人手不足は社会問題でもあり、人手不足で仕事が回らないという悩みや課題を抱えている企業もあるのではないでしょうか。
人手不足で回らない職場は、単純に人手が足りないということ以外にも課題が隠れていることがあります。
人手不足で回らない業界や業種の例や人手不足で回らない原因や具体的な改善方法を確認していきましょう。
人手不足で回らないという会社が増えてきている
少子高齢化が進む日本では、人手不足が年々深刻化しており、人手不足で回らないと感じている企業や仕事現場は増加傾向にあります。
「厚生労働省 一般職業紹介状況(令和6年6月分)」によれば、令和6年6月の有効求人倍率は1.23倍で、この10年は1倍を上回る倍率で推移しています。
つまり、求職者に対して求人の方が多い状況が続いているということです。
慢性的な人手不足が続き、仕事が回らない状況が普通になってしまうと、現場が疲弊し、離職率が高くなったり、サービスクオリティの低下を招いたりする可能性があります。
人手不足で回らない状態になっている業界・業種の例
人手不足で回らないという課題を抱えている傾向が強いのはどのような企業や業界なのでしょうか。
各業界・業種により、人手不足を引き起こす原因が異なりますが、人手不足で回らない状態になっている業界・業種の例を確認していきましょう。
飲食店
ファーストフードやレストラン、カフェといった飲食店には、人手不足で回らない課題を抱えている企業が多いです。
チェーン店などの飲食店は学生バイトの割合が多いため、正社員やパート社員を主体とした企業よりも、人材の流動性が高くなりやすい傾向があります。
そのため、恒常的にバイトを確保し、適切な人数をキープすることが必要なのですが、競合の飲食店もある中、安定して人手を確保するのはなかなか難しいものです。
医療・介護
病院、薬局、介護施設などの医療・介護業界の企業も、人手不足に悩んでいるところが多いです。
医療・介護業界が人手不足で回らない大きな原因は、特別な資格が必要なケースが多く採用対象が狭いうえ、人材流動が激しい業界だからです。
求職者にとっては、資格さえあれば働ける職場の選択肢が多く、転職しても職務内容が大きく変わらないため、他の業界に比べて医療・介護業界は転職のハードルが低い傾向にあります。
条件の良い企業に応募が集まりやすく、突出した条件を提示したり募集費用がかけられない企業は人手不足に陥りやすくなるようです。
製造業
製造業の現場が人手不足で回らなくなっているのには、業界ならではの原因があります。
昨今の物価高騰による影響で、材料費やエネルギー費のコストが上がった分、採用コストを抑えなければならない企業が増えているためです。
実際に、製造業の一般新規求人の数は減り続けており、「厚生労働省 一般職業紹介状況(令和6年6月分)第3表 – 1 主要産業別、規模別一般新規求人状況」によると、令和6年6月には前年同月比14.6%減少しています。
特に中小企業は、新規採用を控える傾向にあります。
新しい人が入らず、十分な人手がいない状態が続いているため、結果的に忙しくなり離職率も高くなってしまう企業が多いようです。
また、「仕事は見て覚える」といった考えが根強く、マニュアルや体制が整備されていない企業の場合は、せっかく入っても慣れる前に辞めてしまうケースもあるようです。
物流業
物流業の人手不足で仕事が回らない背景には、年々増加する宅配便件数と、仕事に対するネガティブイメージがあります。
オンラインショッピングの一般化なども影響し、宅配便の件数は年々増加傾向にあります。
「国土交通省 令和5年度 宅配便等取扱個数の調査及び集計方法 宅配便取扱個数の推移」によると、令和5年度の宅配便合計は約50億個にもなります。
仕事量が増加する一方で、物流業に対する一般的なイメージはあまり良くなく、低賃金・長時間労働など、辛そうな仕事と思われがちです。
積み込みや荷下ろしなどの荷役作業が体力的にしんどそうと思われることもあり、なかなか募集が集まりづらくなっているようです。
人手不足で回らない状態になってしまう原因
そもそもなぜ人手不足で回らない状態になってしまうのでしょうか。
業界や企業規模に限らず、人手不足で回らない状態になる主な原因を確認していきましょう。
仕事量の増加に対して採用が追いついていない
人手を増やす方針にもかかわらず、採用がうまくいかないことで人手不足が起きてしまうことがあります。
仕事量が増えるに従い、適切に人手が増えていく状態が理想ではありますが、人を増やすというのは簡単なことではありません。
十分な募集を獲得し、選考を実施、内定出し、入社意思獲得というステップを全てクリアする必要があります。
採用活動がつまずいてしまうと、結果的に新しい人が増えず、増えた仕事を既存の社員で対応することになるため、人手不足で回らない状態に現場が陥ってしまいます。
仕事が属人化している
仕事が属人化してしまっている職場も、人手不足で回らない状態になるリスクを抱えています。
仕事が属人化しているということは、個人の仕事がブラックボックスになっているということです。
個人の抱える仕事の詳細・過程・ノウハウといった情報が共有されていないので、もしその人が抜けてしまった時、別の人が同じクオリティを発揮することが困難です。
キャッチアップするために、膨大な時間がかかってしまうこともあるでしょう。
離職者が出た時のフォローにかかるコストが、通常の業務を圧迫し、結果的に仕事全体が回らなくなることに繋がります。
また、「属人化している=人に頼れない」ことが原因で離職に繋がることもあり、それが人手不足を引き起こす直接の原因になることもあります。
一人が担当する仕事の種類が多い
一人が担当する仕事の種類が多い場合も、人手不足で回らない状態を生み出している可能性があります。
覚えなければならない仕事が多いということは、一人前として働けるようになるまで時間がかかるということです。
例えば小売販売では、接客・会計・品出し・陳列・在庫確認・店舗清掃などアルバイト一人でもやることがたくさんあります。
全ての仕事を覚えて慣れるまでに時間がかかる上、それが大変で辞めてしまうこともあるでしょう。
早期離職率が高い職場は、一人が覚えなければならない仕事が多くないか振り返ってみると、人手不足で回らない原因を突き止められるかもしれません。
就業環境が悪い
就業環境が良くない職場は、人手不足で回らない状態になる可能性が高いです。
就業環境の悪さと一言で言っても、様々な要因があり、ノルマがきつい、残業が多い、賃金が低い、職場の雰囲気が悪いなどが挙げられます。
こうした就業環境への不満が溜まり、離職に繋がる人が絶えなくなってしまうと、人手不足で回らない状態になってしまいます。
それが就業環境への不満に輪をかけてしまい、悪循環に繋がってしまうこともあります。
また、離職率が低いにも関わらず、就業環境が要因で仕事が回らず、人手不足と感じてしまうケースもあります。
例えば、確認が多すぎる文化風土やマイクロマネジメントが過ぎるなどは仕事が回らなくなる原因になっている可能性があります。
人手不足で回らない状態を改善するには?
