実地棚卸の手順について準備からステップ別にイチから解説

在庫を持つ企業が行う業務の一つに「実地棚卸」があります。
実地棚卸とは、会社が保有している在庫数を実際の現場で数える作業のことです。
多くの企業は決算前の期末に実地棚卸を行いますが、期末以外にも在庫の整理を兼ねて頻度高く行う企業もよく耳にします。
この記事では、その実地棚卸を効率的に行うための手順や抑えるべきポイント、実地棚卸後の処理までをステップ別に解説していきます。

実地棚卸の手順4ステップ

まずは実地棚卸をどんな手順で行うか確認していきましょう。
ここでは「事前準備」→「在庫数を数えて記録」→「集計」→「分析と数量確定」の4つのステップに分けて見ていきます。

ステップ1 実地棚卸の事前準備

実地棚卸をスムーズに正確に行うには、事前の準備が重要です。
混乱やミスを最小限に抑える仕組みを準備しておくことで、実地棚卸の精度は格段に上がります。
ここでは、準備事項のポイントをまず説明します。各項目については後の章で見本などを混じえながら詳しくお伝えしていきます。

  1. 実地棚卸の責任者を決めましょう。
  2. 実地棚卸を行う範囲を決め、担当者を割り振り「実地棚卸計画書」を作成しましょう。
  3. 実地棚卸の行い方やルールをまとめた「実地棚卸マニュアル」を作成しましょう。
  4. 実地棚卸で利用する棚卸原票と棚卸集計表、文房具類を揃えましょう。
  5. 実地棚卸がスムーズに行えるよう、現場の整理整頓を行っておきましょう。
  6. 数量が多いものは重量換算法を用いましょう。

ステップ2 在庫数を数えて記録

準備が整えば、実地棚卸を開始します。
準備さえできていれば、実地棚卸の作業は比較的簡単に単純化して進めることができます。

  1. 責任者がその日行う実地棚卸の範囲や担当者確認を行い全員に明確に伝えます。
  2. 作業ペアの一人が在庫の数を数えます。
  3. もう一人は棚卸原票に在庫の品名、数量、保管場所をもれなく記入します。
  4. 数え間違いや記入漏れ、また読みにくい字が無いかペアでチェックしてから、次の在庫品のカウントへ進みましょう。

ステップ3 棚卸集計表に集計

棚卸原票をもとに棚卸集計表に集計していきます。

棚卸集計表は、帳簿上の在庫数と棚卸原票に記入した実地棚卸数、その差異であるロス数とそのロス率を記録できるようにしておくとその後活用しやすい表になります。

棚卸集計表の見本を参考に、独自で管理したい項目などを追加して作ってください。

ステップ4 差異分析と数量確定

集計表を確認し、帳簿上の在庫数と実地棚卸数に差異がないかどうかを確認します。

もし差異があれば、実地棚卸で数えた数量に合わせて帳簿を修正します。

この差異が起こった原因の分析を必ず行い改善策を検討しましょう。
詳しい改善策についてはこちらの記事の「【実務者向け】棚卸減耗損と商品評価損を減らすための対策」を参考にしてください。

実地棚卸の抑えておくべきポイント

さて、実地棚卸の全体のステップがわかったところで、抑えておくべきポイントを詳しく見ていきましょう。
実地棚卸はステップ1の事前準備ができているかどうかが成功の鍵を握ります。
ここではステップ1の事前準備について詳しく見ていきましょう。

ステップ1ー①責任者を決める

責任者は実地棚卸の知識や経験のほか、他の在庫管理業務や在庫品や在庫品を保管する場所についてもよく理解している人の方が適しています。

例えば、倉庫の中の配置や商品の理解ができていなければ、棚卸に漏れやダブりが発生します。また、商品に破損が起きているかどうか、などの判断もできると実地棚卸の中で在庫の状態を正しく把握していくことができます。

責任者が事前の準備をきちんと行い、作業者に正しく伝達することが実地棚卸の成功の鍵となります。

ステップ1ー②③マニュアル作成と事前説明


実地棚卸計画書
作業範囲、在庫の保管場所毎の担当者割り、タイムスケジュールなどをまとめます。

作業は2人1組で行えるよう割り振りましょう。ペアで作業することで数え間違いなどのミスを防げたり、不正を防止できます。

また場所が広く一度で終わらない場合や、営業時間外で行うなど時間の縛りがある場合は、複数日程に渡って実施することになります。

事前に計画を作ることで作業者が混乱することなく、漏れやダブりなく正確に実地棚卸を進めることができるようになります。

実地棚卸マニュアル
当日の作業者の詳しい棚卸手順をまとめます。

ペアで作業する時のそれぞれの役割と手順、品番や商品名の確認方法などを丁寧に記載しましょう。また後から誰が見ても読み間違いが起こらないよう0と6、1と7などの書き方のルールも決めておくと良いでしょう。

