見込み在庫とは?見込み在庫のメリットやリスクと適正化のポイント

製造業や小売業では、顧客からの注文に素早く対応するために、あらかじめ在庫を確保しておくことが一般的です。

こうした在庫量の判断において重要な役割を果たすのが「見込み在庫」という考え方です。

見込み在庫の意味から関連用語との違い、見込み在庫のメリットとリスク、適正な在庫量を維持するための見込み在庫の管理方法をわかりやすく解説します。

見込み在庫とは

見込み在庫とは、将来の需要を予測し、受注を受ける前にあらかじめ生産・仕入れをして手元に確保しておく在庫のことです。

「見込み」という言葉のとおり、実際の注文が入っていない段階で、過去の販売実績や市場動向をもとに「これくらい売れるだろう」と予測して用意するものを指します。

注文を受けてから作り始める「受注生産」とは反対に、先に作って在庫として持っておくのが見込み在庫の発想です。

見込み在庫は、特に「見込み生産(MTS:Make to Stock)」方式を採用する企業において重要な管理指標となります。

見込み生産は、規格品や日用品、加工食品など需要が比較的読みやすい商品で多く採用されている方式です。

見込み在庫と関連用語の違い

見込み在庫は、適正在庫や安全在庫といった在庫用語と混同されやすい言葉です。

見込み在庫と関連用語の違いを確認していきましょう。

適正在庫との違い

適正在庫とは、欠品も過剰もない「過不足のない最適な在庫量」を指す用語です。

一方、見込み在庫は需要を予測して持つ在庫そのものを指し、量が最適かどうかは問いません。

見込み在庫が結果として適正在庫の範囲に収まっていれば理想的ですが、予測の精度次第では過不足が生じることもあります。

見込みで持った在庫を適正在庫に近づけていく関係、と捉えるとわかりやすいでしょう。

安全在庫との違い

安全在庫とは、需要のばらつきや納期の遅れに備えて、欠品を防ぐために持っておく最低ラインの在庫です。

見込み在庫が「これくらい売れるだろう」という予測に基づく基本の量であるのに対し、安全在庫はその予測が外れたときの保険にあたります。

例えば、1か月で1,000個売れると見込んで持つ在庫が見込み在庫、そこに予測のブレを吸収するために上乗せする200個が安全在庫、というイメージです。

両者は対立する概念ではなく、見込み在庫に安全在庫を加えて在庫量を設計するという補完関係にあります。

有効在庫(引当可能在庫)との違い

有効在庫とは、現在庫のうち、すでに受注済みの注文分として引き当てられた数量を差し引いた、新たな注文に使える在庫数のことです。

有効在庫が「いま出せる在庫がいくつあるか」を示す実際の数字であるのに対し、見込み在庫は「これから売れるだろう」と予測して持つ在庫そのものを指します。

いまの在庫を正しく把握するための用語が有効在庫、将来の需要に備えて在庫を持つ考え方が見込み在庫、と整理しておくと混乱しにくいでしょう。

見込み在庫を持つメリット

見込み在庫を適切に持つことで、事業運営においてさまざまなメリットが得られます。

見込み在庫を持つメリットを、販売機会・納期・コストの観点から見ていきましょう。

欠品を防ぎ販売機会を逃さない

見込み在庫を持っておく最大のメリットは、注文が入ったときに即座に出荷できる点です。

在庫がなければ「入荷待ち」となり、その間に顧客が他社へ流れてしまうこともあります。

特に需要が集中する季節商品やセール時期は、在庫を切らすと売れるはずだった分をそのまま逃しかねません。

あらかじめ在庫を用意しておけば、欠品による販売機会の損失を防ぎやすくなります。

短い納期ですぐに出荷できる

見込み在庫があれば、受注後に製造や調達を待つ必要がなく、短い納期で出荷が可能です。

受注生産では注文を受けてから作るため、製造期間の分だけ納品までに時間がかかります。

一方、見込み生産なら注文を受けた段階で製品が手元にあるため、すぐに発送に移ることが可能です。

納期の短さが競争力につながる商品では、見込み在庫を持つ意義は大きいといえるでしょう。

まとめ生産・仕入れでコストを下げられる

見込みで在庫を持つ前提なら、一度にまとめて生産・仕入れができるため、コスト面でも有利です。

製造ではロットを大きくすることで段取り替えの回数を減らし、仕入れでは数量をまとめることで単価を抑えやすくなります。

毎回少量ずつ発注するより、まとめて発注したほうが1個あたりのコストを下げられるケースは少なくありません。

見込み在庫に潜むリスク

メリットの多い見込み在庫ですが、持ちすぎれば一転してリスクにもなります。

見込み在庫に潜むリスクを見ていきましょう。

需要予測が外れると過剰在庫や不良在庫になる

見込み在庫の最大のリスクは、その根拠となる需要予測の精度に大きく依存する点です。

予測よりも実際の販売数が少なかった場合、余った在庫は倉庫に滞留し続けることになり、やがて値引き処分や廃棄が必要な不良在庫へと変わりかねません。

特に食品や化粧品など使用期限のある商品では、廃棄コストが大きな負担になります。

在庫維持コストや保管スペースを圧迫する

見込み在庫を多く抱えると、倉庫の賃料や光熱費、保険料、管理人件費などの在庫維持コストがかさみます。

こうした在庫維持コストは、一般的に在庫金額の2〜3割程度になるとされており、持っているだけでじわじわと利益を削っていくことになるでしょう。

