月次棚卸は、在庫管理や財務処理の精度を高めるために欠かせない業務です。
定期的に在庫の実数と帳簿上の数値を照合することで、ズレの早期発見や業務の見直しにつながります。
しかし、月次棚卸をしていて「時間がかかる」「ミスが多い」などの課題を感じているケースも少なくありません。
月次棚卸とは何か、月次棚卸の目的や基本的な流れ、月次棚卸を効率的に行うためのポイントについて確認していきましょう。
月次棚卸とは?
月次棚卸とは、毎月決まったタイミングで在庫の実数や状態を確認し、帳簿上のデータと照らし合わせる業務のことです。
月ごとに行われる棚卸ということであって、基本的にどの頻度で行われる棚卸と同様に主に在庫のズレ(棚卸差異)を把握し、正確な在庫管理と会計処理を行うために実施されます。
月ごとという定期的に行われる月次棚卸をすることで、間隔が空き過ぎることなく業務全体の精度が向上し、不要な在庫コストの削減にもつながることが期待できます。
月次棚卸の必要性とは?
月次棚卸は、在庫管理の精度を高めるだけでなく、企業経営のあらゆる面で重要な役割を果たします。
月次棚卸の必要性について確認していきましょう。
経営判断の精度を高めるため
経営層が的確な意思決定を下すためには、正確な在庫情報が欠かせません。
特に在庫回転率や滞留在庫の把握は、商品の仕入れ方針や販促戦略に直結するからです。
月次で棚卸を行うことで、データが常に最新の状態に保たれ、経営状況の可視化や迅速な判断を可能にします。
市場の変化が激しい今、常に正確な在庫状況を把握できることは、迅速な対応力や安定した供給体制の維持にもつながるでしょう。
棚卸差異を早期発見・対処するため
棚卸差異とは、帳簿上の在庫と実際の在庫数が一致しない状態のことです。
この差異は、入力ミスやピッキングミス、盗難・破損といったさまざまな要因で発生します。
しかし、月次棚卸を行えば、差異を小さなうちに発見でき、原因追及や対処がしやすくなります。
一方で、年1回の棚卸だけでは発見が遅れ、大きなロスにつながるリスクもあるため、定期的なチェックが重要です。
会計処理・決算への対応のため
在庫は企業の資産として貸借対照表に計上される重要な項目です。
特に月次決算や年度末の会計処理においては、正確な在庫評価が求められます。
この点でも、月次棚卸を継続的に実施しておけば、期末の集計作業がスムーズになり、会計上のトラブルや調整作業の負担も軽減されるでしょう。
さらに、監査対応の観点でも、定期的な棚卸データは信頼性の高い記録となり、企業の信頼性を支える一助となる可能性があります。
在庫状況や状態の把握のため
棚卸は数量の確認だけでなく、商品の状態をチェックする機会でもあります。
破損や汚損、賞味期限切れなどの問題がないかを確認することで、品質トラブルやクレームの防止につながるからです。
こうした対応を毎月行うことで、現場の意識向上にもつながり、在庫の保管・管理体制そのものの改善にも寄与することが期待できます。
適切な発注をするため
発注ミスの多くは在庫情報が正確でないことに起因します。
実際には十分な在庫があるのに過剰に発注してしまったり、逆に不足しているのに気づかず機会損失を招いてしまったりするケースもあるからです。
そのため、月次棚卸で在庫数を定期的に更新しておけば、実態に即した発注が可能になり、無駄なコストの削減や在庫の最適化が実現します。
また、正確な在庫データは、発注の自動化にも不可欠でしょう。
月次棚卸の基本的な流れ
月次棚卸をスムーズかつ正確に行うためには、いくつかの基本的なステップを押さえることが大切です。
月次棚卸の基本的な流れを確認していきましょう。
棚卸対象のリストアップ
最初に行うべきは、棚卸の対象となる在庫品のリストアップです。
倉庫や店舗にあるすべての在庫を洗い出し、廃棄予定・貸出中などの対象外の商品があれば、あらかじめ除外しておきます。
この段階で、商品コード・品名・保管場所・数量などの情報を整理しておくと、後工程の効率が格段に上がるでしょう。
実地棚卸の実施
リストアップが終わったら、実際の棚卸作業に移ります。
リストアップされた在庫を、現場で一つずつ目視・手作業でカウントしていくのが基本です。
複数人で分担して作業する場合は、カウントミスや重複を防ぐためにも、担当範囲の明確化やダブルチェック体制の導入が効果的です。
ハンディターミナルやモバイル端末の活用も、正確性とスピードの向上に貢献するでしょう。
データ入力・照合
棚卸が完了したら、収集した在庫数をシステムに入力し、帳簿上の在庫データとの照合を行います。
この工程で、数量の違いや登録ミスなどが明らかになるため、データの整合性を確認することが非常に重要です。
また、手作業での入力はミスが起きやすいため、スキャン入力などのツールを活用するのもよいでしょう。
棚卸差異の記録と報告
月次棚卸で棚卸差異が見つかった場合は、その内容を記録し、原因の特定と対応策の検討を行います。
差異が頻発する場合は、在庫管理プロセス全体の見直しが必要かもしれません。
差異の内容や対応内容は、関係者や管理者にしっかりと報告し、次回以降の棚卸の精度向上につなげましょう。
月次棚卸を適切にするポイント
月次棚卸は、単なる在庫のカウント作業ではなく、企業の在庫管理体制そのものを映し出す重要な業務です。
誤差やミスを最小限に抑え、正確な棚卸を実現するためには、日頃の準備や現場環境の整備が欠かせません。
