製品の安全性が厳しく問われる現代において、「トレーサビリティ」の重要性は高まっています。
しかし、「言葉は知っているが、具体的にどのようなトレーサビリティのメリットがあるのかよくわからない」という方も少なくないでしょう。
トレーサビリティの基礎知識を整理したうえで、導入企業・サプライチェーン・消費者それぞれの視点からトレーサビリティのメリットを詳しく解説します。
トレーサビリティのメリットの前に知っておきたい基礎知識
トレーサビリティのメリットを正しく理解するためには、まずその概念や背景を把握しておくことが重要です。
本題に入る前の前提知識として、トレーサビリティの定義と、社会的に求められるようになった背景を解説します。
トレーサビリティとは
トレーサビリティ(Traceability)とは、英語の「Trace(追跡する)」と「Ability(能力)」を組み合わせた言葉で、日本語では「追跡可能性」と訳されます。
具体的には、原材料の調達から製造・加工・検査・流通・販売・消費にいたるまでの一連のプロセスを記録し、いつでも遡って確認できる状態を指します。
例えば食品であれば、「どの産地で生産され、どの工場で加工・包装され、どの経路で店頭に並んだか」を追跡できる仕組みです。
製品ライフサイクル全体を可視化できることが、トレーサビリティの本質といえます。
トレーサビリティが求められる背景
トレーサビリティが強く求められるようになった背景には、消費者の食の安全や製品品質に対する意識の高まりがあります。
かつて多発した食品の産地偽装問題や、工業製品の大規模なリコール問題などを経て、企業には透明性の高い情報開示が求められるようになりました。
また、サプライチェーンのグローバル化も大きな要因です。
製品が完成するまでに多くの国や企業が関与する現代では、どこか一箇所で問題が発生した際の影響範囲が広大になります。
そのため、万が一の事態に備えてリスクを最小限に抑えるためのリスクマネジメントとして、トレーサビリティの確立が欠かせません。
こうした背景から、トレーサビリティの整備は「あると望ましいもの」から「事業運営に不可欠なもの」へと変化しつつあります。
トレーサビリティのメリット:導入企業のメリット
基礎知識を押さえたところで、ここからはトレーサビリティの導入によって得られるメリットを、導入企業、サプライチェーン、消費者の3つの視点で見ていきましょう。
まずは導入企業のトレーサビリティのメリットを確認していきましょう。
不良品発生時の迅速な原因究明と対応
企業にとって、トレーサビリティが確立されているメリットは、不良品が発生した際、被害を最小限に食い止められる点です。
従来、一部の製品に不具合が見つかった際、原因が特定できなければ「念のため」として膨大な範囲の製品を回収しなければなりませんでした。
しかし、トレーサビリティが機能していれば、個体やロットを即座に特定でき、回収範囲を最小限に絞り込んで回収コストやブランドイメージの失墜を防ぐことが可能です。
製品の品質向上と安全性の継続的な担保
トレーサビリティの導入は、トラブル発生時の事後対応だけでなく、日常的な製品の品質向上にも寄与する取り組みです。
製造工程ごとの記録が蓄積されることで、不良が発生しやすい工程や条件を分析できるようになります。
こうしたデータの活用により、製造プロセスの改善や品質管理体制を強化し、製品の安全性や信頼性の長期的な維持が可能です。
トレーサビリティのメリット:サプライチェーン全体のメリット
トレーサビリティの効果は、自社内にとどまりません。
原材料の調達先から最終的な販売先まで、サプライチェーン全体に広がることで、より大きな価値を生み出します。
トレーサビリティがサプライチェーン全体に与えるメリットを解説します。
取引先(サプライヤー・販売店)との情報共有の円滑化
トレーサビリティの情報をサプライチェーンで共有することで、企業間の情報共有の円滑化が可能です。
例えば、製品の納期確認や原材料の成分証明書のやり取りなど、従来は電話やメールで行っていた確認作業が、データを参照するだけで完了します。
販売店での売れ行きが即座に製造現場や原材料サプライヤーへフィードバックされる体制が整えば、過剰在庫を防ぎつつ、欠品による機会損失を最小限に抑えることも可能です。
サプライチェーン全体のボトルネックの早期発見と改善
サプライチェーンを横断してリードタイムや在庫移動の記録を共有できれば、どこに停滞が生じているか、「ボトルネック」が一目でわかります。
