生産計画は、製造業で製品を効率的に生産し、安定して顧客へ届けるために欠かせません。
多くの製造現場では、身近なツールであるエクセル(Excel)を使って生産計画を作成・管理しているのではないでしょうか。
エクセルは手軽に使えて導入しやすい一方、規模が大きくなると限界も見えてきます。
生産計画をエクセルで行う具体的な方法から、生産計画をエクセルで行うメリット・デメリット、さらにエクセルではなく生産計画の専用ツールの必要性を確認していきましょう。
生産計画にエクセルは使える?
生産計画とは、製造業において「何を」「いつまでに」「いくつ」「どのように」生産するかを具体的に定める計画のことです。
そもそも生産計画にエクセルは使えるかというと、エクセルは生産計画に活用できるツールです。
エクセルの標準機能だけでも、テンプレート作成、関数・マクロによる自動化、ガントチャート作成など、一通りの生産計画業務をこなせます。
特に中小規模の製造現場や、生産品目が比較的シンプルな工場などでは、エクセルで十分なケースも多いでしょう。
一方で、生産計画をエクセルですることには限界や課題も存在します。
大規模な製造現場や、複雑な生産計画が必要な現場では、専門ツールの導入も検討することでより高度な生産計画が可能です。
生産計画をエクセルでする方法
エクセルを使って生産計画を立てる際には、適切なステップを踏むことで効果的に進められます。
生産計画をエクセルで行うためのステップを確認していきましょう。
テンプレートを用意する
生産計画をエクセルで始めるにあたり、まず有効なのが「テンプレート」の活用です。
毎回ゼロからフォーマットを作成するのは手間がかかる上、必要な項目が漏れてしまう可能性もあります。
生産計画用のテンプレートは、インターネット上で無料公開されているものも多数あり、自社の生産品目や工程に合わせてカスタマイズが可能です。
作業別やライン別、製品別など、現場の特性に応じてテンプレートを用意することで、計画作成の負担を大幅に軽減できるでしょう。
生産量・納期・在庫などの管理項目を整理する
効果的な生産計画表には、適切な管理項目の設定が欠かせません。
基本的な項目として、製品名、仕様・規格、工程、数量、納期、得意先、作業内容、設備、担当者などがあります。
これらの項目をエクセルの列に設定し、各製品や案件ごとに行で管理していくのが一般的です。
どの情報をどのように管理するかを事前に明確にすることで、必要な情報が網羅され、見やすく分かりやすい生産計画表を作成できます。
ガントチャートを活用して工程管理
生産計画において、各工程のスケジュールや進捗状況を視覚的に把握するために有効なのが「ガントチャート」です。
ガントチャートとは、作業の開始日と終了日、作業期間、進捗状況などを棒グラフで示したもので、プロジェクト管理などでも広く用いられます。
エクセルでも、条件付き書式や図形描画、専用のテンプレートなどを利用して簡単にガントチャートの作成が可能です。
これにより、進捗状況を一目で把握でき、遅延の発見やリソース調整がしやすくなります。
関数やマクロを活用して自動化する
エクセルの大きな強みの1つが、関数やマクロを活用した「自動化」です。
生産計画では、生産量の合計や必要部品数の自動計算、納期の進捗アラートなど、さまざまな用途で関数が役立ちます。
さらに複雑な処理や定型的な作業は、「マクロ(VBA)」を組むことで自動化でき、入力ミスを減らして作業時間を大幅に短縮できます。
マクロの作成やメンテナンスにはある程度の知識が必要ですが、一度作成すれば繰り返し使えるため、定型作業の省力化に効果的です。
生産計画をエクセルでするメリット
多くの企業で生産計画にエクセルが使われているのには、さまざまな理由があります。
生産計画をエクセルでするメリットを確認していきましょう。
初期コストを抑えられる
エクセルで生産計画を行う最大のメリットの1つは、「初期コストを抑えられる」点です。
多くの企業では、Microsoft Office製品がすでに導入されているため、新たに専用のソフトウェアを購入する必要がありません。
生産計画のために専用システムを導入すると、ライセンス費用や導入支援費用など、まとまった初期投資が必要になる場合があります。
その点、既存のパソコン環境で追加コストをかけずに運用を開始できる点は大きな魅力といえるでしょう。
学習コストが低い
「学習コストが低い」という点も、エクセルのメリットです。
エクセルは、表計算ソフトとしてビジネスシーンで広く利用されているため、データの入力や計算式の挿入、グラフ作成など基本的な操作方法をすでに習得している人が多いでしょう。
そのため、生産計画のために新たなシステムの操作方法を一から学ぶ必要がなく、スムーズに導入・運用を開始できる点が大きな魅力です。
カスタマイズの自由度が高い
エクセルのカスタマイズの自由度の高さも、生産計画において大きなメリットとなります。
製造業と一口に言っても、扱う製品や生産方式、管理したい項目は企業によってさまざまです。
エクセルであれば、自社の業務フローや管理したい情報に合わせて、シートの構成や計算式、表示形式などを自由にカスタマイズできます。
