棚卸は多くの業態で決算業務のために必須のプロセスですが、病院も例外ではありません。
病院では、医療材料や医薬品の正確な在庫管理と安定的な医療提供のために棚卸が必要不可欠です。
保有する品目が多かったり、作業が複雑かつ時間を要するという病院ならではの課題に直面し、多くの病院で棚卸しの効率的な方法を探しているのではないでしょうか。
病院での棚卸の目的を確認しながら、効率的な病院の棚卸方法について考えてみましょう。
目次
病院でも棚卸をする?
棚卸とは、保有する物品や商品などを数え、在庫の実態を確認する作業のことです。
棚卸は病院でも必要で、経営上の決算業務の一環として行うだけでなく、医療材料や医薬品の正確な在庫管理にも重要な役割を果たします。
定期的な棚卸作業によって、在庫の実態を正確に把握するとともに適正に保つことは、安全で質の高い医療提供に直結します。
また、持ち出しが制限されているものなどが数が合わない場合は、内部不正や処方ミスの疑いも生じるので、適切な棚卸は、病院においても欠かせないプロセスです。
病院での棚卸の対象
病院での棚卸の主要な対象品目は、医療材料や医薬品、事務用品などの消耗品ですが、病院の規模や診療科によって大きく異なります。
例えば、手術を行う病院では手術室で用いる医療機器や手術セットなどが挙げられますし、歯科では歯科用の金属や技工物なども含まれます。
また、業者に預けている在庫も棚卸の対象となります。
さらに、棚卸を実施する方々も各病院で違う場合もあります。
小規模なクリニックなどでは開業した医師の方や勤務をしている看護師の方が行うことが多いようですが、大きな病院などでは管理部門や准看護師の方が実施することが多いようです。
病院での棚卸の目的
病院での棚卸は業務負荷の大きい作業ですが、避けることのできないプロセスです。
病院で棚卸をする目的について確認していきましょう。
売上原価を正確に算定する
医療材料や医薬品、事務用品などの消耗品の在庫は、病院の資産であり、売上原価に含まれます。
正確な売上原価算定には、定期的な棚卸によって在庫数量を把握することが欠かせません。
棚卸を通じて、原価の実態と推移を理解することは、決算時にはもちろん、常時正しい経営判断を行うために重要です。
在庫状況を把握する
棚卸を通じて記録上の在庫数量が実際と一致しているか調べると、見落とされていた在庫の問題が見つかります。
例えば、棚卸によって使用期限切れや過剰在庫、在庫不足などが発見されることがあります。
このような問題を早期発見することで、医療の現場で問題が起こる前に適切な対策を講じることができます。
また、在庫の管理方法やプロセスの改善点の明確化にもつながることから、棚卸は効率的な在庫管理体制づくりのために重要な機会であると言えます。
病院での棚卸の方法
病院での棚卸の方法は、病院の規模や診療科、デジタルツールの導入状況によってさまざまです。
主要な病院での棚卸方法を確認していきましょう。
管理表に手書きする
従来の方法として、手書きの管理表を用いて全品目をリストアップする方法があります。
棚卸では、在庫数量を数えて管理表に品目や数量を記入する作業を繰り返します。
すべてを手作業で行うため時間がかかる上に、ヒューマンエラーのリスクも高いという問題がありますが、小規模な病院やクリニックなどではアナログな方法が用いられることがあります。
エクセルに手入力する
エクセルなどのスプレッドシートのリストに打ち込みをする方法は、管理表への手書きに比べると、データの保存や管理、分析が容易であるため、広く用いられています。
しかし、誤った列やセルに入力したり、誤ってデータを削除したりするリスクを伴うため、大きなミスが起こりかねない点に注意しなければなりません。
また、物品棚とパソコンの前を行き来しなければならないため、手書き以上に作業が煩雑となりうる側面もあります。
在庫管理システムを活用する
在庫管理システムを活用する方法では、手書き管理表やエクセルに比べて作業効率が大きく改善します。
QRコードやバーコードのスキャニング技術などを活用し、速やかにデータの読み込みと更新が行えるため、人為的なミスを減らし、効率的に在庫を管理できます。
複数診療科を持つなど規模の大きい病院ほど在庫管理システムは欠かせませんが、近年では小規模な病院やクリニックでも導入が進んでいます。
病院の棚卸をアナログでする問題点
