常業務へ影響することも少なくありません。
小売業の棚卸の目的や方法、小売業の棚卸で起こりやすい課題、小売業の棚卸を効率化するためのポイントを解説します。
小売業の棚卸とは
小売業の棚卸とは、店舗や倉庫などに保管されている商品を実際に確認し、数量や状態を把握する作業です。
確認した実在庫と帳簿や在庫管理システムに記録されている在庫数を照合し、差異がある場合は原因を確認します。
小売業では、商品の販売や返品、入荷、店舗間移動、破損、廃棄などによって日々在庫が変動します。
すべての動きを正確に記録しているつもりでも、入力漏れや商品の数え間違い、処理の遅れなどによって在庫差異が発生することがあります。
棚卸によって実在庫を定期的に確認することで、管理上の在庫情報を正しい状態へ修正できます。
また、売れ残っている商品や破損した商品などを発見する機会にもなるため、在庫管理全体を見直すうえで重要な作業です。
小売業で棚卸が重要な理由
小売業では、正確な在庫情報が仕入れや販売、発注などさまざまな業務の判断材料になります。
小売業で棚卸が重要な理由を解説します。
実際の在庫数を正確に把握できる
棚卸を行うことで、店舗や倉庫に実際に何の商品が何点あるのかを確認できます。
帳簿上では在庫があることになっていても、実際には販売済みや紛失などによって商品が存在しない場合があります。
実在庫を正確に把握できなければ、顧客から注文を受けた後に商品がないことが判明するなど、販売業務にも影響します。
定期的な棚卸によって実在庫を確認し、在庫情報の精度を維持することが重要です。
帳簿在庫との差異を確認できる
棚卸では、実際に数えた商品数と帳簿上の在庫数を比較します。
数量が一致していない場合は、入出庫の記録漏れや返品処理のミス、破損や紛失などの原因が考えられます。
在庫差異を確認することで、単に数字を修正するだけではなく、日常の在庫管理に問題がないかを見直せます。
差異が発生する原因を特定して業務フローを改善すれば、在庫情報の正確性を高めることにつながります。
欠品や過剰在庫を把握しやすくなる
在庫情報が正確でなければ、商品の不足や余剰を正しく判断できません。
実際には商品が少ないにもかかわらず帳簿上では十分な在庫がある場合、必要な発注が遅れて欠品する可能性があります。
反対に、実在庫より帳簿上の在庫数が少なければ、不必要な追加発注によって過剰在庫を抱える可能性があります。
棚卸によって正確な数量を把握することが、欠品と過剰在庫の両方を防ぐために重要です。
適切な仕入れや販売計画につなげられる
仕入れや販売計画を立てる際は、現在どれだけ在庫が残っているのかを正確に把握する必要があります。
在庫情報に誤りがあると、販売実績を分析しても適切な仕入れ量を判断できません。
棚卸によって正しい在庫数を把握できれば、売れ筋商品の追加発注や売れ残っている商品の仕入れ抑制などを判断しやすくなります。
在庫情報の正確性を維持することは、売上や利益を意識した仕入れ計画にもつながります。
小売業で行われる棚卸の方法
棚卸には複数の方法があり、店舗の規模や商品数、営業形態などによって適した方法が異なります。
小売業で行われる棚卸の方法を紹介します。
一斉棚卸
一斉棚卸は、決められた日時にすべての商品をまとめて確認する方法です。
決算時や月末などに店舗や倉庫全体の在庫を一度に数え、帳簿在庫と照合します。
すべての商品を同じタイミングで確認できるため、在庫全体の状況を把握しやすい点が特徴です。
一方で、商品数が多い店舗では多くの人員と時間が必要になり、営業時間の短縮や出荷停止など通常業務への影響が発生する場合があります。
循環棚卸
循環棚卸は、商品や棚を複数のグループに分け、一定の周期で順番に棚卸を行う方法です。
たとえば、毎週異なる商品カテゴリーを確認し、一定期間ですべての在庫を確認します。
一度に確認する商品数を減らせるため、棚卸作業を分散できます。
通常業務への影響も抑えやすい一方で、計画的に継続して実施するためのルール作りが必要です。
実地棚卸
実地棚卸は、実際に店舗や倉庫にある商品を目視やスキャンなどによって確認し、数量を数える作業です。
帳簿やシステム上の数字だけで判断せず、現物を確認する点が特徴です。
商品数だけでなく、破損や汚れ、期限切れなど商品の状態を確認できる場合もあります。
正確な在庫情報を維持するためには、実際の商品を確認する実地棚卸が重要です。
小売業の棚卸で起こりやすい課題
