滞留在庫の分析はなぜ重要?滞留在庫分析の指標や手順と役立つツール

倉庫内のスペースを圧迫し、企業の利益を少しずつ削っていく要因となるのが「滞留在庫」です。

滞留在庫を放置すると経営に悪影響を及ぼすため、早急な滞留在庫の分析や対策が求められます。

しかし、ただやみくもに処分すれば良いというわけではなく、適切に滞留在庫の分析をしたうえで対処が必要です。

滞留在庫の分析が必要な理由から手順、滞留在庫を分析する注意点、滞留在庫の分析に利用できるツールなどをわかりやすく解説します。

滞留在庫の分析が必要な理由

滞留在庫とは、入庫してから一定期間が経過しても出荷や販売が行われず、倉庫に留まっている在庫のことです。

過剰な滞留在庫はキャッシュフローを圧迫し、倉庫の保管スペース維持費や管理のための人件費などのコストを増大させます。

また、長期間保管されることで商品の劣化や陳腐化が進み、最終的には廃棄による損失を招く恐れもあります。

このような事態を防ぐためには、「どの商品が」「どれくらいの期間」「なぜ」滞留しているのか滞留在庫の分析を行い把握しなければなりません。

表面的に在庫が余っているという事実だけを見るのではなく、根本的な原因を解明するための分析を行うことで、初めて効果的な施策を打ち出せます。

定期的な分析により滞留在庫を減らせれば、資金繰りの改善や保管コストの削減が実現し、より健全な経営状態を取り戻すことが可能です。

滞留在庫の分析に使われる主な指標

滞留在庫の実態を把握するためには、勘や経験に頼るのではなく、客観的な数値に基づくアプローチが不可欠です。

滞留在庫の分析でよく用いられる代表的な指標を紹介します。

在庫回転率

在庫回転率とは、1ヶ月や1年など一定期間に在庫が何回入れ替わったかを示す指標です。

一般的に「売上原価 ÷ 平均在庫金額」で算出されます。

在庫回転率が高いほど、在庫が効率よく販売・出荷されていることを意味し、逆に低い場合は、滞留在庫化している可能性が高いと判断できます。

在庫回転期間

在庫回転期間は、在庫が入庫してから出庫されるまでに、平均して何日かかるかを示す指標です。

「棚卸資産 ÷ 1日あたりの売上原価」などで計算します。

回転期間が長すぎる商品は将来的に滞留在庫化するリスクが高いため、兆候を早期に察知するのに有効です。

滞留日数・エイジング

滞留日数とは、各在庫品が入庫してから現時点まで保管されている日数のことで、エイジング(在庫年齢)とも呼ばれます。

滞留日数を30日以内、31〜60日、61〜90日、91日以上など一定の区分に分類することで、問題在庫を品目レベルで把握可能です。

長期滞留品を早期に発見し、値引き販売や廃棄などの意思決定をする際に役立ちます。

ABC分析

ABC分析とは、在庫品目を売上高や出荷頻度などの重要度に応じてA・B・Cの3グループに分類する管理手法です。

ABC分析により、企業の利益を支える売れ筋のAランク商品と、貢献度の低いCランク商品を区別できます。

Cランクの商品群の中から、滞留日数の長いものを掛け合わせて抽出すると、経営の足かせとなっている滞留在庫をあぶり出すことが可能です。

滞留在庫分析の手順

指標の意味を理解したら、次は実際に分析を進める手順を把握しましょう。

目的の設定からデータ収集・可視化・原因特定・改善策の実行まで、滞留在庫分析の手順を解説します。

分析の目的と対象範囲を明確にする

分析を始める前に、「何のために分析するのか」「どの倉庫・品目・期間を対象とするのか」を明確にしておくことが重要です。

目的が曖昧なまま分析を始めると、データ収集の方向性がブレたり、結果をどう活用すればよいかわからなくなったりします。

また、対象範囲を絞ることで、分析の精度と効率が高まるでしょう。

入出庫や在庫推移のデータを収集する

目的と範囲が決まったら、入出庫履歴や在庫推移など、分析の材料となる正確なデータを収集します。

特に、最後に動いたのはいつか(最終出庫日)というデータは、滞留在庫を特定する上で重要な情報の1つです。

データに抜け漏れがあったり、手入力によるミスが含まれていたりすると、この後の分析結果の信憑性が大きく失われてしまいます。

指標を用いて現状の在庫状況を可視化・分類する

収集したデータをもとに、前述の在庫回転率・在庫回転期間・滞留日数・ABC分析などの指標を算出し、在庫の状態を可視化しましょう。

品目ごとに滞留日数や回転率を一覧化することで、「どの品目が問題なのか」が一目でわかるようになります。

グラフやヒートマップなどの視覚的な表現を活用すると、関係者との情報共有もスムーズです。

滞留が発生している原因を特定する

在庫の現状が可視化できたら、次は「なぜ滞留が発生しているのか」という原因を特定します。

需要予測の精度不足による過剰発注や販売計画の変更による売れ残り、季節需要の読み誤りなど、滞留在庫の原因はさまざまです。

表面的な数値だけでなく、営業や購買、製造など関連部門へのヒアリングも組み合わせながら、根本原因を掘り下げることが効果的な改善につながります。

原因に基づいた改善策を立案・実行する

原因が明確になったら、それに対応した改善策を立案・実行します。

例えば、過剰発注が原因であれば発注ルールの見直し、販売計画とのズレが原因であれば部門間の連携強化、などの対策が有効です。