手書き管理表やエクセルなど、アナログな方法での棚卸は病院に限らず現在でも行われていますが、アナログな棚卸にはさまざまな問題点があります。
病院の棚卸をアナログでする問題点を確認していきましょう。
記入・入力ミスが起こりやすい
アナログな方法での棚卸では、記入・入力ミスが避けられません。
特に病院は多種多様な医療材料や医薬品を取り扱うため、品目名や数量の誤記入・誤入力が起こりやすい環境であると言えます。
正確性・信頼性の低い在庫データでは、効率的な在庫運用が行えないだけでなく、医療の質にも悪影響を及ぼすおそれがあり、場合によっては医療の安全性が損なわれる原因にもなります。
期限管理が難しい
医療材料や医薬品などの多くには使用期限が設定されており、病院では厳重な期限管理が欠かせません。
しかし、アナログな方法での棚卸で使用期限を正確に確認し記録することは煩雑で時間のかかる作業です。
そのためミスもつきもので、期限切れ品が適切に除外されない可能性があることから、患者への誤使用のリスクを常に抱えることになります。
業務負担が大きい
効率性が追求されていないアナログな方法での棚卸は、作業量が膨大で時間を要します。
業務負担が大きいため、定期的な棚卸が困難になり在庫管理がおろそかになりやすい面は否定できません。
また、担当者の労力をより重要な案件に費やすことができなくなり、病院全体の生産性向上を妨げる原因にもなります。
セキュリティ上のリスクがある
棚卸で扱う在庫情報は、紛失すると日々の医療提供やその後の病院経営に大きなダメージとなるため、安全性の高い方法で管理する必要があります。
しかし、アナログな方法で棚卸を行っていると、データが紙やエクセルファイル上にあるため、セキュリティを保つことが困難です。
盗難やデータ漏洩による機密情報の流出は、病院の信頼性を損なう可能性があるため、セキュリティを高める対策を早期に講じる必要があります。
病院が棚卸を在庫管理システムでするメリット
多くの問題点を持つアナログな方法での棚卸に対し、解決策となるのが在庫管理システムを用いた棚卸です。
病院が棚卸を在庫管理システムでするメリットを確認していきましょう。
QRコード・バーコードのスキャンで情報更新が簡単
在庫管理システムには、QRコードやバーコードを読み込むことで、速やかに医療材料や医薬品などの情報を閲覧できる機能を備えているものがあり、多種多様な品目を扱う病院では特に有用です。
棚卸では、こうした技術により正確かつスピーディに表示された情報を、システム上で更新するため、アナログな棚卸に比べて迅速な情報のアップデートが行えます。
表示内容を確認しながら作業を行うため、誤入力のリスクも低減します。
期限切れ在庫を把握しやすい
在庫管理システムでは、品目や数量と合わせて使用期限の管理を行うことができます。
システムが期限切れ在庫や期限切迫品を識別し、アラートを発信するため、大きな業務負担をかけずに期限管理が行えます。
期限管理は患者の安全に直結するため、期限切れ在庫を見逃すリスクを低減できる機能は病院の棚卸に特に有用です。
複数の場所・端末から同時にアクセスできる
病院ではさまざまな場所に物品が保管されていることが多いため、各所での棚卸作業が必要です。
クラウド型の在庫管理システムなら、複数の場所や端末から同時にアクセスできるため、複数人で同時並行の作業を効率的に進めることができます。
1つのデータベースが共有されていることから、管理表やエクセルのようにデータの付け合わせや合体の行程も不要で、ミスが生じるリスクの低減にもつながります。
情報漏洩を防げる
在庫管理システムでは、関係者が1つのデータベースを共有するため、情報漏洩リスクの高いデータ送信などのやり取りが不要です。
また、紙やエクセルでは紛失やデータ誤消去のおそれも伴いますが、インターネット上に安全にデータ保管を行うクラウド型ならそのリスクも低減されます。
アクセス権限を適切に付与することで不正アクセス防止も可能で、院内の情報セキュリティ向上に役立ちます。
病院での棚卸をラクにするならzaico
多くの品目を取り扱う病院での棚卸を正確かつ効率的に行うには、在庫管理システムの導入が有用です。
特に、定期的な棚卸で在庫管理の質を高めるなら、簡単操作が特長の在庫管理アプリzaicoがおすすめです。
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