月次棚卸を適切にするポイントを確認していきましょう。
日頃の在庫管理を適切に行う
棚卸作業を正確に行うには、日々の在庫管理が基盤になります。
入出庫のタイミングで正確な記録を残し、システム上の在庫と実在庫のズレをできるだけ減らしておくことで、棚卸時の差異も最小限に抑えることができるでしょう。
日常業務での小さなズレの積み重ねが、大きな棚卸差異の原因となるため、日々の精度が非常に重要です。
在庫置き場を整理整頓する
在庫が乱雑に保管されていると、正確なカウントは難しくなり、ミスや見落としの原因にもなりかねません。
棚卸前だけでなく、常に整った保管状態を保つことで、在庫品の視認性が向上し、作業効率と正確性の両方に好影響を与えます。
保管場所の明確化させるためのロケーション管理も、誤カウント防止に有効です。
複数人で行う
棚卸は一人で行うよりも、複数人で役割を分担して行う方が正確性が増すでしょう。
たとえば、「カウント担当」と「記録担当」を分けることで、確認と記録のダブルチェックが可能となります。
さらに、同じ在庫を別の人が再確認するクロスチェック方式を取り入れると、ヒューマンエラーをより効果的に防ぐことができます。
棚卸のタイミングを定める
棚卸の実施タイミングがバラバラだと、現場に混乱が生じ、在庫の動きと棚卸のタイミングが重なってミスのもとになってしまうことが考えられます。
たとえば、月末最終営業日など定期的に決まったタイミングで実施することで、現場の準備も整いやすくなり、安定した運用が可能となります。
また、棚卸期間中の入出庫を一時停止するルールを設けるのも有効です。
棚卸の手順・ルールを明確にしておく
作業手順が曖昧なままだと、担当者によってやり方がバラバラになり、ミスや重複が発生しやすくなります。
作業開始前に、誰が・どこを・どうやってカウントするのか、ルールを明確にしておきましょう。
マニュアルを用意したり、簡単な作業前ミーティングを行ったりするだけでも、精度の向上につながることが期待できます。
棚卸の効率化を進める
正確な棚卸を実現するには、効率よく行うことも重要なポイントです。
長時間に及ぶ作業は集中力の低下や作業ミスを招くため、できるだけ短時間で終えられる工夫が必要です。
たとえば、バーコードスキャンや棚卸専用アプリを使えば、カウントと記録を同時に行えるため、スピードも精度も向上します。
効率化は、ミス防止と精度向上の両立に直結する施策といえるでしょう。
月次棚卸を効率化するポイント
月次棚卸は正確さが求められる一方で、現場の負担も大きくなりがちです。
そのため、業務の質を保ちつつ、いかに効率よく進められるかが重要な課題となります。
月次棚卸を効率化するポイントを確認していきましょう。
棚卸方法をデジタル化する
棚卸作業を紙と手書きで行うと、集計ミスや転記ミスが発生しやすく、作業にも時間がかかります。
しかし、バーコードやQRコードを活用し、ハンディターミナルやスマートフォンで読み取る方式に切り替えることで、棚卸のスピードと精度が大幅に向上します。
手入力を極力減らすことで、作業者の負担も軽減できるでしょう。
棚卸選任者で行う
棚卸を通常業務と並行して行うと、集中力が分散し、ミスの原因になるおそれがあります。
そのため、棚卸作業を担当する選任者をあらかじめ決めておき、ほかの業務から一時的に切り離して対応するとよいでしょう。
業務への支障を最小限に抑えながら、正確かつ効率的な棚卸が可能になります。
在庫管理システムを活用する
クラウド型の在庫管理システムを活用すれば、リアルタイムでの在庫情報の把握が可能になり、棚卸作業の準備・実施・集計にかかる時間を大幅に短縮できます。
棚卸の記録をシステム上で一元管理できるため、帳簿との突き合わせや過去データとの比較も容易になることが期待できるでしょう。
棚卸のルールを明確化する
棚卸の手順や記録方法、差異の報告ルールなどを事前に明確にしておくことは、効率的な作業の基本です。
担当者ごとにやり方が異なると、手戻りや再作業が発生しやすくなってしまいます。
しかし、作業マニュアルを整備し、事前に全員で共有しておくことで、スムーズで統一された棚卸が実現します。
定期的な見直しと改善する
棚卸の運用は実施して終わりにするのではなく、定期的に見直しと改善を行うことが重要です。
作業時間のかかりすぎや差異の発生原因などを分析し、ルールやフローの最適化を進めることで、より精度の高い棚卸体制が構築できます。
正確な月次棚卸の実現には「zaico」
月次棚卸を正確かつ効率的に行うためには、アナログな作業や属人的な管理に頼らず、業務全体の仕組みを見直すことが不可欠です。
特に、在庫情報の入力や集計作業においてミスが起きやすい現場では、デジタルツールの活用が大きな効果を発揮してくれます。
「クラウド在庫管理システムzaico」を導入すれば、棚卸作業のデジタル化が進み、バーコードやQRコードを用いたスムーズな在庫確認が可能となります。
また、棚卸専用の機能があるプランもあり、棚卸差異の原因分析や再発防止にも役立てることができます
zaicoは、誰でも使いやすい設計で、現場に負担をかけずに正確な棚卸体制を構築できるツールです。
月次棚卸の効率化を考えている、月次棚卸に役立てられる在庫管理システムをお探しであれば、お気軽にzaicoにお問い合わせください。