「在庫管理を始めたいけれど、いきなりシステムを導入するのはハードルが高い」「まずは手軽に、ノートで在庫管理を試してみたい」在庫管理を検討している方の中には、このように考えている方もいるかもしれません。
小規模な事業や、取り扱う品目数が少ない場合、ノートによる在庫管理は有効な手段です。
一方で、事業の成長とともに、さまざまな課題にも直面します。
在庫管理をノートで行う方法から、在庫管理をノートで行うメリット・デメリット、ノートより在庫管理システムが良い理由を解説します。
在庫管理ノートとは
在庫管理ノートとは、その名のとおり、商品や部品などの入出庫や在庫数を手書きで記録・管理するためのノートのことです。
古くから行われている最もシンプルな在庫管理手法であり、パソコンや専用なシステムを一切使わない、いわゆる「アナログ」な管理方法を指します。
デジタル化が進む現代でも、事業を始めたばかりでまだ在庫数が少ない時期や、ITツールに不慣れなスタッフが多い現場などで利用されています。
在庫の動きを一つひとつ手で書き記すことで、商品の流れを肌感覚で把握できる点も魅力です。
在庫管理ノートでの管理方法
ノートを使った在庫管理は誰でもすぐに始められますが、正しく運用しないと記録の漏れやミスにつながります。
在庫管理ノートで在庫を管理するための方法を見ていきましょう。
準備するもの
まずは在庫管理用のノートを用意します。
B5サイズやA4サイズの大学ノートが一般的です。
商品ごとにページを分けることを想定し、ページ数に余裕のあるものを選びましょう。
罫線は、方眼タイプのものを選ぶと、線を引いたり表を作成したりする際に便利です。
最初から「在庫管理用ノート」として市販されているものを使うのも良いでしょう。
筆記具は複数色のボールペンや蛍光マーカー、インデックスシール、定規を揃えておくと便利です。
品目ごとにタブや見出しをつけると検索性が上がり、保管場所ラベルや簡易バーコード(手書きコード)を導入すると管理がしやすくなります。
記録する項目
在庫管理ノートに記録する基本的な項目は以下のとおりです。
- 商品名・品番
 - 入庫日・出庫日
 - 入庫数・出庫数
 - 在庫数
 - 仕入れ先・出荷先
 - 担当者名
 
記録する項目のフォーマットを定め、記入例をノートの表紙に貼っておくことで、誰が書いても同じ形式で記録できるようになります。
入出庫記録の流れ
入庫時は納品書や受領伝票と照合して数量を確認し、ノートに入庫日・数量・仕入先を記入して残数を加算します。
出庫時はピッキングリストや出庫伝票に基づいて出庫数量を記入し、残数から減算します。
在庫管理ノートの記録は、在庫が動くたびに、その場で行うことが重要です。
後でまとめて書こうとすると、記入漏れや記憶違いによるミスが発生しやすくなります。
ノート管理を継続するためのコツ
手軽に始められる在庫管理ノートですが、継続するのは意外に難しいものです。
挫折せずに続けるためには、以下のようなコツがあります。
- ルールを統一し、マニュアル化する
 - 担当者を明確にする
 - 定期的に棚卸する
 - ノートの置き場所を決める
 
これらのコツを意識することで、アナログながらも精度の高い在庫管理を目指すことが可能です。
在庫管理ノートのメリット
在庫管理ノートを使ったアナログな方法には、デジタルな管理にはないいくつかのメリットがあります。
在庫管理ノートを使う主なメリットを見ていきましょう。
初期コストがかからず経済的
在庫管理ノートの大きなメリットの1つは、コストをほとんどかけずに始められる点です。
市販のノートと筆記用具があればすぐに始められ、高価なソフトウェアや専用のバーコードリーダーなどを購入する必要がありません。
予算に制約がある中小企業や小規模な店舗にとっては、まずは低コストで在庫管理を始める上で有効な選択肢といえるでしょう。
誰でもすぐに使えるシンプルさ
ノートによる在庫管理は、非常にシンプルな点も魅力です。
パソコンの操作が苦手な方や、スマートフォンのアプリに不慣れな従業員でも、使い方を教わればその日からすぐに担当できます。
複雑な操作方法を覚える必要がなく、研修時間も最小限に抑えられるため、教育コストも低く抑えることが可能です。
システム障害やネットワーク不具合の心配が不要
在庫管理ノートは物理的に在庫情報を管理するため、システム障害やネットワーク不具合の影響を受けません。
在庫管理システムを導入した場合、システムが停止してしまうと、その間の入出庫作業が滞り、ビジネスに大きな影響を与えます。
どんな状況下でも、ノートとペンさえあれば業務を継続できる点は、アナログな在庫管理ノートならではの大きな強みであり、安心材料といえるでしょう。
在庫管理ノートのデメリット
手軽でコストもかからないノート管理ですが、事業規模が大きくなるにつれて限界も見えてきます。
在庫管理ノートが抱える主なデメリットを解説します。
記入漏れや記録ミスが発生しやすい
