有効在庫とは?正しく有効在庫を管理するメリットと運用のポイント

在庫管理の現場では、有効在庫という言葉が使われる場合があります。

有効在庫とは、出荷・販売が可能な在庫の量を指し、実際に受注に割り当てられる在庫を意味します。

見かけ上の在庫が多くても、引き当て済みや保留中の在庫が含まれていれば、それは使えない在庫であり、販売に活用できません。

こうした在庫の見え方と実態の差は、受注判断や納期管理、営業活動に大きな影響を及ぼします。

有効在庫とは何かという基本的な定義から、有効在庫と実在庫との違い、有効在庫の正しい管理によって得られるメリット、そして起こりやすい課題と解決のポイントを確認していきましょう。

有効在庫とは

有効在庫とは、現在の時点で販売や出荷が可能な在庫数量を指します。

なる棚卸在庫や物理的に存在する実在庫とは異なり、「他の受注に引き当てられていない」「安全在庫に含まれていない」「返品処理中や不良品ではない」といった、使用可能な在庫だけを計上した数字です。

たとえば、倉庫に100個の在庫があるとしても、80個が既に引き当て済みであり、10個が不良在庫で出荷できない場合、有効在庫は10個しかないことになります。

このように、実際に販売可能な在庫を明示することで、営業や受注管理部門が正確な判断を行えるようになります。

有効在庫と実在庫の違い

在庫管理における実在庫とは、物理的に倉庫や店舗に保管されている在庫の総数を指します。

これは棚卸しで確認される在庫数であり、目に見える数量です。

一方、有効在庫はその中からすぐに使える在庫だけを抽出したものです。

たとえば、他の注文に引き当てられた在庫、検品中・返品対応中の在庫、安全在庫として確保されている分、欠品や不良で出荷できない在庫は実在庫に含まれますが、有効在庫には含まれません。

有効在庫と実在庫の違いを理解せずに業務を進めてしまうと、在庫はあるはずなのに出荷できない、受注可能と判断したのに出荷不可といったトラブルが発生します。

有効在庫は、業務で使える在庫の現実的な上限値であり、業務判断の基盤となる数値です。

有効在庫を正しく管理するメリット

有効在庫を正しく管理するとどのようなメリットがあるのでしょうか。

有効在庫を正しく管理するメリットを確認していきましょう。

正確な受注可否判断ができる

有効在庫を正確に把握していれば、営業担当や受注処理担当は即座にこの注文を受けても大丈夫かどうかを判断できます。

これにより、受注後の出荷不可や納期遅延といったリスクを回避することができます。

特に短納期対応や複数注文が重なる繁忙期では、有効在庫の把握が意思決定のスピードと正確性を左右します。

業務部門と営業部門が同じデータに基づいて動ける体制が構築されれば、顧客対応力が格段に向上します。

欠品や過剰在庫を防止できる

有効在庫が正確に管理されていれば、在庫の偏りや無駄な仕入れを避けることができます。

過剰に発注したり、逆に足りないのに気づかず販売を継続してしまうといった事態を防ぐことが可能です。

特に、リードタイムの長い製品や季節商品では、有効在庫の変動を早期に察知して、計画的な発注が行える体制が必要不可欠です。

結果として、保管コストや廃棄ロスの削減にもつながります。

販売機会ロスの削減につながる

在庫があるにも関わらず、それが有効在庫として正しく管理されていない場合、在庫なしと誤認して販売機会を逃すことがあります。

有効在庫を的確に把握していれば、即納可能な商品を正確に案内することができ、機会損失を減らせます。

特にECやBtoB通販においては、在庫状況がそのまま購買判断に直結します。

有効在庫情報をシステム連携させることで、リアルタイムに商品可用性を表示することも可能となり、売上機会を最大化できます。

有効在庫の管理で起こりやすい課題

有効在庫管理にはどのような課題があるのでしょうか。

有効在庫の管理で起こりやすい課題を確認していきましょう。

実在庫との乖離が発生する原因になる

現場でありがちなのが、実在庫はあるが、有効在庫として認識されていない、帳簿上はあるが、実際には欠品しているといった在庫乖離です。

原因としては、入力ミス、棚卸差異、返品未処理、システム連携遅延などがあります。

また、在庫区分が明確でない場合、現場の判断で一時的に在庫を確保したり、在庫を動かしてしまうことで、システムと実態にズレが生まれることもあります。

このズレが積もると、在庫の信頼性自体が損なわれてしまいます。

引当処理の遅れによる誤認識が起きる

受注処理の中で、在庫引当が手動または非同期で行われていると、実際にはもう他に引き当てられているのに、まだフリー在庫だと思い込むという誤認が発生します。

これが二重引当や誤出荷の原因となります。

二重引当や誤出荷のようなミスは、営業担当が注文を受けた後に出荷できませんと判明するパターンで起こり、顧客との関係にも悪影響を及ぼします。

入荷予定数の不確実性による誤差が生じる

入荷予定を有効在庫に含めるケースもありますが、納品遅延や欠品、誤納といったリスクも含んでいます。

実際に到着していない在庫を前提に引当を行うと、トラブルが発生する可能性が高くなります。

そのため、入荷予定は有効在庫に含めるかどうかのルールを明確にし、場合によっては条件付き有効在庫などの別区分で管理することが望ましいです。

有効在庫を正しく運用するためのポイント

有効在庫を正しく運用するためにはどのようなことに気を付けるべきでしょうか。

有効在庫を正しく運用するためのポイントを確認していきましょう。

リアルタイム更新と正確なデータ入力

有効在庫の管理には、正確な在庫データの即時反映が欠かせません。

在庫管理システムやERPを活用し、入出荷・引当・返品・棚卸のすべての処理がリアルタイムに更新される仕組みを構築しましょう。

また、現場オペレーションの標準化と、作業者への教育によって、入力ミスや記録漏れを防ぐことも重要です。

1件のミスが大きな誤差につながるため、常に精度とタイミングを意識する必要があります。

引当管理の自動化・ルール化

在庫引当の処理を自動化することで、人為的なミスや遅れを防げます。

受注処理と同時に自動で引当を実行し、在庫ステータスが即時に更新される体制を整えましょう。

また、優先順位のルールを明確化し、トラブルが起きた際も判断がぶれない仕組みを整えることが、安定した在庫管理につながります。

在庫管理システムの活用

Excelなどの手動管理では、有効在庫の精度を保つのは困難です。

在庫管理システムやERPと連携し、自動化された在庫更新、引当処理、帳簿と実在庫の突合などを行うことで、精度とスピードが大幅に向上します。

特に多拠点運用・多品種商品を扱う企業では、システム活用によって業務効率と在庫可視化を同時に実現できます。

クラウド型システムを導入すれば、在宅勤務でも在庫状況が把握可能になるため、柔軟な運用も可能です。

有効在庫を正しく運用するためにzaico

有効在庫を正しく運用するには在庫管理システムの活用はとても有効です。

バーコードやQRコードを利用する在庫管理やリアルタイムな在庫の把握は正確な有効在庫の記録に貢献してくれます。

クラウド在庫管理システムzaico」は、在庫の更新内容をリアルタイムで同期して在庫を可視化し、在庫管理の負担、欠品・過剰在庫を大幅に削減するクラウド在庫管理アプリになり、インターネット環境さえあれば時間や場所を問わずにアクセスできます。

製造業、小売・卸売業、建設・不動産業を中心に、さまざまな企業・団体で導入し、在庫管理にかかる時間を大幅にカットするなど、効果を実感いただいています。

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