棚卸作業は企業の在庫管理において欠かせない重要な業務です。
特に、初めて棚卸に携わる方にとっては「どのように在庫をカウントすればよいのか」「効率的な方法はあるのか」などの疑問が浮かぶでしょう。
棚卸のカウント方法にはいくつかの方式があり、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。
主な棚卸カウント方法の特徴や実施手順、それぞれの棚卸カウント方法が向いているケースを確認していきましょう。
棚卸のカウント方法はいくつかある
棚卸のカウント方法とは、実際に保有している在庫を数え上げ、その数量を確認・記録するための手法のことです。
棚卸のカウントの目的は、ほとんどの場合で正確な在庫数を記録することですが、棚卸のカウント方法はひとつとは限りません。
同じ方法でも現場によってルールや段取りが異なることが多く、在庫の種類や量、作業環境に応じた工夫が必要です。
選ぶ方法によって作業効率や精度も大きく変わるため、自社に合ったやり方を見極めることが求められます。
主な棚卸のカウント方法
棚卸のカウント方法には、主に「タグ方式」「リスト方式」「バーコード方式」の3つがあります。
それぞれ棚卸のカウント方法の特徴を確認していきましょう。
タグ方式
タグ方式は、在庫管理における古典的でありながら、その直感性と分かりやすさから現在でも一定の場面で活用される手法です。
その名の通り、倉庫や店舗に保管されている個々の在庫商品に、品目、数量、そして在庫を確認した担当者などの情報が記載された「棚札」と呼ばれるタグを直接貼り付けます。
この方式の最大の特徴は、実際に自分の目で見て、手に取って確認した在庫数をそのままタグに記録していくという点にあります。
帳簿上の記録と現物の数を照合するのではなく、現物の数を直接記録するため、在庫の状況を視覚的に把握しやすいというメリットがあります。
特に、商品の種類が少なく、ひとつの商品が大きい場合や、手書きでの記録に慣れている現場などでは、導入や運用が比較的容易です。
リスト方式
リスト方式は、事前に作成された商品リストを基に、倉庫や店舗に保管されている在庫の数量をそのリストに直接書き込んでいく在庫管理の手法です。
具体的には、システムから出力されたり紙やエクセルで作成したリストには、通常、商品名、品番、ロケーション(保管場所)、そしてシステム上の理論在庫数などが記載されています。
棚卸担当者はこのリストを持って倉庫や店舗を巡回し、リストに記載された商品が実際にいくつあるのかを目視で確認し、その実数をリストの該当箇所に記入していきます。
在庫管理システムから出力されたリストを活用することで、システム上の在庫データと実際に存在する在庫数を効率的に比較・照合できる点が大きな特徴と言えます。
バーコード方式
バーコード方式は、在庫管理の効率化と精度向上を両立させるための現代的かつ主流な手法です。
商品に印刷されたバーコード、あるいは商品に取り付けられたバーコードタグを、専用のバーコードリーダーやハンディターミナルなどの読み取り機器でスキャンすることで、在庫情報を瞬時かつ正確に記録します。
この方式の最大の特徴は、手入力によるミスを大幅に削減できる点と、データ入力作業の効率を飛躍的に高められる点にあります。
従来のタグ方式やリスト方式のように、手書きで数量や品目を記録する必要がないため、記入漏れや誤字脱字といった人為的なエラーをなくし、より信頼性の高い在庫データを収集することが可能です。
棚卸のカウント方法:タグ方式
主な棚卸カウント方法について、それぞれの実施手順とメリット・デメリット、向いているケースがあります。
棚卸のカウント方法としてタグ方式について確認していきましょう。
タグ方式の実施手順
タグ方式による棚卸カウントの一般的な実施手順は、次のとおりです。
まず、商品が置かれている棚や保管場所にタグ(棚札)を設置します。
次に、作業者がそのタグを確認しながら、手作業で商品数を数えてタグに記入していきます。
すべての商品のカウントが終わったら、タグを回収して記録を集計し、最終的な在庫数を確認します。
タグ方式のメリット
タグ方式の最大のメリットは、カウントしたすべての現物に棚札を直接貼付するため、カウント漏れを防止できることです。
目視でタグが貼られているかどうかを確認できるため、どの商品がカウント済みであるかが一目瞭然となります。
また、特別なシステムや機器を必要としないため、コストをかけずに実施できる点もメリットです。
タグ方式のデメリット
タグ方式のデメリットは、すべての棚札を連番管理する必要があり、棚札の管理が大変な点です。
また、すべての棚卸資産にタグを貼付し、終了後にすべてのタグを回収するなど作業工程が多く、棚卸作業全体に時間がかかります。
大規模な在庫を持つ企業では、タグの枚数が膨大になり、管理の負担が大きくなるでしょう。
タグ方式が向いているケース