事前に説明会などの機会をもうけて、作業者にマニュアルを説明しておけば、限られた時間での実地棚卸もすぐに着手できます。

ステップ1ー⑤整理整頓

実地棚卸でよく出てくる問題が以下のようなものです。

  • 商品があちこちに散らばっている。
  • 他の商品と混ざってしまっている。
  • 商品が棚の奥や下に隠れてしまっている。

このようなことが原因で数え間違いが起こったり、数え漏れたりするのです。
このようなロス対策のためにも常日ごろから整理整頓を徹底しましょう。

整理整頓された現場は実地棚卸を正確に行えるだけでなく、安全性や日ごろの在庫業務の生産性を上げることにも繋がり、良い影響を生み出します。

ステップ1ー⑥重量換算法

ネジなど細かくて数量が多い物を全て人が数えるとなるととても大変ですよね。
このような場合、全てを数える必要はありません。
重量換算法という方法を使って効率的に進めましょう。

重量換算法
総重量 ÷ 1個の重量 = 数量

上記で割り出した数を実地棚卸の数量としていきます。

例)1個当たりのネジの重さが5g、在庫のネジの総重量が5,000g

5,000g ÷ 5g = 1,000個
在庫数量は1,000個です。

時間短縮ができますし、間違いも起こりにくくなりますよ。

実地棚卸を行う目的

さて、実地棚卸の進め方はわかってきました。
ここで改めて、実地棚卸を行う目的について2つの視点でお伝えします。
目的が分かれば、実地棚卸のモチベーションも精度も上げることができます。
作業者にも何のために実地棚卸を行うかを伝え、全員で目的意識を持って取り組み効率的な実地棚卸を行いましょう。

利益を確定するため

まず実地棚卸の一番重要な目的である「利益確定」についてお伝えします。

実地棚卸の主な目的は会社の資産を把握し、売上や利益を確定するために行います。

在庫数量を帳簿上だけで管理するのではなく、実地棚卸でその時点での正しい在庫数量を確定させることで、売上原価を正しく算出でき利益を確定することができるのです。

会社の利益を確定することができる、これが、実地棚卸が重要である理由です。

実地棚卸は数を数えて記録するという単純作業ではありますが、数え漏れ、数えダブりなどのミスがあると会社の利益が変わってしまう可能性がある重要な作業であることを作業者が自覚し取り組むと良いでしょう。

在庫管理方法の見直しのため

実地棚卸は実際にある在庫品を全て人が見る貴重な機会です。

この時にその在庫品が壊れていないか、劣化していないか、などの品質を確認したり、その在庫品がどれくらい滞留しているかを確認することができます。
また帳簿数量と実地棚卸数量の差異も確認できますね。

このような品質や滞留状態、在庫差異がなぜ起きるのかを在庫がある現場の状態から分析してみましょう。

例えば、棚の奥に先に入った在庫品が入りっぱなしで、先入後出しの状態であることに気づければ、在庫品の滞留時間を短くするため先入先出方式に変更する提案ができるかもしれません。

このように日ごろの在庫管理方法の見直しにも実地棚卸は役立つのです。
このような視点を作業者の方にも持ってもらえるとより良い実地棚卸になりますね。

実地棚卸を行わないとどうなる?

では、実地棚卸を行わないとどうなるのでしょう?
実は実地棚卸は法定作業ではないため、会計として義務ではないのです。

ただ、帳簿在庫と実地の数量が合わないまま利益を確定してしまうと、会社の利益が正しく算出できず、誤った経営判断の元になります。

また、本来在庫があるのに数え漏れていて、その数量が膨大であった場合、利益もそれに基づいて計算される法人税も大幅に間違ってしまうというケースを引き起こしかねません。

実地棚卸は会計上の問題だけではありません。実際に在庫品を確認する機会がなければ、在庫の状態や差異分析を行えず在庫管理の改善も行えません。

正しい経営判断を行えるようにするためにも、またより良い在庫管理の方法を検討するためにも、実地棚卸は少なくとも決算前の年1回は行うようにしましょう。

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実地棚卸は在庫を持っている企業であれば、必ず行うべき作業でした。

でも実地棚卸はたくさんの人や時間が必要でコストがかかりますよね。
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