「あれ、あの備品はどこへ行った?」「貸し出したはずなのに、誰が持っているかわからない」会社の備品が紛失してしまう状態になってしまっていることはないでしょうか。
ノートパソコンやプロジェクター、専門的な工具など、業務に不可欠な備品が、必要なときに見つからないなどの、会社の備品の紛失は、単に「モノがなくなった」だけにとどまらず、生産性低下やセキュリティリスクなどにもつながる問題です。
会社の備品が紛失してしまう直接原因と根本原因から、会社の備品が紛失によって生じる影響、効果的な会社の備品紛失対策について確認していきましょう。
会社の備品の紛失はなぜ起こる?:直接原因
会社の備品の紛失は、多くの会社が直面する身近な問題です。
会社の備品紛失の原因には、表面的な原因である直接原因と、それを引き起こす管理体制や組織的な問題である根本原因の2つがあります。
適切な対策を行うには、直接原因と根本原因の両方を正しく理解しなくてはなりません。
まずは、会社の備品の紛失の代表的な直接原因を見ていきましょう。
従業員の返却忘れ
もっともよくある原因が、従業員による返却忘れです。
会議や出張などで一時的に備品を持ち出したあと、自席に置いたままにしたり、自宅に持ち帰ったまま忘れてしまったりするケースがあります。
貸出時の記録が曖昧だったり、返却期限が明確に定められていなかったりすると、従業員も「まだ使うかもしれない」「後で返せばいい」という意識になりがちです。
その結果、備品は本来の保管場所に戻されることなく、所在がわからなくなってしまいます。
貸出期間が長引くほど、本人すら借りている事実を忘れ、紛失へとつながるリスクが高くなるでしょう。
退職時の未返却
従業員の退職時に、貸与していた備品が返却されないままになってしまうケースも少なくありません。
ノートパソコンやスマートフォン、社員証、制服など、従業員に貸与される備品は多岐にわたります。
しかし、退職時の手続きが煩雑であったり、貸与品リストが正確に管理されていなかったりすると、返却漏れが発生する原因です。
担当者が「何を貸していたか」を把握できておらず、退職者本人も返却すべきものをすべて認識できていない場合、備品は持ち出されたままになってしまいます。
後から気づいても、退職後は連絡が取れなくなっている可能性もあり、回収は難しくなるでしょう。
悪意を持った無断持ち出し・不正利用
残念ながら、すべての紛失が不注意によるものとは限りません。
「悪意を持った無断持ち出し」や「不正利用」も考慮すべき原因です。
転売目的で高価な機材を盗んだり、私的利用のために会社の備品を無断で持ち帰ったりするケースがあります。
このような行為は、管理体制の甘さにつけ込んで行われることがほとんどです。
「誰がいつ何を持ち出したか」が記録されていない、防犯カメラがない、備品の保管場所に誰でもアクセスできるといった状況は、不正の温床となり得ます。
会社の備品の紛失はなぜ起こる?:根本原因
ここまで見てきた直接原因は、いわば「症状」にすぎません。
なぜ返却忘れや置き忘れが頻発し、不正が起こりやすい環境が生まれてしまうのでしょうか。
その背景には、組織の体制や仕組みに起因する「根本的な原因」が存在します。
根本原因を解決しない限り、備品紛失の再発を防ぐことは困難です。
会社の備品の紛失が起こる根本原因を見ていきましょう。
備品管理ルールの不備・周知不足
会社の備品紛失が起こる根本原因は、備品管理ルールの不備・周知不足です。
そもそも、備品の貸出・返却に関する明確なルールが存在しない、あるいはルールが現状に即していないケースがあります。
例えば、「誰が貸出を許可するのか」「貸出期間はどのくらいか」「返却時はどこに、誰に返すのか」などのルールがないと、従業員は自己判断で動いてしまいます。
また、たとえルールが存在しても、従業員に周知されていなければ意味がありません。
入社時の研修だけで、その後はまったく触れられないようなルールでは、すぐに形骸化してしまいます。
ずさんな管理体制と責任者の不在
ルールと並んで重要なのが、「管理体制」です。
備品管理の責任者が明確に決まっておらず、「誰かがやっているだろう」という曖昧な状態になっていないでしょうか。
責任者が不在の組織では、備品管理のプロセスに一貫性がなく、問題が発生した際の対応も後手に回りがちです。
例えば、各部署がバラバラに備品を購入・管理している場合、全社でどれだけの備品が存在し、どこにあるのかを誰も把握できないという事態に陥ります。
責任者がいないことで、定期的な棚卸しやルールの見直しも行われず、紛失のリスクを増大させます。
従業員の備品に対する意識の欠如
「会社の備品は、自分の所有物ではないから大切に扱わなくてもいい」「1つくらいなくなっても、また会社が買ってくれるだろう」といった、従業員の意識の低さも深刻な問題です。
このような意識は、備品が会社の資産であり、その購入費用は会社の収益から捻出されているという事実への理解が不足していることから生じます。
また、備品を紛失した場合のペナルティが不明確であったり、紛失しても何も言われなかったりする環境では、従業員の意識はますます低下していきます。
