在庫管理と発注管理をエクセルでする方法と運用ステップや効率化のコツ

モノを扱う企業では、在庫管理とそれに基づく発注管理はビジネスの中核をなす重要な業務です。

在庫管理と発注管理のツールとして、エクセルは柔軟性が高く初期投資もかからないため、多くの企業で活用されています。

エクセルを使った在庫管理と発注管理の実現ステップから、在庫管理と発注管理をエクセルでするコツ、在庫管理と発注管理をエクセルでする限界と次のステップをわかりやすく解説します。

在庫管理と発注管理はエクセルでできる?

多くの企業で日常業務に利用されているエクセルは、在庫管理と発注管理のツールとしても活用が可能です。

エクセルは多くの企業ですでに導入されているため、新たなソフトウェアの購入費用が不要で、使い慣れた操作環境で始められるメリットがあります。

特に事業規模が小さく、取り扱う商品数が少ない場合には、エクセルでも問題なく在庫管理・発注管理の業務を進められるでしょう。

一方、事業規模が拡大してくると、在庫管理と発注管理をエクセルですることに限界が見えてくることも事実です。

将来的な専用システムへの移行も視野に入れて、エクセルを活用していくのが良いでしょう。

在庫管理と発注管理をエクセルでする前に基本を理解

効果的な管理表をエクセルで作成するためには、やみくもに作り始めるのではなく、まず「在庫管理」と「発注管理」の基本を正しく理解することが不可欠です。

基本概念を押さえることで、より効果的なエクセル管理の仕組みを構築できます。

在庫管理と発注管理をエクセルでする前に基本を確認していきましょう。

在庫管理とは

在庫管理とは、企業が保有する商品や原材料などの入出庫を記録・管理し、在庫を適切な量に保つための業務です。

在庫が多すぎると保管コストや廃棄ロスが発生し、少なすぎると販売機会の損失や生産停止につながります。

この「過剰在庫」と「在庫切れ」のバランスを取り、適正な在庫数を維持することが在庫管理の目的です。

発注管理とは

発注管理とは、在庫を補充するために仕入先に対して商品を注文し、その発注状況を管理する業務です。

いつ、何を、どれだけ、どこに発注するかを決定し、発注から納品までのプロセスを追跡します。

適切な発注管理により、在庫切れを防ぎながら過剰発注も抑制できます。

在庫管理と発注管理の関連

在庫管理と発注管理は密接に関連する業務です。

在庫管理で把握した現在の在庫数をもとに、発注管理で適切なタイミングと数量での発注を実行します。

この連携がスムーズでないと、発注タイミングを逃して在庫切れを起こしたり、逆に不要な発注によって過剰在庫を招いたりしかねません。

エクセルで管理を行う際も、この「在庫の動き」と「発注の動き」をいかに連動させるかが、成功の鍵となります。

在庫管理と発注管理をエクセルで効果的に運用するステップ

在庫管理と発注管理の基本を理解したところで、いよいよエクセルでこれらを効果的に運用する方法を見ていきましょう。

在庫管理と発注管理をエクセルで効果的に運用するステップを紹介します。

「在庫管理表」「入出庫表」「発注管理表」を作成する

まず、基本となる3つのシート(表)の用意がスタートラインです。

「在庫管理表」は、すべての商品の在庫状況を一覧で把握するためのマスターデータとなる表です。

商品コード、商品名、現在庫数、発注点、安全在庫などの項目を設定します。

「入出庫表」は、日々の在庫の動きをすべて記録するための台帳です。

日付、商品コード、入庫数、出庫数、取引先、備考などを時系列で記録します。

「発注管理表」は、発注した商品の状況を追跡するための表です。

発注日、商品コード、発注数、発注先、納期、入庫予定日、発注ステータスなどを記載します。

これらの表をVLOOKUP関数やSUMIF関数で連携させることで、入出庫表のデータが在庫管理表の現在庫数に反映され、さらに発注管理表と照合できる仕組みを構築します。

関数を使って「発注点」を知らせる仕組みを作る

次に、在庫管理と発注管理の連携の要である「発注タイミング」を検知する仕組みを作りましょう。

まず、在庫管理表の現在庫数セルに、入出庫表からSUMIF関数を使って入出庫の差し引きを計算して、現在の在庫数を反映します。

この自動計算された在庫数に基づき、IF関数を用いて「現在庫数が発注点以下なら「要発注」と表示し、そうでなければ空白を表示する」のような設定を行います。

さらにエクセルの「条件付き書式」機能で、「要発注」と表示されたセルを含む行全体が赤く色付けされるように設定すれば、視覚的に発注が必要な商品を把握可能です。

発注が必要な商品を検知したら、発注管理表に記載して発注を行うような仕組みを作ることで、発注漏れを防ぎ適切な在庫水準の維持につながります。

日々の運用フローを確立する

どんなに優れた仕組みをエクセルで構築しても、それが正しく、そして継続的に運用されなければ効果を発揮しません。

エクセル管理を成功させるには、厳格な運用ルール(フロー)の確立と徹底が何よりも重要です。

例えば、入出庫が発生したら速やかに入出庫表に記録します。

毎日の業務開始時や終業時に在庫管理表をチェックし、「要発注」となっている商品があれば速やかに発注処理を行いましょう。

発注後は発注管理表に記録し、納品時には入庫処理を忘れずに行います。

定期的に実地棚卸を実施し、エクセル上の理論在庫と実在庫に差異がないか確認することも重要です。

差異が発見された場合は原因を究明し、入力ミスや記録漏れを防ぐ改善策を講じます。

在庫管理と発注管理のエクセルをさらに効率化するコツ

基本的な在庫・発注管理の仕組みを整えたら、エクセルの便利機能を活用してさらに業務を効率化してみましょう。

在庫管理と発注管理のエクセルをさらに効率化するコツを紹介します。

ピボットテーブルで発注頻度や在庫推移を分析する

入出庫表や発注管理表に蓄積されたデータは、単なる記録ではなく、経営改善のための「宝の山」です。

ピボットテーブルは、入出庫表などに蓄積された大量のデータを、ドラッグ&ドロップの簡単な操作で集計・分析ができます。

例えば、入出庫履歴のデータから、商品別の月間・四半期ごとの出庫数トレンドをグラフ化したり、特定の仕入先からの購入実績やリードタイムを分析したりすることが可能です。

