資材管理をエクセルで行うケースは少なくありません。
エクセルはコストがかからず、すぐに使い始められるため、中小規模の資材管理ではエクセルで済む場合もあるからです。
資材管理をエクセルでする方法やメリット、資材管理をエクセルでする注意点、資材管理をエクセルより効率化するポイントを確認していきましょう。
資材管理はエクセルが適している?
エクセルは資材管理において広く利用されているツールです。
操作が簡単でカスタマイズが可能なため、特に規模の小さい組織やシンプルな管理業務には適している場合も多くあるでしょう。
しかし、データ量が多い場合や高度な分析が求められる場合は内容を問わず、エクセルの限界が課題となることもあります。
そのため、資材管理にエクセルが適しているかどうかは、管理する資材の規模や複雑さ、必要な精度によって異なります。
資材管理に関わらず、運用の効率化や正確性を確保するためには、エクセルにこだわるのではなく、適切な運用方法を理解することが重要です。
資材管理をエクセルでするメリット
資材管理をエクセルでするメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
資材管理をエクセルでするメリットを確認していきましょう。
追加コストが不要な場合がある
エクセルがすでにインストールされているパソコンを利用している場合、追加費用をかけずに利用できるので、追加コストが不要です。
加えて、多くの従業員が基本的な操作に慣れているため、導入教育の手間やコストも最小限で済みます。
自社で管理したい項目に合わせて、比較的容易に管理表を作成できる点もメリットです。
資材管理に利用するシステムを導入するほどの予算がない場合、すでにあるエクセルを使用してみるというケースも多いのではないでしょうか。
カスタマイズしやすい
エクセルはセルや関数を自由にカスタマイズできるため、業務に合わせた管理表を作成できます。
例えば、資材コード、サプライヤー、発注点、リードタイムといった管理項目を自由に追加・設定できます。
また、条件付き書式を活用し、在庫が発注点を下回った資材に色を付けて注意喚起することも可能です。
特定の業務プロセスに特化したフォーマットを構築可能になるので、資材管理用のエクセルを作ることができます。
データ分析機能もある
ピボットテーブルやグラフ作成機能を活用することで、資材の利用状況や在庫推移を視覚的に把握できます。
例えば、サプライヤーごとの購入実績を比較したり、資材の種類別に消費傾向を分析したりすることが容易になります。
また、在庫の滞留状況をグラフで可視化すれば、不要在庫の早期発見にも繋がります。
エクセルの機能でデータを活用した意思決定を支援してくれます。
簡単に始められる
エクセルは多くの人が基本的な操作方法を理解しており、新たな教育やトレーニングを必要としないため、すぐに運用を開始できます。
また、既存のソフトウェア環境を活用できるため、追加の導入コストや手間をかけずに資材管理を始められるのも利点です。
これにより、専用システムの導入検討等を待たずに、必要と感じたらすぐにでも管理をスタートできます。
まずはシンプルな形で始めて、運用しながら改善していくという柔軟な対応がしやすい点も挙げられます。
異常値を可視化できる
条件付き書式を活用することで、在庫切れや過剰在庫といった異常値を簡単に可視化できます。
例えば、「在庫数が発注点を下回ったらセルを赤色に」「一定期間動きのない在庫は黄色に」といったルールを設定できます。
これにより、多数のデータの中から注意すべき在庫を即座に見つけ出すことが可能です。
異常値の可視化により、迅速な対応が可能になります。
簡易な自動化も可能になる
関数やマクロ、VBAを活用することで、データ入力や計算の自動化が可能です。
計算や定型的なデータ操作を自動化すれば、入力ミスや計算間違いといったヒューマンエラーを減らせます。
また、常に一定のルールで処理されるため、作業品質の安定化にも繋がります。
簡易な自動化により、手作業の負担を軽減できます。
資材管理をエクセルで効率的にするポイント
資材管理をエクセルで効率的にするにはどうすればいいのでしょうか。
資材管理をエクセルで効率的にするポイントを確認していきましょう。
関数を活用して自動計算を行う
SUM関数やIF関数を利用して、在庫数や使用量の計算を自動化することで、手計算ミスを防ぎます。
例えばIF関数で「在庫が発注点を下回ったら”要発注”」と表示させたり、SUMIF関数でカテゴリ別の在庫合計を算出したりできます。
これにより、目視での確認作業の手間を省き、見落としリスクも低減できます。
また、自動計算は時間短縮につながり、作業の効率化を図ることが可能です。
条件付き書式で在庫状況を可視化
在庫量が一定の閾値を下回った場合にセルの色を変えるなど、異常値を視覚的に目立たせる工夫が可能です。
