監査という言葉を聞いたことがある人は多いと思いますが、具体的にはどういったことを意味するのか分からない人もいるのではないでしょうか。
監査というのは“会社の公表している情報が正しいか第三者が確認し意見を述べること”をいいます。
その中で、特に会計監査は利害関係者の信頼に関わるため重要で、会社法や金融商品取引法に記載されている条件を満たしている企業は受けることが義務付けられています。
そこで、会計監査の意味やその種類、会計監査のタイミング、監査の必要性などについて詳しく説明していきます。
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目次
会計監査とは?
会計監査とは、会社が作成した財務諸表が正しいかを確認するための監査です。
会計監査を受けることは法律によって義務付けられており、会社法や金融商品取引法法律によってどのような企業が受けなければならないのか規定されています。
また、会計監査を行うのは、公認会計士が所属する監査法人です。
では、会計監査について説明する前に、「会計」と「監査」とは何かについて詳しく見ていきましょう。
会計とは
まず、会計について大きく分けると、財務会計と管理会計があります。
財務会計というのは企業の利害関係者に対して、財務状況を報告するためのものです。
具体的には財務諸表を作成し、公表することで、利害関係者に報告を行います。
これは、実施することが法律で義務付けられています。
一方、管理会計というのは、会社の意思決定のために行うものです。
これは、特に法律で義務付けられているわけではありませんし、財務諸表のように、決まったフォーマットがあるわけでもありません。
このように、会計には2種類がありますが、会計監査の対象となるのは主に財務会計になります。
監査とは
監査というのは、冒頭にも少し触れましたが、“会社の公表している情報が正しいか第三者が確認し意見を述べること”でした。
そして、この企業の受ける監査には大きく分けて、3種類あります。
以下、その3種類について説明します。
内部監査
1つ目が内部監査です。
内部監査というのは、企業の内部の人間が行う監査です。
企業で任命された監査室や内部統制室といった内部監査部門や内部監査人が監査を行い、職場内で法令や社内規定がしっかり守られているかをチェックします。
この内部監査では、
- 業務活動がしっかり文章化されているか?
- その文章通りに作業が行われているか?
- 適正に作業が行われているかをどのように確認しているか?
ということなどもチェックされます。
そして、監査結果については経営者や取締役会で報告する必要があり、1年間の内部監査の結果を“内部監査報告書”にまとめて報告します。
この内部監査報告書を作成することが内部監査の最終的な目標となります。
内部統制監査
次に、内部統制監査です。
こちらは企業の行った内部統制の結果に対して、監査人がチェックを行い、意見を言うものになります。
内部統制というのは、企業の目標を達成するために従業員が守るべきルールや仕組みのことです。
内部統制の基準については、金融庁が定めているので、その基準に合うように企業内でルールや仕組みを構築する必要があります。
その中で、内部統制の目標についても触れており、以下の4つが挙げられています。
- 業務の効率を高める
- 財務関連情報に信頼性を持たせる
- 法令の遵守
- 資産を適切に管理・活用する
これらの内部統制がしっかりできているか、企業内の部門や担当者によりチェックされます。
そのチェックした内容を外部の監査人が確認し、意見を言うのが内部統制監査です。
外部監査
外部監査というのは、社外の人間が会社の監査を行うものです。
主に、監査を行うのは、監査法人や独立した会計士などです。
この外部監査は主に企業の財務諸表が適切に作成されているかを確認する会計監査と同じ意味で使われます。
また、先に説明した内部統制監査も企業内の人間により行われるので、外部監査の一種と言えます。
外部監査は受けることが法律で義務付けられており、会社法や金融商品取引法などで、対象となる会社が規定されています。
外部監査をしっかり義務付け、実施することで、会社で行われている業務や作成される財務諸表などの透明性を証明することにもつながります。
その結果、利害関係者を守ることや信頼関係の向上にもつながります。
会計監査の種類
会計監査は法律で受けることが義務付けられていることは先に少し述べました。