人手不足で回らない状態を解消し、職場環境を改善するには、様々な手段があります。
人手不足で回らない状態を改善する方法を確認していきましょう。
従業員にヒアリングする
人手不足で回っていない原因を見極めるために、従業員へ直接ヒアリングすることは欠かせません。
仕組み上はうまく回っているように見えても、実際の現場に立ってみると、想定していなかった問題が起きていることがあります。
仕事を行う当事者である従業員に、人手が足りないと感じたり、手間がかかったりする具体的な場面はどこなのか、情報収集しましょう。
採用で人を増やす
人手不足解消のためには、採用で人を増やすのが最もシンプルな改善策ではあります。
ただし、離職率が高止まりしていたり、仕事が回らない根本原因が別にある場合は、やみくもに採用を行っても、問題が解消しない可能性があります。
採用で人を増やす場合は、人手不足で回らない原因を明確にしてから行うようにしましょう。
アウトソーシングする
仕事をアウトソーシングすることによって、人手不足で回らない課題を改善するという方法もあります。
例えば、資料作成やデザイン業務など、スキルを持った人に任せた方が、圧倒的に早くクオリティが高いものが出来上がるような作業もあるかもしれません。
このような場合、無理に現場の社員に任せるよりアウトソーシングすることで、結果的にコストパフォーマンスが良いことがあります。
マニュアルを作る
覚える仕事が多かったり、複雑だったりすることが仕事が回らない原因だった場合、マニュアル作りは、課題解消に効果的なことが多いです。
そもそもマニュアルを作ることで、仕事のやり方が整理でき、無駄を減らす機会になります。
また、マニュアルがあることで、既存社員への質問などが減り、仕事が回りやすくなることが期待できます。
無駄な作業を減らす
無駄な作業を炙り出すのも、人手不足で回らない状態の改善につながります。
長く仕事を続けていると、「よかれと思って」という気持ちから、いつの間にか作業が増えてしまうことは珍しくありません。
絶対に必要な作業と、なくてもよい作業を仕分け、必要性の低い作業は思い切ってなくしてしまうのが、仕事が回らない状況の改善につながるポイントです。
適切に分業する
各社員の仕事の分担を見直し、適切に分業をすることで、仕事が回らない状態を改善することができます。
一人が担当する作業の種類を減らしてシンプルにすることで、覚えなければならない仕事が減ります。
また、社員の特性に合わせて作業を割り振ることが出来れば、作業効率が上がるだけでなく、得意な仕事ができることで、社員の働く満足度が上がり離職率が下がるかもしれません。
仕事を効率化・仕組み化する
仕事の効率化・仕組み化も、工夫によって人手不足で回らない状況を打開する方法です。
仕事の工程を見直し、より良いやり方ができないか検討してみましょう。
一括でできる作業をまとめる、スキマ時間でできるやり方を考えるなど、これまでのやり方に固執せず柔軟に考えることが効率化に繋がります。
また、仕組み化されておらず、その都度やり方を考えているような仕事は、できる限り減らすようにしましょう。
例えば、一度あった問い合わせに今後すぐ対応できるように、メールのテンプレートを増やしていくなどの細かい工夫も、積もり積もれば大きな時間コストの削減に繋がります。
デジタル化を進める
デジタル化を進めることは、人手不足で回らない状況の大きな助けになるかもしれません。
新型コロナウイルスの流行の影響で、多くの企業や人が働き方を変えなければならなくなったここ数年で、業務効率化のためのITサービスは、ますます多種多様になってきました。
特にSaaSと呼ばれるサービスは、開発が不要のため導入コストが安く、月額で利用できるものが多いため、ピンポイントな課題に対しても導入がしやすい特徴があります。
自社の課題にあったITサービスを見つけられれば、人手不足で回らない状況を、人を採用せずに改善することができるかもしれません。
人手不足で回らない状態の改善にzaico
在庫管理に関連する業務で人手不足で回らない状態を、人をできるだけ採用せずに解消する方法として、クラウド在庫管理システムzaicoを利用してみてはいかがでしょうか。
zaicoは、スマートフォンアプリ、PC両方に対応しており、複数の人や拠点間でリアルタイムな在庫データ共有、発注の仕組み化がzaicoを利用することで可能になります。
さらに、欠品や属人化のリスクを減らし、人手不足で回らない現場の業務効率化につながる効果が期待できます。
在庫管理に関連した業務が人手不足で回らない状態であったり、課題や改善をお考えの場合はzaicoにお気軽にご相談ください。

