需要予測は、自社の提供する商品やサービスがどの程度売れるかを、短期的・長期的に予測することです。
これにより欠品や過剰在庫が防げるだけでなく、需要予測の精度を上げることで、在庫量の調整やコスト最適化が可能になり、健全な企業活動に役立ちます。
では現存するデータ等を根拠にして需要予測を立てるにはどうすればよいのでしょうか? ここでは需要予測を行う計算方法を紹介するとともに予測を行う際のポイントも解説していきたいと思います。
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目次
需要予測とは?
需要予測とは文字通り「需要を予測すること」です。繁忙期と閑散期の出荷状況を勘案したり、前年度、前々年度の実績を参考したりしながら、自社の製品やサービスが1年間を通して、どれくらい利用され、どれくらいの売上を確保できるかを予測していきます。精度の高い需要予測ができれば、より効率的な経営戦略が立てやすくなり、金融機関からの信頼を得て資金の借り入れや設備投資などもしやすくなります。そういう意味で需要予測はより精密に進めていく必要があります。
需要予測は経験と勘頼り?
需要予測には予測を立てるだけの根拠や経験則が必要です。需要予測は「毎年、この時期にはこの注文が来る」といった営業担当者の経験則を集約しながら立てていく方法もあれば、売上管理や注文履歴などの管理データを活用して立てていく方法もあります。
綿密な需要予測によって得られる数字は従業員の給与・待遇、設備投資等にも大きく影響を及ぼす非常に重要なものです。近年、消費動向が変動しやすいこともあり、個人の経験や勘に頼らず、管理データを活用して進めていくことでより客観的な需要予測を立てることができると言ってよいでしょう。
需要予測に用いる4種類の計算方法
需要の予測はより綿密に行っていく必要があります。ここではしっかりした需要予測をするための4種類の計算方法について紹介します。
時系列分析法
時系列分析法は需要予測を行うためのもっともオーソドックスな方法です。
前年度、もしくは半期、上下四半期、あるいは前年同月の営業実績など、一定の時間間隔において得られたデータの推移をもとに需要を予測していきます。
時系列分析を行うに際しては、時間の経過と併せて、季節性、周期性などをより綿密に考慮して需要予測を進めていきます。社会情勢も踏まえて進める必要があります。
移動平均法
移動平均法は実績値を区間ごとに分け、区間の平均値を出して、区間自体で需給コントロールを進めていく方法です。
たとえば前年度において、1月の売上が750万円、2月の売上が500万円、3月の売上が1,150万円だったとします。各月で見るとバラツキが大きく、需要予測が困難なので移動平均法でこれをトータルで見るようにします。すると1~3月の売上は2,400万円となり、前期の1~3月の平均売上高は800万円となります。そして、この800万円を需要の予測値とし、今期における1~3月の入荷や在庫管理を進めていきます。
指数平滑法
指数平滑法は、「需要予測と実需要には差が出る」ということを予め見込み、これを指数として設定して需要予測を行う計算法です。指数平滑法では以下の計算式が使われます。
<指数平滑法の計算式>
予測値=a×前回実績値+(1-a)×前回予測値
たとえば今年度に行った需要予測で1年間の商品売上が5,000万円と見込んだのですが、実際には4,500万円だったとします。この場合、4,500÷5,000=0.9となるので、指数aを0.9に設定して次年度の需要予測を算出します。
したがって次年度の需要予測値は、
0.9×4,500+0.1×5,000となり、これを計算すると4,550万円となります。
加重移動平均法
加重移動平均法は先述した移動平均法と基本的に同じ要領で需要予測を行っていきますが、直近のデータの結果をより重要視した計算式で数値を求めていきます。加重移動平均法では各データに加重係数を与えます。最新データの係数を1として、次に新しいデータの係数を0.9、次に新しいデータの係数を0.8といったように定めていき、係数に実績値をかけた数を求めていき、これらの平均値を需要予測値とします。
最新データの係数は1となり、それより以前のデータについては等間隔に数を減らしたものになります。減らす数の大きさをaとすると、
1×最新データ+(1-a)×2番目に新しいデータ+(1-2a)×3番目に新しいデータ+(1-3a)×4番目に新しいデータ……
と加算して、最後にデータの数で割ることで需要予測値を求めます。
需要予測はExcelでも計算できる
Excelには非常にたくさんの関数があり、今紹介した時系列分析法、移動平均法、指数平滑法といった需要予測をするための計算方式もコマンドの一つとして収載されています。これらの計算を実際にExcelでどのように行うのか簡単に紹介していきます。
関数を使って計算する