分析結果をもとに発注点や安全在庫数を定期的に見直すことで、在庫の最適化が実現します。

マクロで定型作業を自動化し作業時間を削減する

日々のエクセル運用では、同じ操作を何度も繰り返す「定型作業」が発生します。

マクロは、エクセル上で行う一連の操作を記録し、ボタン1つで自動的に再現できる機能です。

VBAというプログラミング言語で動いていますが、簡単な操作であれば「マクロの記録」機能を使うことで、コードを書かずに作成できます。

例えば、「要発注商品を抽出して発注リストを作成する」「月末に在庫評価額を計算してレポートを生成する」といった作業をボタン1つで実行可能です。

これにより、作業時間の短縮はもちろん、転記ミスなどのヒューマンエラーを削減する効果も期待できます。

複数人でシートを共有する際にシートを保護する

エクセルファイルを複数人で運用する際に懸念されるのが、誤操作による数式の破壊や、意図しないセルのデータ書き換えです。

これを防ぐために「シートの保護」機能を活用しましょう。

シートの保護を使えば、パスワードを設定して特定のセルや範囲のみ編集を許可し、数式が入力されているセルやマスターデータなど、変更されたくない部分をロックできます。

例えば、入出庫表ではデータ入力行のみ編集可能にし、在庫管理表は閲覧のみ可能にする、というような設定が可能です。

これにより、入力者は決められた場所しかデータを入力できなくなり、ヒューマンエラーによるトラブルを未然に防げます。

在庫管理と発注管理はエクセルより在庫管理システムが良い理由

ここまでエクセルでの管理方法とその効率化について解説してきましたが、ビジネスが成長して取り扱い品目や取引量が増えたり、関わる人数が多くなってきたりすると、エクセル管理の限界が見えてきます。

根本的に解決するには、専用の在庫管理システムへの移行が有効な選択肢です。

在庫管理と発注管理はエクセルより在庫管理システムが良い理由を解説します。

業界標準機能が使いやすいインターフェースで提供されている

在庫管理システムには、さまざまな企業の在庫管理の実績や経験に基づいた機能が標準で搭載されています。

バーコードやQRコードによる入出庫処理、ロット番号や有効期限の管理、複数倉庫の在庫一元管理、発注書や納品書の自動生成など、エクセルで自作するには高度な知識と労力が必要な機能が、手軽に利用可能です。

誰でも直感的に操作できるよう、画面デザイン(UI/UX)が最適化されており、パソコンが苦手なスタッフでも簡単に使いこなせます。

管理の規模が拡大してもスムーズに動作する

エクセルはあくまで表計算ソフトであるため、データ量が増えてくると、ファイルの起動や数式の再計算に長い時間がかかり、業務効率が低下します。

一方、在庫管理システムはデータベースを基盤としており、大量データの高速処理が可能です。

そのため、事業が拡大して商品点数や取引先、在庫拠点が増えても、パフォーマンスが落ちることなくスムーズに動作します。

将来的なビジネスの成長を見据えるなら、拡張性の高さはシステム選定において重要な要素です。

クラウドサービスなら初期コストを抑えて手軽に導入できる

かつての在庫管理システムは、自社内にサーバーを設置して運用する「オンプレミス型」が主流で、導入には多くの初期投資と時間が必要でした。

しかし現在では、インターネット経由でサービスを利用する「クラウド型」が一般的です。

クラウド型であれば、自社で高価なサーバーを購入・構築する必要がなく、月額数千円から数万円程度の利用料で始められます。

サービス提供会社が運用やメンテナンスも行ってくれるため、IT人材に不安がある企業でも安心して利用することが可能です。

在庫管理と発注管理をエクセルから移行するならzaico

エクセルでの在庫管理と発注管理は、手軽に始められるデジタル化の第一歩です。

しかし、事業の成長や業務の複雑化にともない、より高度な管理が必要になるのは自然な流れといえるでしょう。

在庫データの正確性向上やリアルタイムな情報共有、作業時間の削減を実現したいとお考えなら、専用の在庫管理システムへの移行の時期かもしれません。

エクセルからのスムーズな移行先をお探しなら、「クラウド在庫管理システムzaico」をご検討ください。

zaicoは、シンプルで直感的な操作画面が特長で、エクセルが苦手な方でもすぐに使いこなせます。

在庫数に応じて発注が必要な商品を自動でお知らせする「発注点アラート」機能を標準搭載しているため、発注漏れを防ぐことも可能です。

これまでエクセルで管理してきた在庫管理データのスムーズな移行をサポートする機能も備えているので、乗り換えの手間と時間を最小限に抑えられます。

在庫管理と発注管理をエクセルから移行することをご検討であれば、まずはzaicoまでお気軽にご相談ください。

※記事内に記載されたzaicoのサービス内容や料金は記事公開時点のものとなり、現行の内容とは異なる場合があります