この柔軟性により、現場のニーズに細かく対応した、使い勝手の良い生産計画表の作成が可能です。
生産計画をエクセルでするデメリット
エクセルは手軽で便利な反面、生産計画のツールとして使用する際にはいくつかのデメリットや注意点も存在します。
デメリットも事前に理解して利用することが重要です。
生産計画をエクセルでするデメリットを確認していきましょう。
データの不整合や入力ミスのリスクがある
エクセルで生産計画を行う際、最も注意すべきデメリットの1つが「データの不整合や入力ミスのリスク」です。
手入力でデータを更新する場合、打ち間違いや計算式の誤り、参照セルのズレなどが起こりやすく、生産計画の精度に影響を与えかねません。
また、複数のファイルで情報を管理している場合、データの整合性が取れなくなるリスクもあります。
こうした問題を防ぐには、入力規則の設定や定期的なデータ検証、複数人によるチェック体制の確立が必要です。
複数人での同時編集に制約がある
複数人での同時編集に向かない点も、エクセルで生産計画を行う際のデメリットの1つです。
生産計画表は、製造に関わる複数の担当者によって更新されることも少なくありません。
しかし、エクセルでは、誰かがファイルを開いている間は他の人が編集できなかったり、誤って他の人が更新したセルを上書きしてしまったりすることがあります。
クラウドサービスでは同時編集も可能になりつつありますが、専用システムに比べると機能面での見劣りは否めません。
データ量が増えると動作が不安定になる
エクセルは、データ量が増えてくるとパフォーマンスの問題が発生しやすくなる点もデメリットです。
生産計画には、生産実績や部品情報、工程情報など、関連するデータが日々蓄積されていきます。
ファイルサイズが大きくなるにつれてファイルの起動に時間がかかったり、計算処理が遅くなったりし、最悪の場合はフリーズする可能性もあります。
特に、複雑な関数やマクロを多用している場合や、長期間にわたるデータを1つのファイルで管理する場合には注意が必要です。
属人化・ブラックボックス化のリスクがある
生産計画表に複雑な計算式や作成者独自の工夫が組み込まれている場合、属人化・ブラックボックス化のリスクが高まる点もデメリットです。
作成者しかファイルのメンテナンス方法を把握していないと、不在になったり退職したりした際に生産計画業務が滞ってしまう可能性があります。
また、ファイルが複雑化しすぎると、誰も全体像を把握できなくなり、修正や改善が困難になる「ブラックボックス化」も起こり得ます。
これは、組織としての業務継続性や効率化の妨げとなる大きな問題です。
エクセルでの生産計画に限界を感じたら導入を検討したいツール
エクセルでの生産計画に限界を感じたら、専用ツールの活用が効果的です。
生産計画に役立つツールには、企業の規模や業種、生産方式、解決したい課題によってさまざまな種類があります。
生産計画をエクセルでするのに限界を感じたら検討したいツールについて確認していきましょう。
生産スケジューラー(APS)
生産スケジューラー(Advanced Planning and Scheduling:APS)は、高度なアルゴリズムを用いて生産計画を自動立案・最適化するツールです。
設備能力や作業員のスキル、材料調達リードタイム、納期などの制約を数学的アルゴリズムで処理し、理論上もっとも効率的なスケジュールを瞬時に作成できます。
複雑な生産工程を持つ製造業、多品種少量生産を行う企業、短納期対応が求められる企業などに適したシステムです。
生産管理システム
生産管理システムは、生産計画の立案から実行、管理までを統合的にサポートするツールです。
リアルタイムな進捗把握や問題点の早期発見が可能となり、生産効率向上、品質安定化、コスト削減につながります。
生産管理業務の属人化に課題を感じている企業、多拠点での生産を行っている企業、トレーサビリティの確保が必要な企業などに向いているツールです。
ERPシステム
ERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)システムは、企業の基幹業務である会計や人事、販売、購買、生産などを統合的に管理するシステムです。
生産計画では、販売予測から材料調達、製造指示、出荷まで一連の流れを自動化し、部門間の情報連携を強化します。
大企業やグローバル展開する企業に適していますが、近年はクラウド型の普及により中小企業でも導入しやすくなっています。
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エクセルは、小規模な現場でコストを抑えて生産計画を効率化するのに適したツールです。
学習コストが低く、カスタマイズの自由度が高いため、柔軟に運用できるでしょう。
しかし、複数人での同時編集に制約があり、データ量が増えると動作が不安定になるなどの難点もあるため、大規模な製造現場や複雑な生産管理には向きません。
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