設備の減価償却の考え方!基本の計算方法や耐用年数も分かりやすく解説

会社の設立や引っ越し、事務所の拡大などを行う時には、新たな建物や設備を購入したり、パソコンなどの備品を購入したりする必要がありますよね。
このような建物や設備、備品などは固定資産と呼ばれ、会計上では減価償却という費用の処理が行われているのをご存じでしょうか?
固定資産を購入した際には、分割して費用を計上する減価償却という処理が必要になり、会計処理上とても重要です。
そこで、この記事では、減価償却の基礎知識として、「そもそも、減価償却とは何なのか?」ということから説明し、具体的な減価償却費の計算方法などについても詳しく紹介していきたいと思います。

 

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設備の減価償却とは?

まず、設備の減価償却について、代表的な例を挙げてみましょう。会社が新たに事務棟として建物を建設した時には、建築費用や土地代などがかかります。
また、そこで使用するパソコンなどが必要となれば、それらを購入する費用も、そのパソコンで使用するソフトウェアの費用もかかります。

このような建物やパソコンなどの備品は、会社にとって資産となります。

その会社の資産の中でも、基本的に「1年以内で現金化ができないもの」を固定資産と呼び、建物やパソコンなどは固定資産に該当します。

これら固定資産は、時間が経過するにつれて価値が減っていくものがほとんどです。
例えば、建物ならば、時間が経つにつれて老朽化していきますよね。

「時間の経過による価値の減少」を費用として計上する会計処理のことを減価償却と言い、購入に掛かった額を複数年に渡って費用計上していきます。

減価償却の対象となる固定資産には、有形固定資産と無形固定資産の2種類があります。

また、固定資産の金額によっては、少額減価償却や一括償却という方法で費用計上することもできます。

以下、それぞれ詳しく説明してきます。

有形固定資産

有形固定資産とは“実態のある固定資産”のことです。

具体的には、土地や建物(事務所や工場、倉庫など)、車両運搬具(車やトラック、フォークリフトなど)、機械設備(材料を加工する加工機械など)といったものがあります。

パソコンやプリンターなどの情報機器も有形固定資産に分類されます。

ただし、10万円未満の資産の場合には、すべてその年の経費としても処理できます。

無形固定資産

一方、無形固定資産とは“実態のない固定資産”のことをいいます。
具体的には、プログラムなどのソフトウェアやのれんなどが該当します。

他には企業が持つ、特許権、営業権、商標権などの権利も該当します。

無形資産は減価償却費の計算には、定率法は適用できません。
そのため、必ず定額法に従って、計算し、費用計上する必要があります。

定率法や定額法の具体的な内容については後ほど説明します。

少額減価償却

先に少し触れたように、固定資産は減価償却をする必要があり、複数年に渡って費用計上していく必要があります。

しかし、減価償却の特例の1つとして「少額減価償却」という制度があります。

通常は、10万円以上の資産取得時は減価償却を行わなければいけません。
しかし、30万円未満の資産であれば、少額減価償却をすることが可能です。

少額減価償却は、30万円未満の資産の取得にかかった費用をすべて、一括してその年の経費として計上することができます。
ただし、計上できる金額は年間合計300万円までです。