「特定の倉庫での入出庫作業に時間がかかっている」「特定の輸送ルートで遅延が頻発している」といった課題が浮き彫りになるため、組織の壁を越えた業務改善も可能です。
問題を早期発見できれば、手遅れになる前に対処でき、サプライチェーン全体のコスト削減とリードタイムの短縮につながります。
トレーサビリティのメリット:消費者のメリット
トレーサビリティの恩恵は、企業側だけが享受するものではありません。
最終的に製品を購入・使用する消費者にとってもメリットがあります。
消費者目線でのトレーサビリティのメリットを解説します。
製品の安全性が確認できることによる安心感
消費者にとってのメリットの1つは、製品の「来歴」を確認できることによる安心感です。
例えば、食品であれば、QRコードを読み取ることで産地・生産者・農薬の使用状況・流通経路などを確認できる仕組みが実用化されています。
このような透明性の高い情報開示は、消費者の購買意欲を高めるだけでなく、企業や製品に対する信頼感を高めることにつながるでしょう。
トラブル時の正確で迅速な情報開示
製品に問題が発覚した場合、消費者が望むのは「何が起きているのか」「自分が持っている製品は該当するのか」という正確な情報です。
トレーサビリティが整備されている企業は、問題の原因・影響を受けるロット・対象商品の流通先などを迅速かつに特定し、消費者への情報開示を素早く行えます。
曖昧な情報や後から訂正が出る対応と比べて、消費者の不安を最小限に抑えることが可能です。
トレーサビリティのメリットを享受するための導入ステップ
トレーサビリティのメリットを活かすためには、無計画に導入するのではなく、適切な手順を踏んで進めることが重要です。
トレーサビリティのメリットを享受するための導入ステップを解説します。
現状の課題整理と導入目的の明確化
最初のステップは、自社が現在抱えている課題を洗い出し、トレーサビリティを導入する目的を明確にすることです。
単に「他社もやっているから」という理由で導入すると、無駄なデータを集めるだけの形骸化した仕組みになりかねません。
「品質トラブルの原因究明に時間がかかっている」「サプライヤーとの情報共有が属人化している」など課題はさまざまです。
まずは現場の声をもとに課題を洗い出すところから始めましょう。
管理対象とする範囲とデータの粒度の決定
目的が明確になったら、次は、どの範囲を、どの程度の細かさで管理するのかを決定します。
すべてを完璧に管理しようとすると多くの手間とコストがかかるため、費用対効果のバランスを見極めることが重要です。
例えば、管理範囲を自社工場内の製造工程のみに絞るのか、販売後の顧客への流通まで含めるのかによって、必要な仕組みや投資規模が大きく変わります。
製品の単価やリスクの大きさに応じて、適切な範囲と粒度を選択しましょう。
自社のニーズに合ったシステム・ツールの選定
管理の方針が決まったら、それらを実現するためのシステムやツールを選定します。
近年は、自社でサーバーを構築する必要がなく、初期費用を抑えて手軽に導入できるクラウド型の在庫管理システムや、ERP(基幹幹業務システム)が主流です。
情報とモノを紐付ける仕組みには、バーコードやQRコード、電波を使って複数のタグを一括で読み取れるRFIDなどがあります。
自社の予算や既存システムとの連携のしやすさなどを総合的に評価し、最適なツールを選定しましょう。
スモールスタートでの試験運用と効果測定
システムを選定したら、一気に全社展開するのではなく、特定の部門や製品ラインでスモールスタートを行うことをおすすめします。
試験運用の中で、「バーコードの読み取り漏れが発生しやすい」「入力作業が現場の負担になり、作業効率が落ちている」などの課題が必ず見つかります。
課題に対して、マニュアルの改訂やシステムの設定変更などの改善を行い、スムーズに運用できるオペレーションが確立できてから、対象範囲を段階的に広げていくようにしましょう。
トレーサビリティのメリットを理解したらzaico
トレーサビリティは、不良品への迅速な対応や品質確保から、取引先との関係強化、消費者への安心感の提供まで、多方面にわたるメリットをもたらします。
単なる記録・管理の仕組みではなく、企業の競争力や社会的信頼を高めるための重要な経営インフラといえるでしょう。
トレーサビリティ環境を構築するには、使いやすく、かつ情報の連携がスムーズなシステムが欠かせません。
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