帳簿棚卸とは?帳簿棚卸の方法や必要性と帳簿棚卸の差異を防ぐポイント

在庫管理において、正確な在庫数量を把握しておくことは安定した事業運営に欠かせません。

しかし、倉庫や店舗にある在庫を毎回一つひとつ数えるには、多大な時間と労力が必要です。

そこで活用されるのが帳簿棚卸です。

帳簿棚卸と実地棚卸の違いから、帳簿棚卸の方法や手順、帳簿棚卸の必要性とやらないリスク、棚卸差異を防ぐポイントを解説します。

帳簿棚卸とは

帳簿棚卸とは、日々の入出庫の記録をもとに、計算で在庫数量を求める棚卸の方法です。

継続記録法とも呼ばれます。

仕入や売上のたびに受払(入出庫)を帳簿や在庫管理システムへ記録し、その積み上げから現時点の在庫を割り出すという考え方です。

帳簿棚卸の対象となるのは、商品・製品・原材料・仕掛品などの棚卸資産で、こうした継続的な受払記録にもとづいて在庫を把握します。

現物を一つひとつ数えなくても在庫数が分かるため、帳簿棚卸は日々の在庫把握や月次の管理に向いた方法です。

帳簿棚卸と実地棚卸の違い

帳簿棚卸と対になる方法に「実地棚卸」があります。

実地棚卸は、倉庫や店舗にある在庫を実際に目で確認し、一つひとつ手で数えて数量を確定させる方法です。

帳簿棚卸が記録と計算にもとづく「理論在庫」を求めるのに対し、実地棚卸では現場で数えた「実在庫」を直接把握します。

帳簿棚卸の特徴は、日常的に在庫数量をリアルタイムに近い形で把握できる一方、紛失・破損・盗難など帳簿に反映されない変動には気づきにくいという点です。

一方、実地棚卸は正確な在庫数を確認できますが、棚卸作業中は入出庫を一時停止する必要があるため、業務への影響が大きくなります。

なお、税務上は、期末に実地棚卸を行うのが原則とされており、帳簿棚卸だけで決算の在庫を確定できません。

そのため、帳簿棚卸と実地棚卸は対立するものではなく、日々は帳簿棚卸で在庫を追い、節目で実地棚卸により確定するという併用が基本になります。

帳簿棚卸の方法・手順

帳簿棚卸は、期首の在庫をスタート地点に入庫と出庫を記録し、最後に数量と金額を算出する流れで進みます。

帳簿棚卸の方法・手順を見ていきましょう。

期首在庫の確認

最初に、前期から繰り越した期首時点の在庫数量を確認します。

この期首在庫が、当期の帳簿棚卸の起点となるものです。

例えば、前期末の在庫が商品Aで500個だった場合、当期はその500個を出発点として入出庫を積み上げていきます。

起点となる数量が誤っていると、その後の計算がすべてずれてしまうため、最初の確認が肝心です。

当期の入庫(仕入)の記録

商品や資材を仕入れたり、製造工程で完成品が入庫されたりした場合は、その都度、品目・数量・単価・金額を帳簿に記録します。

仕入伝票や納品書との照合は、データの正確性を確保するうえで不可欠です。

記録のタイミングが遅れると、帳簿上の在庫と実在庫の間にずれが生じる原因になります。

また、月末や決算時にまとめて入力すると負担も増え、ミスも起きやすくなるでしょう。

当期の出庫(売上・払出)の記録

商品を販売したり、製造ラインへ資材を払い出したりした場合も、入庫と同様に品目・数量・金額を記録します。

出庫についても、売上伝票や出庫指示書にもとづく正確な記帳が不可欠です。

出庫の記録漏れは、帳簿上の在庫が実際よりも過大に計上される要因になりかねません。

とくに、サンプル出荷や社内使用など、通常の販売以外の出庫は記録漏れが起きやすいため注意が必要です。

帳簿上の在庫数量・金額の算出

期首在庫に当期の入庫を加え、当期の出庫を差し引くことで、帳簿上の在庫数量と金額を算出します。

計算式は「期首在庫+当期入庫数量-当期出庫数量=帳簿在庫数量」です。

金額も同様に、期首在庫金額に仕入金額を加算し、売上原価や払出金額を差し引いて求めます。

この計算結果が帳簿棚卸における理論在庫であり、日々の経営判断や月次決算の基礎データとなるものです。

帳簿棚卸をする必要性

帳簿棚卸をする必要性は、現物を数えなくても日々の在庫や金額を把握できる点にあります。

帳簿棚卸をする必要性を見ていきましょう。

日々の業務を止めずに在庫を把握するため

帳簿棚卸が必要になる理由の1つは、業務を止めずに在庫数をつかむためです。

実地棚卸のように都度倉庫を閉めて数えていては、日々の在庫確認が追いつきません。

例えば、顧客から在庫の有無を問い合わせられたとき、記録さえ整っていればその場で帳簿上の数量を答えられます。

現物を止めずにリアルタイムに近い形で在庫を追えることが、帳簿棚卸の重要な役割だといえるでしょう。

決算前に棚卸資産の金額を見通すため

帳簿棚卸は、決算を待たずに棚卸資産の金額を見通すためにも役立ちます。

帳簿上の数量に評価単価を掛ければ、現物を数えなくても在庫金額のおおよその姿が見えるからです。

例えば、決算前の段階で、棚卸資産がどれくらいの金額になりそうかを早めに把握できます。