また、保管スペースにも物理的な限りがあるため、見込み在庫が増えすぎると倉庫運営全体の効率の低下を招きます。

見込みで多めに持つほど、保管・維持の負担も比例して増えていく点は見落とせません。

キャッシュフロー悪化や税負担につながる

在庫は販売されるまで現金化できない資産です。

仕入れや製造に使った資金が在庫の形で寝てしまうため、見込み在庫を多く抱えるほど手元資金が減り、資金繰りが苦しくなります。

さらに、売れ残って期末に残った在庫の分は、仕入れや製造にかかったお金をまだ費用(売上原価)にできません。

そのため帳簿上は実感よりも利益が多く計算され、手元にお金が残っていなくても、その利益に対して法人税がかかることがあります。

見込み在庫は売れて初めて成果になるもので、抱えている間はコストを生み続けると意識しておきましょう。

適正な見込み在庫量の求め方

見込み在庫は、多すぎても少なすぎても損失につながるため、適正な量を見極めることが重要です。

基本となるのは、需要予測で見込まれる出荷量に、予測のブレに備える安全在庫を上乗せして、全体の在庫量を設計するという考え方です。

適正な見込み在庫量をより厳密に求める場合、代表的な式のひとつとして、

「安全係数×需要のばらつき(標準偏差)×√リードタイム(発注から納品までの期間)」

が使われます。

安全係数は欠品をどこまで許容するかで変わり、たとえば欠品許容率を5%に設定するなら、およそ1.65が目安です。

仮に1日の販売数のばらつきが10個、リードタイムが9日なら、「1.65×10×√9=約50個」が適正な見込み在庫量・安全在庫の目安になります。

ただし計算式はあくまで目安にしかなりません。

実際には「何日分の在庫を持つか」という在庫期間の発想で、商品の特性や需要の読みやすさに応じて調整していくことが現実的でしょう。

見込み在庫を適正に保つ管理方法

適正量を一度算出しても、需要は変動するため、運用のなかで維持し続ける仕組みが重要です。

見込み在庫を適正に保つために役立つ管理方法を解説します。

需要予測の精度を高める

過去の販売データだけでなく、市場トレンドや季節要因、プロモーション計画、さらには天候や競合の動向などの外部情報も加味して需要予測を行いましょう。

近年ではAIや統計解析を活用した需要予測ツールも普及しており、属人的な勘や経験だけに頼らない精度の高い予測が可能になっています。

予測の精度を高めることが、見込み在庫の適正化に向けた最も根本的な取り組みです。

安全在庫と発注点を設定する

見込み在庫を過不足ない適正な状態に保つには、欠品への備えである「安全在庫」と、補充の基準となる「発注点」を設定することが重要です。

発注点とは「在庫がこの数量まで減ったら発注する」という基準ラインを指します。

発注点を「リードタイム中に売れる量+安全在庫」で設定しておけば、欠品を防ぎつつ、過剰な見込み在庫を抱え込む事態も回避できます。

このように担当者の勘に頼らず数値による基準を持つことが、見込み在庫を常に適正量へコントロールする近道です。

在庫をリアルタイムに見える化・一元管理する

適正量を維持するには、いま在庫がいくつあり、この先どう増減するのかを常に把握できる状態が欠かせません。

現在庫だけでなく、入荷予定や出荷予定まで含めて見える化すれば、現在庫に入出荷予定を加減した将来の在庫見込み数を先回りして捉えられます。

数日先・数週間先の在庫がわかれば、欠品や過剰在庫になる前に手を打つことも可能です。

紙の台帳やエクセルでの手入力や担当者ごとの管理では更新の遅れや数字のズレが起こりやすく、気づいたときには過剰や欠品になっていることも少なくありません。

在庫情報を一元管理し、関係者が同じ最新の数字を見られる環境を整えることが有効です。

売れ筋と滞留在庫を定期的に見直す

見込み在庫は持って終わりではなく、動いているかどうかを定期的に見直すことが重要です。

在庫が一定期間に何回入れ替わったかを示す「在庫回転率」や、売上への貢献度で商品をランク分けする「ABC分析」を使えば、売れ筋と動きの悪い在庫を切り分けて把握できます。

出荷の大半を占める上位の商品はこまめに補充し、長く動いていない在庫は早めに値下げや販促で処理する、といった判断につなげられます。

滞留在庫を早期に見つけて手を打つことが、不良在庫を抱え込まないためのポイントです。

見込み在庫の適正化にzaico

見込み在庫は、欠品を防ぎ短納期での出荷を可能にする一方で、需要予測の精度次第では過剰在庫やコスト増大を招くリスクを併せ持っています。

適正な見込み在庫を維持するためには、リアルタイムでの在庫数の把握と正確な需要予測の両立が欠かせません。

見込み在庫の適正化に向けた在庫管理をお考えなら、「クラウド在庫管理システムzaico」をご検討ください。

zaicoには、現在庫に将来の入荷予定を足し、出荷予定を差し引いた「予定フリー在庫数」を自動で算出する機能があり、将来の在庫見込みを手間なく把握できます。

また、在庫が発注点を下回るとアラートで知らせる機能や、複数のスタッフがスマホからリアルタイムで在庫情報を共有・更新する機能も便利です。

見込み在庫の管理にお悩みの方は、まずはお気軽にzaicoまでご相談ください。

※記事内に記載されたzaicoのサービス内容や料金は記事公開時点のものとなり、現行の内容とは異なる場合があります