また、すでに滞留してしまった在庫に対しては、値引き販売による処分やアウトレット業者への転売、思い切った廃棄などの対策を検討します。

分析だけで終わらせず、対策を実行して初めて価値が生まれることを忘れてはいけません。

滞留在庫の分析を行う際の注意点

滞留在庫の分析を進めるにあたって、いくつか気をつけておかなければならない注意点があります。

軽視すると、せっかくの分析が誤った経営判断を引き起こす要因になりかねません。

滞留在庫の分析を行う際の注意点を解説します。

データの正確性と鮮度を確保する

分析結果の質は、元となるデータの質に依存します。

システム上の在庫数と実際の在庫数にズレが生じていては、正しい分析はできません。

また、古いデータを使った分析は現状と乖離するリスクがあります。

分析に用いるデータはできるだけ最新のものを使用し、定期的にデータの正確性を検証する体制を整えることが重要です。

滞留在庫の定義を明確にしておく

何日以上動きがなければ滞留在庫とみなすかは、企業や業種によって異なるものです。

滞留在庫の定義が曖昧なまま分析を進めると、判断基準が曖昧になり、対策の優先順位が定まりません。

分析を始める前に、自社の商品特性・在庫回転の実態・経営目標などを踏まえた上で、滞留在庫の定義を統一しておく必要があります。

定義を明確化して共有することで、分析結果の解釈や対応方針にズレが生じにくくなるでしょう。

季節要因や一時的なトレンドなどの外部要因も考慮する

在庫の動きは、季節性や市場トレンド、外部イベントなどの影響を受けます。

例えば、夏用商品が冬に在庫として残っていても、季節的な需要サイクルによるものでしょう。

こうした外部要因を考慮せずに指標だけで判断すると、問題のない在庫を滞留と誤認したり、逆に本当の問題を見落としたりするリスクがあります。

分析の際は、季節指数や市場動向なども合わせて確認し、数値の背景を読み取ることが大切です。

一度の分析で終わらせない

滞留在庫の分析は、大掃除のように一度実施して終わりというものではありません。

市場のニーズや競合の動向は常に変化しており、気づかないうちに別の商品が新たな滞留在庫となるリスクは常につきまといます。

定期的に在庫状況の見直しを行い、予測と実績の乖離を検証するサイクルを継続的に回し続けることが重要です。

定期的に分析を行うことで、滞留の兆候を早期に発見し、傷が浅いうちに素早い対処が可能になります。

滞留在庫の分析を効率化するツール・システム

滞留在庫の分析を適切に行うには、データの収集・集計・可視化を支えるツールが欠かせません。

滞留在庫分析の現場でよく使われるツール・システムを紹介します。

エクセル

小規模な在庫数であれば、エクセルでも十分に滞留在庫の分析が可能です。

エクセルは、多くの企業のパソコンに標準搭載されているため、追加の導入費用なしで手軽に始められます。

在庫データをシートに取り込み、SUMIF関数やピボットテーブルを活用すれば、品目ごとの在庫回転率や滞留日数の計算が可能です。

ただし、データ量が増えると動作が重くなったり、複数人での同時編集による先祖返りが起きたりするため、中規模以上の本格的な運用には限界があります。

在庫管理システム

在庫管理システムは、商品の入出庫から日々の在庫状況までを一元的に管理できるITツールです。

バーコードなどを読み取ることでリアルタイムに正確な在庫数を把握できるため、システム在庫と実在庫のズレを最小限に抑えられます。

多くのシステムには、滞留日数の長い商品を自動で抽出したり、在庫回転率を算出したりする機能が備わっています。

これにより、担当者の分析にかかる労力を削減して、迅速な意思決定が可能です。

BIツール

BI(ビジネスインテリジェンス)ツールは、社内に散在するさまざまなデータを集約し、高度な分析や可視化を行うためのシステムです。

在庫データだけでなく、各店舗の販売データや顧客属性のデータなどと掛け合わせた、より立体的で多角的な分析を得意とします。

高度な分析が可能な分、導入や設定、運用には専門知識が必要になります。

データ量が多く、複雑な分析や経営の可視化が求められる規模の大きな企業に適したツールです。

滞留在庫の分析にもzaico

滞留在庫は、企業の貴重な保管スペースやコストを奪い、キャッシュフローを悪化させる、経営の阻害要因です。

滞留在庫の問題を根本から解決するには、在庫回転率や滞留日数などの指標を用いた定期的な分析が欠かせません。

正確な在庫データを日々蓄積し、スピーディーに分析するには、在庫管理システムの活用が効果的です。

滞留在庫の分析を始めてみようとお考えなら、「クラウド在庫管理システムzaico」の導入をご検討ください。

zaicoなら、パソコンやスマートフォンで「何が・どこに・いくつあるのか」を簡単に、リアルタイムで把握できるようになります。

蓄積した在庫データはCSVで出力できるので、エクセルやBIツールとの連携もスムーズです。

滞留在庫の分析をもっと効率化したい方は、まずはzaicoまでお気軽にご相談ください。

※記事内に記載されたzaicoのサービス内容や料金は記事公開時点のものとなり、現行の内容とは異なる場合があります