小売業ではSKU数が多く、棚卸の方法が整備されていない場合は、作業負担やミスが大きくなる可能性があります。
小売業の棚卸で起こりやすい課題を解説します。
商品のカウントに時間がかかる
商品数が多い店舗では、棚に並んだ商品やバックヤードの在庫を一つずつ数えるだけでも多くの時間が必要です。
サイズやカラーなどによって商品が細かく分かれている場合は、似た商品を識別しながら数量を確認する必要があります。
棚卸に時間がかかるほど、多くの従業員を作業に配置しなければならず、人件費や業務負担も増加します。
棚卸頻度を下げるだけでは在庫差異を発見する機会も減るため、作業方法そのものを効率化する必要があります。
数え間違いや入力ミスが発生する
目視で商品を数えて紙に記録し、後からExcelなどへ入力する方法では、数え間違いや転記ミスが発生する可能性があります。
商品コードの入力を誤ると、別商品の在庫として処理される場合もあります。
ミスが多いと再確認が必要になり、棚卸にさらに時間がかかります。
人的ミスを減らすためには、手入力する工程を減らし、商品を正確に識別できる仕組みを取り入れることが重要です。
店舗と倉庫の在庫情報に差異が生じる
複数店舗や倉庫で商品を保管している場合、拠点ごとに異なる方法で在庫を管理すると、情報に差が生じやすくなります。
店舗から倉庫への返品や店舗間の在庫移動を正しく記録していない場合も、在庫差異の原因になります。
拠点ごとに管理表を分けていると、全体の在庫状況を確認するために複数の情報を集計する必要があります。
拠点をまたいだ在庫移動まで含めて管理できる仕組みが必要です。
棚卸中に通常業務へ影響が出る
棚卸中に商品が販売されたり入荷したりすると、カウントした数量と実在庫が変わる可能性があります。
そのため、棚卸中は販売や入出庫を一時的に停止する店舗もあります。
営業を停止すれば売上に影響する可能性があり、営業時間外に棚卸を行えば従業員の負担が増えます。
棚卸時間を短縮し、通常業務への影響をできるだけ小さくすることが重要です。
小売業の棚卸を効率化するポイント
棚卸を効率化するためには、棚卸当日の作業だけではなく、日常の在庫管理方法を見直す必要があります。
小売業の棚卸を効率化するポイントを解説します。
商品や棚の配置ルールを統一する
商品を置く場所が担当者ごとに異なると、棚卸の際に同じ商品を探す時間が増えます。
カテゴリーや商品コードなどに基づいて保管場所を決め、誰でも商品の位置を把握できる状態にすることが重要です。
棚やエリアに番号を設定してロケーションを管理すれば、確認する順番も決めやすくなります。
数え漏れや同じ棚を重複して確認するミスの防止にもつながります。
バーコードやQRコードを活用する
商品に付いているバーコードや管理用のQRコードを利用すれば、商品コードを手入力する作業を減らせます。
コードを読み取って商品を識別できるため、類似商品の取り違えや入力ミスを防ぎやすくなります。
棚卸時にスマートフォンなどでコードを読み取って数量を登録できる仕組みを利用すれば、紙に記録してからデータを転記する工程も削減できます。
作業時間の短縮だけでなく、棚卸結果の正確性向上にもつながります。
棚卸の手順を標準化する
担当者によって棚卸の方法が異なると、確認漏れや重複作業が発生しやすくなります。
棚を確認する順番や数量の数え方、差異が見つかった場合の対応方法などを事前に決めておくことが重要です。
作業手順をマニュアル化すれば、経験の少ない従業員でも同じ方法で棚卸を進めやすくなります。
棚卸後に発生したミスや課題を振り返り、手順を継続的に改善することも必要です。
在庫情報をリアルタイムで更新する
棚卸時だけ在庫数を確認していても、日々の入出庫記録に漏れがあれば再び在庫差異が発生します。
入荷や販売、返品、廃棄、在庫移動が発生したタイミングで在庫情報を更新することが重要です。
日常的に在庫情報の精度を維持できれば、棚卸時に大きな差異が発生する可能性を抑えられます。
在庫管理システムなどを活用し、現場から在庫情報を更新できる環境を整えることも棚卸の効率化につながります。
小売業の棚卸を効率化するならzaico
小売業の棚卸では、多くの商品を短時間で正確に確認する必要があります。
紙やExcelを中心とした管理では、商品のカウントだけでなく、記録や転記、集計にも時間がかかり、数え間違いや入力ミスが発生する可能性があります。
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