BOMはエクセルで管理できる?BOMエクセル管理のメリット・デメリット

製造業において、製品の安定した生産と品質を支える根幹となるのが「BOM(部品表)」です。

BOMをどのように管理するかは、生産効率やコスト管理に直結します。

BOMの管理方法として、中小企業をはじめ多くの企業で採用されているのがエクセルです。

BOMをエクセルで管理する方法から、BOMをエクセルで管理するメリット・デメリット、BOMをエクセルで管理することに限界を感じたときの次のステップについて確認していきましょう。

BOMはエクセルで管理できる?

結論から言うと、BOM(部品表)をエクセルで管理することは可能です。

BOMとは「Bill of Materials」の略で、製品がどのような部品や原材料から構成されているかを示す一覧表を指します。

親子関係のある階層構造で表現されることが多く、製品の製造に必要な部品の種類と数量を正確に把握するために不可欠な情報です。

エクセルを使えば、こうした部品情報を表形式でまとめ、階層構造を表現できます。

そのため、比較的小規模な企業や製品の部品点数が少ない場合、まずはコストをかけずにBOM管理を始めたいという場合には、エクセルは有効な選択肢といえるでしょう。

一方で、製品が複雑化し部品点数が増えるにつれて、BOMのエクセル管理の限界が見えてきます。

自社の規模や製品の特性に合わせた利用ツールの判断が重要です。

BOMをエクセルで管理する方法

BOMをエクセルで管理するためには、いくつかのステップが必要です。

BOMをエクセルで管理する方法を解説します。

BOMに必要な項目の洗い出し

最初に行うべきは、BOMにどのような情報が必要かを洗い出すことです。

管理したい内容によって項目は異なりますが、一般的には以下のような項目が必要になります。

  • 階層
  • 品目コード(品番)
  • 品目名(品名)
  • 員数(所要数)
  • 単位
  • 備考

これらの基本項目をベースに、自社の業務内容や管理体制に合わせて、例えば「調達リードタイム」「単価」「仕入先コード」などの項目を追加することで、より実用的なBOMになります。