また、この少額減価償却の制度を利用するには、青色申告をしている法人又は個人事業主という条件があります。

さらに、下記のいずれかの条件を満たす必要があります。

  • 資本金、出資金の額が1億円以下
  • 従業員数が1,000人以下

この条件に当てはまれば、少額減価償却の制度の利用が可能です。

一括償却

固定資産でも、20万円未満であれば一括償却という方法も可能です。

一括償却というのは、資産の種類や耐用年数を問わず、3年間で均等償却する方法です。

例えば、15万円のパソコンを購入したとしたら、これを3年で均等割りして、毎年5万円で減価償却していきます。

この一括償却の長所は、固定資産税の対象外となる点です。

節税という点では、一括償却を選択するのが有効です。
その辺りは、自社の財務状況と合わせて判断すると良いでしょう。

減価償却費の計算方法

少額減価償却や一括償却のような特別な場合を除いて、基本的に固定資産は減価償却の処理をすることを説明してきました。

ここからは、減価償却費の計算方法について説明していきたいと思います。
計算方法は大きく分けて定額法と定率法の2種類があります。

定額法

定額法とは、毎年同額を減価償却していく方法です。
計算が簡単で、毎年同じ額を減価償却するので、将来の計画も立てやすいのが特徴です。

定額法の減価償却費は、取得価額に「定額法の償却率」をかけて計算します。

  • 定額法の減価償却費=取得価額×定額法の償却率

取得原価は、資産の購入に掛かった費用だけでなく、購入手数料や運搬費、設定費用なども含まれます。

定額法の償却率と耐用年数は法律によって定められているので、分からない場合は、国税庁のホームページ(※)で調べると確実です。

国税庁No.2100 減価償却のあらまし

では、具体的に、パソコンを購入した場合の定額法の計算例を以下に示します。

<条件>

  • 取得価額:400万円
  • 法定耐用年数:4年
  • 取得日:2020年1月1日
  • 事業年度:1月1日~12月31日
  • 定額法償却率:0.250

このような条件で計算すると、

  • 1~3年目:400万円×0.250=100万円
  • 4年目:400万円-100万円×3-1円=99万9,999円

耐用年数の4年を経過しても、実際にそのパソコンを保有していることもあるため、最終年の4年目は、1円だけ帳簿に価格を残すように調整します。
この1円を備忘価額と言います。

定率法

定率法は年の経過とともに減価償却費の額が減少していく計算方法です。
ただし、「償却保証額」というものが設定されており、この額より毎年の減価償却費が少くなった場合には、毎年同額を計上していきます。

計算式は

  • 1年目の定率法の減価償却費=未償却残高×定率法の償却率×使用した月数/12
  • 定率法の減価償却費=未償却残高×定率法の償却率

償却保証額に満たなくなった場合は、

  • 定率法の減価償却費=改定取得価額×改定保証率

となります。

先ほどと同様に、パソコンを購入した場合の計算例を以下に示します。

<条件>

  • 取得価額:400万円
  • 法定耐用年数:4年
  • 取得日:2020年1月1日
  • 事業年度:1月1日~12月31日
  • 定率法償却率:0.500
  • 定率法改定償却率:1.000
  • 定率法保証率:0.12499

この条件で計算すると、

  • 償却補償額=400万円×0.12499=49.996万円
  • 1年目:400万円×0.5×12/12=200万円
    未償却残高=400万円-200万円=200万円

この時、“12/12”となっているのは、期初にパソコンを取得したため使用月数も12カ月だからです。
もし、期中に取得し半年だけ使用した場合は、“6/12”を乗じて計算します。

  • 2年目:200万円×0.5=100万円
    未償却残高=200万円-100万円=100万円
  • 3年目:100万円×0.5=50万円
    未償却残高=100万円-50万円
  • 4年目:50万円×0.5=25万円
    ここで、償却補償額:49.996万円を下回りましたので、計算方法が
    変わります。
  • 定率法の減価償却費=改定取得価額×改定保証率
    =50万円×1.0-1=49万9,999円
    未償却残高=1円

最後は、定額法と同様に備忘価額1円を残すように調整します。

耐用年数とは?

耐用年数とは、資産を「本来の用途通りに使用できる期間」のことです。

資産は、使用すればするほど劣化していき、いつかは、本来の用途通りに使用できなくなり、価値がなくなります。

つまり、資産の使用開始から価値がなくなるまでの期間が耐用年数であり、この期間中に、取得価額を経費として少しずつ計上していきます。

先ほどのパソコンの例のように、耐用年数が4年のものは、4年をかけて減価償却していきます。

ちなみに、この耐用年数というのは、日々のメンテナンスや補修することも含めて決められており、また、通常の作業条件下で使用されることを前提としています。

耐用年数は資産の種類ごとに法律で決められており、具体的な耐用年数を知りたい場合は、国税庁のサイトの耐用年数表で確認ができるので調べてみましょう。

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以上、設備の減価償却にかかわる基礎知識として、固定資産の種類や、減価償却費の計算方法、そして、定額法と定率法の具体的な計算方法などについても説明してきました。

このような固定資産をしっかりと管理し、会計処理していくためには、固定資産台帳を作り、棚卸時に現物確認することがとても重要です。

しかし、これらの作業にかなり手間がかかることも事実であり、業務効率化のためには、システムを導入することが不可欠です。

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