これはExcelの「条件付き書式」機能で設定でき、在庫僅少だけでなく、過剰在庫(上限超過)や滞留在庫なども色分けやアイコンで区別できます。
これにより、リストの中から対応が必要な在庫を容易に識別できます。
在庫不足や過剰在庫を早期に発見し、適切な対応を取ることができます。
フィルター機能で素早くデータ検索
フィルター機能を活用することで、特定の資材や条件に基づいたデータをすぐに抽出でき、効率的な情報アクセスが可能です。
例えば、「特定のサプライヤーの資材リスト」「在庫が発注点以下の品目」「特定の倉庫エリアの在庫」などを瞬時に絞り込んで表示できます。
これにより、全データを確認せずとも、目的の情報だけを素早く確認できます。
複数条件での検索も簡単に行え、必要な情報に素早くたどり着けます。
ピボットテーブルを活用したデータ分析
ピボットテーブルを使うことで、大量のデータを簡単に集計・分析でき、在庫管理の効率を向上させます。
例えば、商品分類ごとの在庫金額や拠点別の在庫数を集計したり、ABC分析のためのデータを整理したりといった作業が容易になります。
これにより、手作業での集計ミスを防ぎ、分析にかかる時間を短縮できます。
また、グラフ機能と組み合わせることで、視覚的にデータを把握することができます。
マクロやVBAで作業を自動化
マクロやVBAを利用して定型作業を自動化すれば、業務時間を削減し、効率的な管理が可能になります。
例えば、日次レポートの作成、外部データファイルの取り込み・整形、特定の条件でのリスト抽出などを自動化できます。
これにより、作業の一貫性が保たれ、手順の個人差によるばらつきやミスを防ぐことができます。
特に頻繁に行う作業を自動化することで、ヒューマンエラーのリスクも低減できます。
テンプレートを作成してフォーマットを統一
テンプレートを用意しておくことで、入力ミスを減らし、管理表の統一感を保つことができます。
テンプレートには、必要な項目名、入力規則、基本的な計算式、条件付き書式などをあらかじめ設定しておくことが可能です。
これにより、利用者は都度フォーマットを考える必要なく、定められた枠組みに従って効率的に作業を進められます。
統一されたフォーマットは、データの比較や集計を簡単にする利点もあります。
資材管理をエクセルでする課題と注意点
資材管理をエクセルでする場合にはどのような課題に注意すべきでしょうか。
資材管理をエクセルでする課題と注意点を確認していきましょう。
手入力によるミスのリスク
エクセルは手入力が基本となるため、入力ミスが発生する可能性があります。
例えば、数量の桁間違い、品番の誤入力、コピー&ペーストの際のズレなどが考えられます。
また、入力時にマスタデータと照合するなどの自動チェック機能も乏しいため、ミスに気づきにくいのです。
これが在庫管理の正確性を損なう原因になり、管理の信頼性を低下させます。
属人化を招くリスク
エクセルで資材管理をするフォーマットを用意したり、エクセルに関する知識がある方が独自で作成した場合は、属人化を招く恐れがあります。
特に複雑な関数やマクロ、独自ルールが文書化されずに組み込まれていると、作成者以外には修正困難な「ブラックボックス」と化します。
その担当者が異動や退職で不在になれば、日々の資材管理が滞るリスクも生じます。
エクセル自体に何か起きた場合、特定の人しか直せなかったり、同じようなものを用意できないとなると効率も悪くなるだけでなく、属人化を生んでしまうことになります。
データの一貫性とバージョン管理の難しさ
複数人でエクセルを運用する場合、異なるバージョンのファイルが複数存在することで、一貫性が失われることがあります。
各自がファイルをコピーして編集・保存したり、メールで送受信したりするうちに、どれが最新版なのか分からなくなりがちです。
その結果、古いデータに基づいて誤った発注判断や生産指示をしてしまう可能性があります。
特に最新データが不明確になると、誤った意思決定を引き起こすリスクがあります。
データ量が増えると動作が遅くなる
エクセルはデータ量が増えると動作が重くなり、運用に支障をきたす場合があります。
データ量が増えることにより、データ検索や処理に時間がかかり、業務効率が低下します。
ファイルを開くのに数分を要したり、入力や計算の度に待たされたりすると、作業が頻繁に中断され、従業員のストレスも増大します。
この待ち時間は、積み重なると無視できない時間のロスとなります。
セキュリティリスクが高くなる場合がある
エクセルファイルは、適切に保護されていない場合、データ漏洩や不正アクセスのリスクが高まります。
ファイルが容易にコピーされメール等で社外に持ち出されたり、ファイル単位のパスワードだけではアクセス履歴が追跡できなかったりする点が脆弱性と言えます。
また、意図しない情報流出に繋がりかねません。