部品表の作成と階層構造の表現

必要な項目を洗い出したら、実際にエクセルシートに部品表を作成していきます。

1行に1つの部品情報を入力していくのが基本です。

次に、BOMの最大の特徴である「階層構造」を表現します。

階層構造の表現には、以下のようないくつかの方法があります。

  • インデント(字下げ)を使う
  • 階層列を設ける
  • 親品目コード列を設ける

ただし、エクセルでは階層構造が自動で紐づけられないため、手動での管理が必要です。

関数を活用した数量の自動計算

エクセルには、SUM関数やVLOOKUP関数など、便利な関数が多数搭載されています。

関数の活用により、部品の合計数量や単価の自動計算が可能です。

例えば、下位の部品の数量をSUM関数で合計し、上位の部品の必要数量を自動で算出したり、部品番号から単価を自動で参照したりできます。

これにより、手作業での計算ミスを防ぎ、BOMの制度を向上させることが可能です。

BOMをエクセルで管理するメリット

小規模なBOM管理をエクセルで始めるのには、手軽さとカスタマイズ性などのメリットがあります。

BOMをエクセルで管理するメリットを見ていきましょう。

導入コストほぼゼロですぐに始められる手軽さ

エクセルは多くの企業ですでに導入されているため、BOM管理を始めるための追加コストがほとんどかかりません。

また、特別なシステムの導入や教育も不要なため、思い立ったらすぐにBOM管理を始められます。

これは、特に予算が限られている中小企業や、まずは手軽にBOM管理を試してみたいと考えている企業にとって、大きなメリットといえるでしょう。

多くの人が使い慣れている操作性の高さ

エクセルは、多くのビジネスパーソンが日頃から使用しているツールです。

そのため、BOM管理の新しいシステムを導入した際に発生しがちな操作方法の学習コストが低く、誰でもすぐに使いこなせます。

慣れた操作でデータの入力や編集、分析が行えるため、現場の担当者への負担も少なく、スムーズにBOM管理を業務に組み込むことが可能です。

自社の運用に合わせて柔軟に作れるカスタマイズ性

エクセルは、自社の業務フローや製品の特性に合わせて、自由にシートをカスタマイズできる点も大きな魅力です。

BOMに特定の項目を追加したり、独自の計算式を組み込んだり、見た目を整えたりと、まさに自社専用のBOMを作成できます。

高いカスタマイズ性により、市販のパッケージ製品では対応しきれない細かなニーズにも応えることが可能です。

BOMをエクセルで管理するデメリット

BOMのエクセル管理にはメリットがある一方で、デメリットも存在します。

デメリットを理解しておくことで、エクセル管理の限界を把握し、将来的なシステムの移行を検討する際の参考になるでしょう。

BOMをエクセルで管理するデメリットを見ていきましょう。

ヒューマンエラーが発生しやすい

エクセルは自由度が高い反面、入力ミスや数式の誤りなどヒューマンエラーが起きやすい点がデメリットです。

BOMでは1つの小さなミスが、誤った部品の発注や生産ラインでの手待ち、最悪の場合は製品の欠陥につながる可能性もあります。

データの正確性を担保しにくい点は、エクセルによるBOM管理の課題といえるでしょう。

管理が属人化しやすい

エクセルはカスタマイズ性が高い反面、それが「属人化」を招く原因にもなります。

特定の担当者が複雑な関数やマクロを駆使してBOMを作成した場合、担当者以外は仕組みを理解できず、メンテナンスが困難になるケースが少なくありません。

属人化が進むと、担当者の異動や退職時に、BOM管理業務が継続できなくなるリスクがあります。

階層構造を表現・維持するのが難しい

BOMは部品の階層構造が重要ですが、エクセルはデータベースではないため、階層構造を正確に表現し、変更時にも整合性を保つのが困難です。

インデントや階層番号で工夫できるものの、手動で紐付けや更新を行う必要があるため、製品構成が複雑になるほど更新作業に時間がかかり、誤りも生じやすくなります。

結果として、正しいBOMを維持できなくなるリスクが高まるでしょう。

データ量の増加による動作遅延やファイル破損のリスク

製品の種類や部品点数が増えるにつれて、BOMのデータ量は増加していきます。

大規模なデータになると、エクセルファイルの起動や計算などに時間がかかり、動作が著しく遅くなることがあります。

最悪の場合、ファイルが破損して開けなくなり、これまで蓄積してきた貴重なデータが一瞬で失われてしまう致命的なリスクにも注意が必要です。

BOMのエクセル管理に限界を感じたら導入を検討したいツール

エクセルでのBOM管理は手軽ですが、前述のようなデメリットが顕在化し、限界を感じることもあるでしょう。

そのような場合は、専用のツールを導入することで、BOM管理をより効率的かつ安全に行えます。

BOMのエクセル管理に限界を感じたら導入を検討したいツールを紹介します。

BOM管理システム

BOM管理システムは、その名のとおりBOMの管理に特化した専門のソフトウェアです。

部品情報を一元的にデータベースで管理し、設計変更の履歴を自動で記録・保存します。

これにより、部門間で常に最新の正しい情報を共有でき、ヒューマンエラーや属人化を防ぐことが可能です。

また、設計変更がどの製品に影響するかの影響範囲を即座に特定できるなど、エクセルでは困難だった高度な管理が実現できます。

生産管理システム

生産管理システムは、BOM情報をもとに、生産計画や工程管理、進捗管理など、生産に関わる業務を効率化するためのシステムです。

BOM管理システムと同様に、BOM情報を中心に、資材の発注や在庫の状況をリアルタイムに把握できます。

特に、多品種少量生産や複雑な製造プロセスを持つ企業にとって、生産管理システムは生産効率の向上に有効なツールです。

ERP(統合基幹業務システム)

ERP(Enterprise Resource Planning)は、会計や人事、生産、販売、在庫など基幹業務を統合して管理するシステムです。

ERPはBOM管理だけでなく、BOM情報を活用した資材所要量計画(MRP)や原価管理など、企業全体の業務を一元的に管理できる点に強みがあります。

ただし、導入コストが高く、自社の業務に合わせたカスタマイズが必要になるため、どちらかというと大企業向けのシステムです。

在庫管理システム

在庫管理システムはBOM管理にも活用が可能です。

構成品の数量、使用予定などの情報を、在庫数やロケーションと同じシステム内で管理できれば、情報の整合性が高まり、業務効率が向上します。

BOM管理システムや生産管理システム、ERPのような高度なBOM管理は必要ないが、エクセルよりも効率的に行いたいという場合には、在庫管理システムを活用するのも良いでしょう。

BOMはエクセルで管理するよりzaico

エクセルでのBOM管理は、コストをかけず手軽に始められるため、小規模な製造業では適した方法です。

一方で、ヒューマンエラーや属人化、階層構造の維持の難しさなどの課題があるため、規模の拡大とともにエクセルの限界も見えてきます。

規模の拡大とともに専門的なシステムへ移行するアプローチが多くの企業にとって現実的な選択肢といえるでしょう。

エクセルでのBOM管理に限界を感じているなら、「クラウド在庫管理システムzaico」をご検討ください。

zaicoなら、BOM情報との連携により、部品の在庫状況をリアルタイムで把握し、在庫の自動引き落としや発注点管理を実現します。

エクセルではなくBOM管理に使える在庫管理システムをお探しの方は、zaicoまでお気軽にご相談ください。

※記事内に記載されたzaicoのサービス内容や料金は記事公開時点のものとなり、現行の内容とは異なる場合があります