正式な金額は実地棚卸で確定させるとしても、事前に見通しが立てば資金繰りや仕入計画も考えやすくなるでしょう。

入出庫の異常を早期に見つけるため

日々の受払を記録しておくと、在庫の動きから異常を早期に見つけられます。

発注したはずの商品が入庫として記録されていない、想定より出庫が多すぎる、などの食い違いに気づけるからです。

こうした動きを早い段階で拾えれば、発注や出荷のミスを後追いで探す手間を減らせます。

記録が積み上がっているからこそ変化に気づける点も、帳簿棚卸が必要とされる理由の1つです。

帳簿棚卸をしないリスク

帳簿棚卸を行わずに日々の記録を怠ると、在庫の実態が見えないまま事業を運営することになります。

帳簿棚卸をしないことで生じるリスクを見ていきましょう。

欠品や過剰在庫がキャッシュフローを悪化させる

帳簿上で在庫を把握していないと、発注の判断は担当者の経験や勘に頼らざるを得ません。

その結果、売れ筋商品の欠品による販売機会の損失や、売れ残り商品の過剰発注が起こりやすくなります。

過剰在庫は保管コストがかさむだけでなく、仕入資金が在庫として眠ってしまうため、キャッシュフローを圧迫する要因です。

在庫の持ちすぎ・持たなさすぎはどちらも利益を削るため、帳簿による日常的な在庫把握が重要になります。

在庫のずれの原因を特定できず決算作業が長期化する

日々の受払記録がなければ、期末の実地棚卸で在庫数が想定と食い違っても、その原因をさかのぼって調べる手がかりがありません。

いつ・どの品目で・何が起きてずれたのかが分からないまま、差異の調査や在庫金額の確定に時間を取られ、決算作業が長期化しがちです。

原因不明の差異は損失として処理するしかなく、再発防止策も立てられません。

決算をスムーズに終えるためにも、期中の記録を積み上げておくことが大切です。

盗難や横流しなどの不正を発見できない

入出庫の記録がないと、在庫の「あるべき数」を誰も知らない状態になり、商品が減っていても異変として認識できません。

万引きや従業員による持ち出し・横流しといった不正が起きても、照合すべき帳簿がなければ発覚のしようがないのです。

不正は発見が遅れるほど被害額が膨らみ、社内の管理体制への信頼も損なわれます。

帳簿棚卸には、在庫の基準値を示すことで不正の抑止と早期発見につなげるという役割もあります。

帳簿棚卸の棚卸差異を防ぐポイント

帳簿在庫と実在庫がずれた状態を棚卸差異といい、これを小さく抑えることが帳簿棚卸を信頼できるものにします。

帳簿棚卸の棚卸差異を防ぐポイントを解説します。

入出庫をその都度もれなく記録する

帳簿棚卸の精度を高めるうえで最も基本的かつ重要なことは、入庫・出庫が発生したタイミングでもれなく記録することです。

「あとでまとめて入力しよう」という運用では、記録漏れや数量の記憶違いが発生しやすくなります。

入出庫のたびにリアルタイムで記録する体制を整え、担当者全員がルールを遵守する仕組みづくりが差異を防ぐ第一歩です。

返品や不良品の処理などのイレギュラーな在庫変動も記録対象に含め、あらゆる入出庫を帳簿に反映させるようにしましょう。

定期的に実地棚卸と照合して棚卸差異を確認する

どれだけ丁寧に記録しても、記録外の減少までは帳簿棚卸で拾いきれません。

そこで、定期的に実地棚卸を行い、帳簿在庫と実在庫を突き合わせることが欠かせません。

差異が見つかったら、紛失なのか記録漏れなのか原因を特定し、帳簿を修正します。

月次など決まった周期で照合しておくと、差異が大きくなる前に手を打ちやすくなるでしょう。

バーコードやシステムで手入力のミスを減らす

手書きや手入力による記録は、どうしても転記ミスや入力漏れなどの人的エラーが発生します。

バーコードやQRコードを活用したスキャン入力の導入は、商品コードや数量の入力ミスを大幅に減らす有効な手段です。

さらに、在庫管理システムを導入することで、入出庫データの自動記録やリアルタイムでの在庫把握も実現しやすくなります。

手入力のミスを仕組みで防ぐことが、帳簿棚卸の精度向上への近道といえるでしょう。

帳簿棚卸の効率化にzaico

帳簿棚卸の精度は、日々の入出庫をどれだけ正確に記録できるかで決まります。

紙の台帳や手入力のエクセルでは、どうしても記録の手間や転記ミスからは逃れられません。

帳簿棚卸の効率化をお考えなら、「クラウド在庫管理システムzaico」をご検討ください。

zaicoなら、スマホでバーコードやQRコードをスキャンするだけで入出庫を記録でき、手入力による差異を抑えられます。

記録した在庫情報はクラウド上で複数のスタッフがリアルタイムに共有でき、スマホアプリを活用すれば実地棚卸との照合もその場で進められます。

帳簿棚卸を効率的にしたいとお考えであれば、zaicoまでお気軽にご相談ください。

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