特に機密性の高い情報を扱う場合には、慎重な運用が求められます。
分析や拡張性に限界がある
エクセルは小規模なデータ管理には適していますが、大規模なデータ分析や複雑な拡張には向いていません。
例えば、高度な統計解析を用いた需要予測や、基幹システムとのリアルタイムなデータ連携といった機能は、Excel単体での実現は困難です。
また、処理速度や扱えるデータ量にも限界があります。
高度な分析が必要な場合、専用システムやソフトウェアを検討する必要があります。
そもそもエクセルが適していない場合がある
業務内容や規模によっては、エクセルではなく専用の資材管理システムを検討すべき場合があります。
例えば、入力ミスやデータの不整合が頻発したり、ファイルの動作が著しく遅くなったり、複数人でのリアルタイムな情報共有が必要になったりした場合が、その検討時期と言えるでしょう。
特に、データが複雑化している場合には、運用効率の低下が顕著になる可能性があります。
エクセルで不備や課題が生じている場合がある
現在の運用方法を定期的に見直し、エクセルでの管理が適切かを判断することが重要です。
見直しの際には、「現在の業務量や複雑さに対応できているか」「エラーや非効率が頻発していないか」などの観点で評価します。
形骸化しないよう、年に一度など定期的に評価の機会を設けるのが良いでしょう。
課題が解消されない場合は、別の管理方法への移行を検討することが必要です。
エクセルでの資材管理の課題を解決するには?
エクセルでの資材管理の課題を解決するためにはどのようなことを行えばよいでしょうか。
エクセルでの資材管理の課題を解決する方法を確認していきましょう。
入力ルールの標準化とチェック体制の構築
入力ミスを防ぐために、入力ルールを明確にし、定期的にデータを確認する体制を整えます。
例えば「数値は半角のみ」等のルールを定め、Excelの「データの入力規則」機能で選択リストや入力制限を設定すれば、不適切なデータ入力を未然に防げます。
これは入力時のミスを減らす有効な手段です。
入力チェック用のセルや条件付き書式を活用することで、ミスを事前に防ぐ工夫ができます。
クラウドストレージや共有機能を利用したバージョン管理
クラウドサービスを活用することで、最新のデータを常に共有し、バージョン管理の問題を解決できます。
クラウド上の単一のファイルやデータベースに全員がアクセスするため、「どれが最新版か」という混乱が起こりません。
また、リアルタイムでの共同編集機能により、他の人の作業状況を確認しながら、スムーズに分担作業を進められます。
複数の担当者が同時に作業を行っても、データの一貫性を保つことができます。
データ量の分割とファイル最適化
データを複数のファイルに分割し、軽量化することで、エクセルの動作速度を改善します。
例えば、月別や商品カテゴリ別にファイルを分割管理する方法が考えられます。
ただし、ファイルを分けすぎると、全体を集計・分析する際に手間がかかるため、バランスが重要です。
また、不要なデータや複雑な計算を削減することで、さらに最適化を図ることが可能です。
パスワード設定と権限管理によるセキュリティ強化
エクセルファイルにパスワードを設定し、アクセス権限を制限することで、データの保護を強化します。
エクセルではファイルを開くパスワードと編集を制限するパスワードを設定できますが、これだけでは不十分な場合もあります。
より機密性の高い情報の場合は、アクセス権を適切に管理したサーバーやフォルダに保管することが不可欠です。
特に重要なデータには暗号化やバックアップを施し、情報漏洩のリスクを最小限に抑えます。
エクセルからシステムへの移行
エクセルで課題が生じているということはエクセルでの管理が適していないともいえます。
例えば、入力ミスやデータ不整合が頻発する、データ量増加で動作が極端に遅い、リアルタイムな情報共有が困難、といった状況は限界のサインかもしれません。
これらの多くは、専用システムの導入によって解消が期待できます。
また、資材管理に限らずエクセルはさまざまな用途で利用されていますが、脱エクセルの必要性もさまざまな場面で言われてきていることです。
資材管理においてもエクセルで課題が生じているようであれば、エクセルからシステムへの移行を検討してみるといいかもしれません。
資材管理はエクセルよりzaico
エクセルは資材管理を手軽に始めるツールとして適していますが、運用には注意が必要です。
入力ミスやセキュリティリスク、データ量の増加による運用の限界を認識し、効率的に管理するための工夫を取り入れましょう。
また、エクセルではなく資材管理に使えるシステムの利用を検討することで、さらなる効率化や精度向上を図ることが可能です。
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