備品を大切に扱う企業文化が醸成されていないことが、結果として備品のぞんざいな扱いを招き、紛失へとつながるのです。
会社の備品の紛失によって生じる影響
備品の紛失は、単にモノがなくなるだけではありません。
その影響は、コストや業務効率、セキュリティなど多岐にわたります。
会社の備品の紛失によって生じる代表的な影響を見ていきましょう。
備品再購入によるコスト増
紛失した備品は、再購入しなければなりません。
パソコンやスマートフォン、高額な工具や測定機器など、高価な備品を再購入することになれば、想定外の出費となり、予算を圧迫します。
また、再購入費用だけでなく、購入手続きにかかる人件費や時間も無視できません。
これらのコストは、企業の収益性を圧迫する要因となります。
業務の遅延や生産性の低下
必要な備品が見つからないと、その備品を使うはずだった業務が滞ってしまいます。
例えば、会議で使うプロジェクターが見つからなければ、会議の進行が遅れたり、中止せざるを得なくなったりするでしょう。
また、備品を探すために費やされる時間は、本来の業務に充てられるはずだった貴重な時間です。
これらの無駄な時間は、会社の生産性を著しく低下させます。
セキュリティリスクの増大
ノートパソコンやスマートフォン、USBメモリなどの情報機器が紛失すると、会社の機密情報や顧客情報が外部に漏洩するリスクが高まります。
これらの情報が競合他社や悪意のある第三者の手に渡れば、会社の信用失墜や、損害賠償につながることにもなりかねません。
特に、情報機器の紛失は、会社の存続を脅かすほどの重大なセキュリティ事故に発展する可能性のある重大な問題です。
従業員間のモラル低下
備品管理がずさんで、紛失が頻発する職場は、従業員間のモラル低下を引き起こします。
備品を丁寧に扱う真面目な従業員が、「他の人がなくしてしまうなら意味がない」と感じ、不公平感を抱きかねません。
また、備品がなくなった際に「誰がなくしたんだ」という疑心暗鬼が生まれ、職場の人間関係が悪化することもあります。
結果として、他のルールも軽視される風土につながり、会社全体のモラルを低下させることになります。
会社の備品の紛失を防ぐための対策
会社の備品紛失は、原因を特定し、適切な対策を講じることで、未然に防ぐことが可能です。
会社の備品紛失を防ぐための対策を確認していきましょう。
備品管理ルール・手順の明文化と周知徹底
まず着手すべきは、「備品管理ルールの明文化と周知徹底」です。
曖昧さをなくし、誰もが同じ手順で備品を扱えるように、管理対象とする備品や貸出・返却の手順、貸出期間の上限、紛失・破損時の報告手順など、具体的なルールを作成しましょう。
作成したルールは、ただ保管しておくだけでなく、社内ポータルへの掲載や定期的な研修などを通じて、全従業員に繰り返し周知することが重要です。
ルールを「知っている」状態から「守っている」状態へと引き上げましょう。
責任者の明確化と管理体制の構築
ルールを確実に運用するためには、「責任者の明確化と管理体制の構築」が不可欠です。
責任者の役割は、備品の購入から廃棄までを管理し、管理ルールの維持・改善、定期的な棚卸し、トラブル時の対応窓口などです。
責任者が明確になることで、備品管理に関する指示系統が一本化され、迅速かつ一貫性のある対応が可能になります。
これにより、「誰かがやってくれるだろう」という無責任な状態から脱却できます。
定期的な棚卸し・点検の仕組み化
備品管理の精度を維持・向上させるためには、「定期的な棚卸し・点検の仕組み化」が重要です。
棚卸しとは、管理台帳に記載されている備品の数量や状態と、実際に保管されている現物の状況を照合し、差異がないかを確認する作業のことです。
半期に1回など、頻度を決めて定期的に実施することで、台帳上の数と実際の数が合っているかを確認できます。
これにより、所在不明の備品を早期に発見し、紛失が大きな問題になる前に対処可能です。
在庫管理システムの導入
手書き台帳やエクセルによるアナログな備品管理には限界があります。
そこで有効なのが、「在庫管理システムの導入」です。
備品を管理できる在庫管理システムを導入することで、管理業務の大幅な効率化と正確性の向上が期待できます。
例えば、「誰が」「何を」「いつから」借りているのかの情報をリアルタイムで把握でき、返却期限が近づくと自動でアラートを出すことが可能です。
これにより、手作業による記録漏れや入力ミスを防いで備品の所在を一目で把握でき、効果的な紛失防止につながります。
会社の備品の紛失対策にzaico
会社の備品の紛失は、ルールや体制の不備、従業員の意識などの複数の原因が絡み合って発生します。
これらの問題を解決するためには、ルール整備や意識改革と並行して、管理方法そのものを見直すことが不可欠です。
会社の備品の紛失対策には、在庫管理のノウハウが詰まった「在庫管理システム」の活用が有効です。
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