手書きの在庫管理ノートの最大のデメリットは、ヒューマンエラーの発生リスクです。
忙しい業務の中で記入を忘れたり、数値を間違って記入したりするミスが起こりやすくなります。
また、入庫数や出庫数から残数を算出する際の計算ミス、桁数の読み間違い、類似商品との混同なども少なくありません。
これらのミスが積み重なると在庫数に差異が生じ、欠品や過剰在庫の原因となります。
情報の検索や集計に時間がかかる
情報の検索や集計作業に多くの時間がかかる点も、在庫管理ノートのデメリットです。
例えば、「あの商品は、先月どれくらい売れたか?」というデータを集計・分析しようとすると、電卓を片手に関連するページの数字を拾い出し、手作業で計算する必要があるため、非効率であることは否めません。
迅速な経営判断が求められる現代において、データの検索や集計の手間は大きなデメリットとなり得ます。
リアルタイムでの情報共有が難しい
在庫管理ノートは、物理的に1冊しか存在しません。
そのため、複数の担当者が同時に在庫状況を確認することは困難です。
例えば、営業担当者が外出先から商品の在庫数を確認したいと思っても、事務所にいる誰かに電話してノートを見てもらう必要があります。
情報共有の手間やタイムラグは、部署間の連携ミスや、顧客への誤った納期回答などを引き起こすリスクにつながります。
紛失や破損のリスクがある
紙媒体であるノートは、常に紛失や破損のリスクと隣り合わせです。
どこかに置き忘れてしまったり、誤って捨ててしまったりする可能性はゼロではありません。
また、コーヒーをこぼして文字が読めなくなったり、火災や水害などでなくなってしまったりする可能性もあるでしょう。
企業の重要な資産である在庫情報が一冊のノートに集約されている状態は、事業継続の観点から見て脆弱であると言わざるをえません。
在庫管理ノートより在庫管理システムが良い理由
ノート管理のデメリットが顕在化してきた場合には、次のステップとして「在庫管理システム」の導入がおすすめです。
在庫管理システムは、ノート管理が抱える課題のほとんどを解決してくれます。
在庫管理ノートより在庫管理システムが良い理由を確認していきましょう。
バーコードスキャンや自動計算によりミスを削減できる
多くの在庫管理システムには、スマートフォンやハンディターミナルで商品のバーコードをスキャンするだけで、商品情報を読み取れる機能が備わっています。
これにより、手書きによる商品名の書き間違いや、品番の記入ミスなどを根本からなくすことが可能です。
また、入出庫数を入力すれば、在庫数は自動で計算してくれるため、計算ミスも発生しません。
誰が作業しても同じ精度を保てるため、在庫データの信頼性が飛躍的に向上します。
過去のデータを瞬時に検索・分析できる
システム上では、在庫データがすべてデジタル化されて保管されています。
そのため、「商品名」や「期間」などで検索すれば、必要な情報を瞬時に探し出すことが可能です。
また、蓄積されたデータを活用して、「どの商品がいつ、どれくらい売れたか」のような分析も簡単に行えます。
これにより、売れ筋商品や死に筋商品を正確に把握し、データに基づいた発注計画や販売戦略を立てることが可能です。
在庫状況をリアルタイムに把握・共有できる
クラウド型の在庫管理システムを導入すると、インターネット接続があればどこからでも最新の在庫情報にアクセスできます。
例えば、倉庫で入庫処理すれば、その情報は即座にシステムに反映され、外出先の営業担当者も常に最新の状態が確認可能です。
これにより、部署間の情報格差がなくなり、問い合わせの手間が削減されるだけでなく、顧客対応のスピードと正確性も向上するでしょう。
バックアップにより在庫情報を安全に保管できる
在庫管理システムでは、定期的なバックアップにより貴重な在庫データが安全に保護されています。
クラウドサービスを利用する場合、複数のデータセンターに分散してバックアップが保管されるため、災害や機器故障によるデータ損失のリスクを大幅に軽減できます。
また、データの変更履歴も自動的に記録されるため、誤った操作や不正なデータ改変があった場合でも、速やかに復元可能です。
これにより、物理的なノートのように紛失や破損を心配することなく、重要な資産である在庫情報を安全に管理し続けられます。
在庫管理ノートから脱却するならzaico
ノートでの在庫管理は、手軽に始められる在庫管理の第一歩です。
しかし、事業が成長し、取り扱う商品が増えるにつれてさまざまな課題が表面化してきます。
それは、ビジネスが順調に成長している証拠でもありますが、同時に在庫管理の方法を見直すサインです。
ノートでの在庫管理に限界を感じ始めているのなら、「クラウド在庫管理システムzaico」の導入をご検討ください。
zaicoは、バーコードやQRコードをスキャンして入出庫を記録でき、ノート管理では避けられない「記入漏れ」や「集計ミス」を防ぎます。
在庫管理ノートから脱却をお考えであれば、まずはお気軽にzaicoまでご相談ください。


