企業の防災備蓄とは?必要な理由や備蓄の目安、管理方法を解説

2011年に起きた東日本大震災では、大勢の帰宅困難者が出ました。
首都圏の広い地域に停電が起こり、電車は止まり、道は徒歩帰宅者と車で行き帰りする人で溢れ、交通機能が一時パニック状態となった当時の様子を思い出す方は多いでしょう。

東京都ではこれを教訓に2012年に「東京都帰宅困難者対策条例」を制定、2013年4月に施行しました。この条例では事業者(企業・団体)にも通達が行われ、大規模災害が発生した場合、事業者は「従業員の一斉帰宅を抑えること」、「従業員の3日分の飲料水や食糧の他、災害時に必要となる物資を備蓄するよう努めること」が義務付けられました。

こうした行政の取り組みを受けて、大規模災害に対する危機意識を持って防災備蓄への取り組みを強化する企業は着実に増えてきています。今回は、企業としてどのように防災備蓄を進めていけばよいかについて見ていきたいと思います。

 

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防災備蓄が必要な理由

企業において防災備蓄が必要な理由として、真っ先に挙げられるのは、「企業は従業員の安全を確保する責任がある」という点です。大規模災害が起こった場所では、そこで多くの人々が命の危険に晒されることになります。企業はその社会的責任から都道府県、市区町村などの行政機関と連携し従業員始め周囲の人々の安全管理に努めていく立場にあります。
首都圏で大規模災害が発生した場合、鉄道・地下鉄は運行停止となることが見込まれます。一方で災害によって被害を受ける怪我人や病院患者などが多数発生し、数日間は行政主導で救助救出・消火活動などの応急対策活動が行われることが予想されます。
この応急対策活動を優先すべく、行政機関では企業に対して、「大災害後の一斉帰宅をしてはいけないこと」を通達しています。となると企業は従業員にとって一時の生活の場となるわけです。こうした場合に備え、企業では従業員が社内で生活ができる分の飲料水や食糧の他、災害時に必要となる物資を確保しておくことが求められているのです。

(参考1)内閣府「大規模地震の発生に伴う 帰宅困難者対策のガイドライン」
http://www.bousai.go.jp/jishin/kitakukonnan/pdf/kitakukonnan_guideline.pdf
(参考2)東京都帰宅困難者対策条例 第六条
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/001/369/202008.pdf

防災備蓄の目安

内閣府では、首都圏で大規模災害が発生した場合、鉄道・地下鉄は少なくとも3日間は運行停止状態になると見込んでいます。したがって災害発生から3日間は、行政による救助救出・消火活動などの応急対策活動が優先されるため、その期間は一斉帰宅をしてはいけないことを内閣府は定めています。こうしたことから企業は従業員が3日間社内で生活ができる分の飲料水や食糧の他、災害時に必要となる物資を備蓄することが求められています
内閣府が発行している「大規模地震の発生に伴う 帰宅困難者対策のガイドライン」では備蓄品3日分の数量目安として以下のような例示をしています。

  • 水――1人当たり1日3リットル、計9リットル
  • 主食――1人当たり1日3食、計9食
  • 水や食料の選択に当たっては、賞味期限に留意する必要あり
  • 毛布――1人当たり1枚
  • その他――物資ごとに必要量を算定

 

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必要な防災備蓄品は?

先ほど簡単に3日分の備蓄量の目安についてご紹介しましたが、では実際に必要な防災備蓄品とこれらの備蓄品をどれくらい確保しておけばよいかについて詳しく見ていきたいと思います。

水は1人当たり1日3リットル、3日の9リットルの消費を目安にするとよいでしょう。
防災備蓄用の水として適しているのは「保存水」とよばれる長期保存可能な水です。保存水はミネラルウォーターと違い、殺菌処理を入念に行っており、5~10年の保存が可能となっています。
水の購入については、ペットボトル2リットル容器はコストパフォーマンスがよいのですが重くて持ち運びに適さないという弱点があります。一方、500ミリリットルボトルは持ち運びが便利で衛生的にも優れているというメリットがありますが、コスパは悪くなります。