在庫数が比較的少ない場合は、タグ付けや回収にかかる手間も少なく、効率的に棚卸を行えます。
また、重要な資産や厳しい管理が求められる商品の場合にも、プロセスが厳格なタグ方式が適しているでしょう。
タグ方式は手作業でも実施できるため、在庫管理システムが整備されていない企業でも実施可能です。
棚卸のカウント方法:リスト方式
リスト方式は、事前に作成された在庫リストを活用して棚卸を行う方法です。
棚卸のカウント方法としてリスト方式について確認していきましょう。
リスト方式の実施手順
リスト方式による棚卸カウントの一般的な実施手順は、次のとおりです。
まず、在庫管理システムや帳簿から、棚卸を行う時点での在庫リスト(棚卸表)を作成します。
次に、作業者がこのリストを持って現場を回り、実際の商品数を数えてリストに記入していきます。
最後にリストを集計して、最終的な在庫数を確認します。
リスト方式のメリット
リスト方式の最大のメリットは、リスト上の在庫(理論上の在庫)との一致を確認する手続きとなるため、比較的短時間で作業を完了できる点です。
タグ方式のようにタグを準備・貼付・回収する工程がないため、作業フローがシンプルです。
また、デジタル形式のリストを使用すれば、カウント結果を直接システムに入力できるため、転記の手間が省けます。
リスト方式のデメリット
一方、リスト方式はリスト上の在庫との一致を確認する作業となるため、現物のカウント漏れが発生しやすい点がデメリットです。
何らかのミスでシステムに記録されていなかった在庫は、「現物があるにもかかわらずカウントされない」リスクが高く、そのまま簿外在庫となってしまう恐れがあります。
また、在庫の入出庫がリアルタイムに記録されていることが前提となるため、システム環境が整っていない企業では実施が難しい点もデメリットです。
リスト方式が向いているケース
リスト方式は、在庫管理システムが整備されており、リアルタイムで正確な在庫リストを出力できる企業に向いています。
棚卸対象品目が多く、タグ方式では時間がかかりすぎる場合や、通常業務との兼ね合いで短時間で棚卸を終わらせる必要がある場合にも適しているでしょう。
また、月次や四半期ごとなど、定期的に棚卸を実施する企業では、リストの精度を高く保つことができ効果的です。
棚卸のカウント方法:バーコード方式
バーコード方式は、商品に付与されたバーコードを利用して在庫数をカウントする方法です。
棚卸のカウント方法としてバーコード方式について確認していきましょう。
バーコード方式の実施手順
バーコード方式による棚卸カウントの一般的な実施手順は、次のとおりです。
まず、棚卸対象となるすべての商品にバーコードが付いていることを確認します。
バーコードは、標準的な商品バーコードを使う場合もあれば、在庫管理システムと連携した独自のバーコードを使う場合もあります。
続いて、ハンディターミナルやスマートフォンなどを使ったバーコードのスキャンによる数量の入力です。
すべての商品のスキャンが終わったら、システム上で棚卸実行操作を行い、データを確定させます。
バーコード方式のメリット
バーコード方式の最大のメリットは、手作業の大幅な削減により時間短縮と人的ミスの防止が実現できる点です。
バーコードをスキャンするだけで商品が特定でき、紙への記入やPC入力、集計作業が不要で、現場入力が終わるとすぐに集計データが生成されます。
さらに、システム上の在庫との差異も手作業なく即座に確認できることも大きな利点です。
バーコード方式のデメリット
バーコード方式のデメリットとしては、導入時の初期コストがかかる点が挙げられます。
読み取り用の機器の購入や商品コードの設定、バーコードラベルの作成・貼付などの準備が必要です。
また、汚れや破損などによりバーコードが読み取れない場合やシステムトラブルの際には、棚卸作業に影響が発生します。
バーコード方式が向いているケース
バーコード方式は、取扱商品数が多く大量の在庫を管理する必要があり、すでに在庫管理システムが導入されている企業に向いています。
また、多くの商品にJANコードなどの標準的なバーコードが付与されていると、導入が容易です。
バーコード方式は棚卸の時間短縮や精度向上が期待できるため、定期的に棚卸を実施する企業や、正確な在庫管理が重要となる企業にも適しているでしょう。
棚卸のカウント方法の改善や効率化にzaico
在庫の棚卸のカウント方法には、主に「タグ方式」「リスト方式」「バーコード方式」の3つがあります。
それぞれにメリット・デメリットや向いているケースがあるため、棚卸のカウント方法を検討する場合には、自社の在庫の特性や規模などに合わせて選びましょう。
リスト方式やバーコード方式を採用する場合には、在庫管理システムの活用が欠かせません。
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