FORECAST関数:Excelを使って需要予測をしたいときに使える代表的な関数としてまず挙げられるのが、このFORECAST関数です。単回帰分析によって需要予測を行います。FORECAST関数は「年度」と「売上」といったように、項目の因果関係が一対一で対応するようなケースで需要予測をしたいときに使うコマンドです。
TREND関数:複数の因子を統計学的に処理する重回帰分析という計算方式で予測データを算出します。そのため、チラシ配布数と売上高の相関性など、販促活動がどのくらい効果的に売上に貢献しているかといった費用対効果を検証した上で需要予測を立てるときはTREND関数の活用が便利です。
SLOPE関数:過去のデータをもとに平均的な売上金額の伸び率を求めるときに使う関数です。過去の平均的な伸び率を確認したうえで、前回実績に伸び率を加算した値を需要予測値として適用するとよいでしょう。
予測シート機能を使う
Excel2016から追加された機能に「予測シート機能」というものがあります。予測シート機能を使うことで過去の実績データから将来数年後までを予測するデータやグラフを作ることができます。
予測シートの作り方はきわめて簡単です。データの日付部分を選択してからCtrlキーを押し、日付部分に対応する売上部分を選択します。そして、その状態から「データ」タブで「予測シート」を選択します。すると「予測ワークシート」の作成という画面がプレビューグラフとともに出てくるので、画面右下にある「作成」をクリックします。すると下記のようなエクセル上に将来推計データが追加された表と折れ線グラフが掲載された新規のシートが現れます。
↓↓プレビュー画面から「作成」をクリックするとシートができる↓↓
需要予測を行う際のポイント
需要予測と実需要の間には当然ズレは生じます。それでも需要予測は経営上の方針や戦略において重要な指標・判断材料を見出すという意味において重要な作業なのです。ここであらためて需要予測を進める際に重要なポイントについて見ていきましょう。
過去データの量と質が大切
需要予測では過去の実績を示すデータの量と質が重要であることは言うまでもありません。また、需要の動向を判断する因子は、全体の売上高だけでは不十分です。実際の注文数や顧客別の売上高、営業担当者ごとの売上実績など、経営状況の判断基準となるデータがあるに越したことはありません。とはいえあまりに情報が多すぎ、それらの一つひとつにとらわれ、取捨選択が進まなくなると明確な経営指針を立てられなくなるおそれも出てきます。需要予測に際しては、過去の実績が精度高く管理され、かつ適切に細分化されたデータを揃えることが望ましいと言えるでしょう。
予測と実績を比較分析する
需要予測と実需要の間には当然ズレはあるものです。経営においてはこのズレ、すなわち「読み通りにいかないこと」を客観的に認識することが今後の戦略を構築するうえで重要なものとなります。1年間を通して需要を見た場合、その間にどんな不測の事態が生じたか、どんなことが見込み違いだったのか、といったことをしっかり検証することで、これからの経営方針、販売戦略をより現実に即応したもの、より安定し強固なものにすることができます。
外的要因も考慮する
需要予測において不測の事態を見込むことはまず不可能です。社会情勢は刻々と変化し、疫病、戦禍などで入出荷や生産の計画は大幅な軌道修正を余儀なくされてしまうこともあります。。原材料の高騰、競合他社の値下げ戦略に伴う商品価格の見直しなども需要予測を狂わせる要因です。こうした外的要因も考慮して、需要予測値に上下限の振り幅をもたせたり、予備の在庫を確保したりするなど、需要予測値を妄信せず、柔軟に対応する体制を備えておく必要があります。
需給予測をサポートするツールもある
在庫管理システムの中にはAI(人工知能)による需要予測システム機能を搭載しているものもあります。そのような在庫管理システムではAIを活用することで、天候に応じた需要予測や在庫切れの予測機能、商品カテゴリーごとの需要予測機能などを実装しており、より精度の高い需要予測の実現と需要に即した在庫管理を推し進めてくれます。
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需要予測はピッタリ当てることが重要なのではなく、予測値と実際値との差が生じたとしてもその原因を究明し、課題を析出し、より適切な生産計画・経営戦略を推進していくことに意義があります。とはいえ需要予測に際しては過去のデータを過不足なく集め、さまざまな条件を想定しながら導き出していく必要があります。データに不備があっては正確な予測ができません。
そのためには在庫の状況を正確に把握する必要があります。在庫状況の正確な把握のために有効なのが在庫管理ソフトの活用です。
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