食料品

主食は1人当たり1日3食、3日分で9食を目安にするとよいでしょう。長期保存が可能で簡単な調理に食べられるアルファー米、クラッカー、乾パン、カップ麺などが備蓄用の主食品として適しています。
また、ツナ、サバ、イワシなどの魚やコンビーフなどの缶詰は長期保存が可能で、タンパク質もしっかり摂ることができるので備蓄品に適しています。また、缶入りの野菜ジュースも長期保存が可能で、ビタミン・ミネラルの補給ができるので備蓄品に適しています。
とはいえこれらの缶詰食品も3年ほどで賞味期限を迎えますので、交換のタイミングは気にかけておきましょう。

毛布

内閣府の「大規模地震の発生に伴う 帰宅困難者対策のガイドライン」で毛布は1人当たり1枚としています。睡眠時に暖を取るために毛布が必要なのは言うまでもありませんが、現実問題として毛布を従業員の人数分用意するのは無理ではないかとつい考えてしまいますね。でも非常用防災用品として販売されている、圧縮フリースやアルミブランケットなどは真空パックで小さく折り畳まれており、パック時の厚みは数センチ程度(圧縮時厚さ2センチと言うマットもあります)と非常にコンパクトです。こうした圧縮毛布では数を揃えても意外に保管スペースを必要としません。

医薬品

災害発生時は病院・クリニックなどの医療機関に訪れる人数が激増します。薬局やドラッグストアにも医薬品を買い求める人が殺到し、医薬品の入手が困難になることが十分に予想されます。
防災備蓄品として医薬品もぜひ加えておきましょう。常備すべき医薬品としては、胃痛や食あたり、下痢、便秘などに効く胃腸薬や整腸薬、熱や痛みを抑える解熱鎮痛薬、かゆみ止めなど緊急時の助けになるようなものがよいでしょう。
また切り傷を負ったときなどに使う救急ばんそうこう、筋肉痛、関節痛、捻挫などの痛みを緩和する湿布薬なども備蓄しておくとよいでしょう。

衛生用品

災害時には水道が止まり、トイレが使えなくなる、衣服の洗濯や食器の洗浄などができなくなるなどの困難が生じ衛生環境も低下していきます。こうした非常事態に備え、非常用の簡易トイレ、トイレットペーパー、生理用品、マスク、除菌ウェットティッシュなどを備蓄しておきましょう。
簡易トイレの備蓄量の目安は、1人当たり1日5回×3日分で15セット程度になります。簡易トイレは「とりあえず買ったけど使い方がわからない」というケースに陥りがちなので、きちんと説明書を読み、使い方、後処理の仕方などをきちんと把握しておくようにしましょう。

その他

災害時には水道だけでなく、電気、ガスなども使えなくなるおそれがあります。夜中、光源がなく暗い状態でも最低限の活動ができるよう懐中電灯と乾電池も備蓄しておくとよいでしょう。
また、頭上の落下物等から身を守るヘルメット、手指を使った諸作業の安全性を高める軍手なども用意しておきましょう。
あたたかい食事を摂るためには熱源も必要になります。携帯用ガスコンロやガスボンベも常備品リストに加えましょう。
ビニールシート等は座るために敷くという用途のみならず、雨漏り被害を避けるために被せて使うなどの使いみちがあるので備えておくと何かと便利です。
生活情報や交通情報などが入手できるよう携帯用ラジオも常備しておきましょう。

防災備蓄品を管理する方法

防災備蓄品の管理担当者は防災備蓄品をリスト化して、これらの在庫数や賞味期限を把握・管理することが重要な役割となります。
ちなみに備蓄食料品の管理では「ローリングストック」という方法が注目されています。
これは食品を賞味期限の古いものから消費していき、消費した分を買い足すことで常に一定量の食品が備蓄されているように保っていく方法です。
保存水は5~7年、缶詰は3年程度の賞味期限が設けられています。これらの食料品の賞味期限をチェックしながら、消費、備蓄のサイクルを作り、社内備蓄品の規定量をコントールしていくとよいでしょう。

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