会計監査は規定される法律によって、大きく以下の3種類に分けることができます。
①会社法に基づく監査
会社法に基づく会計監査は、下記の3つのどれかに当てはまる会社が会計監査の対象となります。
- 大会社(会328条 第1項・第2項)
- 監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社(会327条第5項)
- 会計監査人の任意設置を行った会社(会326条第2項)
ちなみに、大会社というのは会社法によると、“資本金5億円以上、または負債200憶円以上の会社”(会社法第2条6号)と定められています。
②金融商品取引法に基づく監査
金融商品取引法に基づく会計監査は上場企業に対して、義務付けられています。
上場企業とは証券取引所において株式が公表されている企業の事を指します。
ちなみに、金融商品取引法では、上場企業に対しては会計監査のほかに、内部統制監査も義務付けています。
③その他の法令に基づく監査
その他の法令に基づく監査については、学校法人や独立行政法人、社会福祉法人に対して行われるものがあります。
会計監査のタイミングと内容
会計監査を実施するとなった場合、監査人は1年間どのように監査をするのか、計画を立てます。
監査の内容によっては、監査のタイミングが異なりますので、監査時期とそれぞれの内容について、以下に説明していきます。
期中の会計監査
期中の会計監査では、主に内部統制に関することを調査されます。
実際の監査では、従業員への聞き取りや、関連する書類の確認が行われます。
例えば、製造業の調達課の従業員がある製品を発注するのに、どのように金額を決定し、上司の承認をもらっているのかなどを具体的に確認します。
そして、その中で間違った手配などがされないような仕組みになっているかということまでチェックされます。
そのため、各従業員にまで内部統制の内容がしっかりと浸透して、理解されていることが大切です。
期末の会計監査
期末の時点で行われる会計監査の内容は、ズバリ、決算の内容が正しいかどうかの確認です。
決算書や仕訳帳、勘定科目の内訳などから、勘定科目と金額の妥当性を調査されます。
さらに、会社が公開する財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)の内容に間違いがないのかをチェックされます。
その為、監査を受ける会社側は、決算書や仕訳帳・勘定科目の内訳などを提出する必要があります。
その他にも、固定資産の仕入れなど金額が大きい物の場合は、監査人の判断によって、契約書や請求書の提出を求められることがあります。
その他の会計監査
上記の監査の他に監査人の判断によって、会社に訪問して監査を実施することがあります。
例えば、監査人が経営者や監査役などのとの面談を行ったりすることがあります。
これらの監査の時には株主総会の議事録や取締役会の議事録、稟議書などの提出を求められることがあります。
ただし、期中や期末の監査時よりも提出する書類は少ないので、準備にはそれほど時間は取られません。
他にも会社の行う棚卸へ立ち会うこともあります。
会計監査の必要性
ここまで見てきたように、会計監査は法律では受けることを義務付けられていますが、なぜ、そこまでして会計監査を行わなければならないのでしょうか。
それは、利害関係者を守るためです。
大きな会社となれば、株主や投資家など会社に出資している人も多くなります。
出資している立場から見れば、投資先である会社が“しっかりと儲けを出しているのか“、“資産を有効活用しているのか“などの情報は正確に把握したいもの。
そのために、会社から公開される財務諸表が適正かどうかをチェックして、利害関係者に偽りのない、正しい情報を提供する必要があるのです。
つまり、利害関係者に正しい情報が提供されているかチェックするために、監査は必要なのです。
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以上、会計や監査の意味から、会計監査の具体的な内容やタイミング、その必要性などについて説明してきました。
会計監査が利害関係者のためにどれだけ大切なのかわかっていただけたのではないでしょうか。
また、会計監査では棚卸時にも監査人による立会が入ることが一般的です。
特に、下期の棚卸には、監査人の立ち合いがあるという企業がほとんどなのではないでしょうか。
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