在庫管理の現場では、フリー在庫という言葉を耳にすることがあるかと思います。
フリー在庫は、すでに受注や引当がされていない、出荷可能な在庫のことを指します。
フリー在庫は、納期遵守や販売機会の最大化に直結する重要な指標であり、その管理精度が業務全体の効率を大きく左右します。
しかし一方で、フリー在庫の誤認やステータス管理の不備によって、出荷トラブルや過剰在庫を引き起こすこともあります。
フリー在庫の基礎から、フリー在庫の管理上の注意点などを解説します。
フリー在庫とは
フリー在庫とは、現時点で出荷予定や受注引当がなされておらず、自由に使用可能な在庫のことを指します。
簡単に言えば「今、売ることができる在庫」です。
帳簿上に存在していても、すでに引き当て済みの在庫や、安全在庫、返品検品中の在庫はフリー在庫に含まれません。
在庫を管理するうえで、このフリー在庫を正確に把握しておくことは非常に重要です。
例えば、ある製品を10個在庫していたとしても、そのうち8個が他の受注に引き当てられていれば、実際に販売可能なフリー在庫は2個しかありません。
このような情報をリアルタイムに把握できていないと、販売可能だと思っていた在庫が実は使えず、納期遅延や誤出荷のリスクが高まります。
フリー在庫が重要な理由
なぜフリー在庫は重要なのでしょうか。
フリー在庫が重要な理由を確認していきましょう。
受注に即対応できる在庫基盤となるため
フリー在庫が適切に管理されていれば、新規の受注に対して即座に引き当て・出荷対応が可能です。
これにより納期遵守率が向上し、取引先との信頼関係も強化されます。
特に短納期が求められるBtoB取引やECにおいては、フリー在庫の有無がビジネスの成否に直結します。
在庫回転率の向上と過剰在庫の抑制につながるため
常にフリー在庫の量を意識することで、売れ残りや死蔵在庫を減らし、在庫回転率の改善につながります。
フリー在庫を確保しすぎれば過剰在庫になり、逆に少なすぎれば機会損失が発生するため、適正なバランスを保つ運用が求められます。
突発的な需要やトラブルに柔軟に対応できるため
フリー在庫があれば、急な注文や出荷トラブルなど、想定外の事態に対しても柔軟な対応が可能です。
納品ミスや商品不良による再手配にも即座に対応できるため、顧客対応力の向上にもつながります。
営業・販売活動の計画が立てやすくなるため
営業担当者にとって、実際に販売可能な在庫が把握できていなければ、提案や契約も行いにくくなります。
フリー在庫が明確であれば、販売戦略を立てやすくなり、プロモーション活動にも弾力が生まれます。
出荷遅延や誤出荷のリスクを減らすため
フリー在庫の状態が誤っていれば、すでに引き当てられている在庫を誤って出荷するケースが発生します。
出荷遅延や誤出荷は重大なクレームに発展する恐れがあり、正確な在庫区分とシステムによる整備が不可欠です。
フリー在庫の管理で起こりやすいトラブル
フリー在庫の管理でトラブルが起きることはあるのでしょうか。
フリー在庫の管理で起こりやすいトラブルを確認していきましょう。
フリー在庫と実在庫のズレが起きる
帳簿上ではフリー在庫があるのに、実際には倉庫に存在しないというトラブルはよくあります。
これは主に入出荷処理のタイミングズレや、記録漏れが原因です。
結果として、出荷ができず納期遅延につながるリスクがあります。
引当処理の遅れや二重引当の発生
フリー在庫の引当タイミングが管理されていないと、同一在庫を複数の注文に割り当ててしまう二重引当が発生します。
二重引当により、どちらかの注文が出荷不可となり、トラブルの火種となります。
安全在庫を誤ってフリー在庫と認識するリスク
本来は出荷してはならない安全在庫を、フリー在庫と誤認してしまうケースもあります。
安全在庫は、突発的な需要やトラブル対応のために確保するものであり、誤って消費すれば、将来的な欠品リスクを高めてしまいます。
在庫ステータスの更新漏れや遅延
手動で処理をしている現場では、ステータス更新が後回しになることも多く、実態とデータに乖離が生まれます。
特に複数の作業者が関与する業務フローでは、更新忘れによるトラブルが起こりやすくなります。
在庫移動後のフリー在庫未反映
倉庫間やロケーション間での在庫移動が完了しても、システム上に反映されていなければ、その在庫はフリー在庫として扱われません。
移動後に実在庫はあるのに出荷できないという無駄なロスが生まれる原因となります。
フリー在庫を適切に管理するためのポイント
フリー在庫を適切に管理するためにはどのようなことに気を付けるべきでしょうか。
フリー在庫を適切に管理するためのポイントを確認していきましょう。
在庫ステータスのリアルタイム更新を徹底する
倉庫管理システムやERPと連動し、入出荷や引当処理がリアルタイムに反映される体制を構築しましょう。
ステータスの更新に時間差があると、フリー在庫情報の正確性が損なわれ、誤出荷のリスクが高まります。
在庫区分の定義と運用ルールを明確化する
フリー在庫、引当済み在庫、安全在庫、返品検品中など、各在庫の区分と意味を全社的に統一しましょう。
定義があいまいなまま業務を進めると、現場の混乱やミスの原因になります。
定期的な棚卸で実在庫と帳簿在庫の差異を確認する
定期的な棚卸によって、実在庫とシステム上の帳簿在庫との差異を検出し、修正する仕組みが重要です。
差異の原因を分析することで、日常業務のどこに問題があるのかを特定し、改善へつなげられます。
業務フローにおける引当ルールの整備
引当作業を行うタイミング、誰が行うのか、複数注文があった場合の優先順位など、業務フロー上の引当ルールを明文化することが重要です。
引当ルールの整備により、誤った引当や二重引当の発生を抑えることができます。
在庫移動や返品処理後の在庫反映タイミングを管理する
在庫の物理的な移動や返品後の再入庫が完了しても、システムへの反映が遅れれば業務が止まってしまいます。
処理完了後すぐに反映されるようなオペレーション設計が求められます。
在庫管理システムを活用する
手作業や表計算ツールでの管理には限界があります。
在庫管理システムを導入すれば、在庫のステータス管理、引当管理、棚卸差異の把握などを一元的に行えます。
特に複数拠点・多品種を扱う企業では導入メリットが大きいでしょう。
適切なフリー在庫の管理にzaico
適切なフリー在庫の管理には在庫管理システムの活用はとても有効です。
バーコードやQRコードを利用する在庫管理やリアルタイムな在庫の把握は正確なフリー在庫の記録に貢献してくれます。
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