食品製造業において、ある程度の食品ロスは避けられないもので、完全になくすのは難しいといえるでしょう。
しかし、適切な管理や工夫をすることで、食品製造業においても食品ロスを最小限に抑えることは可能です。
食品製造業における食品ロスの原因や、食品製造業ができる食品ロス対策について確認していきましょう。
食品製造業が避けて通れない食品ロスとは？
食品ロスとは、「まだ食べられる状態にも関わらず、廃棄されてしまう食品」のことです。
たとえば、色ムラなど、見た目が綺麗に製造できなかった食品や、包装が真空漏れになっていた食品、賞味期限が切れてしまった食品などの廃棄が食品ロスにあたります。
日本国内だけでも、日々大量の食品ロスが発生しており、これは深刻な社会・環境問題となっています。
食料資源の無駄遣いはもちろん、廃棄物の処理に伴う環境負荷の増大も大きな課題です。
食品ロスは、生産・流通・消費など、さまざまな過程で発生するため、完全に防ぐことは難しいとされています。
食品製造業の食品ロスが引き起こす問題
食品製造業が食品ロスを発生させた場合、どのような問題が引き起こされるのでしょうか。
食品製造業の食品ロスが引き起こす問題について確認していきましょう。
生産コストの増加
食品を製造するには、当然ながら原材料費や人件費などの生産コストがかかります。
このコストは、たとえ食品ロスとなってしまった商品でも同じです。
たとえば、形状不良や包装不良を起こしてしまった食品にも、販売可能な食品と変わらない原材料費や生産時の人件費がかかります。
つまり、食品ロスが発生するたびに、会社全体の生産コストが増えてしまうのです。
廃棄コストの増加
食品ロスが発生すると、廃棄コストも増加します。
廃棄する食品が数個なら気にするほどコストにはならないかもしれませんが、過剰生産・過剰発注をした場合の大量廃棄となると話は別です。
産業廃棄物などのごみ処理にかかるコストのほか、ごみの集約や処理業者への依頼にかかる人件費も増加します。
廃棄による環境負荷の増加
食品ロスの発生は、環境負荷の増加にもつながります。
可燃ごみを燃やせば、CO2をはじめとした温室効果ガスが排出されるため、地球温暖化が加速します。
また、ごみ処理が不適切に行われてしまえば、土壌汚染や水質汚濁を引き起こす原因にもなります。
SDGsが叫ばれる昨今、持続可能な社会をつくるためにも、食品ロスは最小限に抑える必要があるでしょう。
食品製造業における食品ロスの原因
コスト面や環境への配慮から見ても、食品ロスの削減は重要です。
食品ロスを減らすために、まずは食品製造業における食品ロスの原因を確認していきましょう。
規格外品の製造
食品製造業における食品ロスの原因の一つに、規格外品の発生があります。
内容量が基準に満たなかったり、色や形が悪かったり、あるいは包装に印字ミスがあったりすると規格外品として扱われ、通常の製品として出荷できなくなります。
これらの規格外品は、製造ラインの微妙な調整ミスや、農産物など原材料の個体差によっても発生します。
また、設定されている品質基準が厳しすぎることも、廃棄を増やす一因となり得ます。
まだ十分に食べられるにも関わらず、基準を満たさないという理由だけで廃棄しなければならないというのは、食品ロスの典型的な例です。
加工ミス・包装ミス
加工ミスや包装ミスも、食品製造業における食品ロスの原因のひとつです。
加工ミスの例には、配合ミス、成形ミス、調理時間のミスなどが挙げられます。
包装ミスの例は、別商品の包装を施してしまったり、ヒートシーラーが機能せず、密封不良になったりするものです。
これらはヒューマンエラーや機械の不具合、あるいは作業手順の不徹底など、様々な要因で発生し、製品価値が損なわれ、歩留まりの低下にも繋がります。
出荷前に気がつけば単なる食品ロスですが、出荷してしまえばクレームにつながるおそれがありますので、注意が必要です。
需要を上回る製造
食品には賞味期限・消費期限がありますので、需要と供給のバランスを精密に予測して生産しなければなりません。
しかし、天候や市場トレンドの変化、イベントの有無など多くの変動要因があるため、需要予測は非常に困難な作業です。
予測が外れてしまったり、あるいは欠品を恐れるあまり安全在庫を積み増しすぎたりすることも少なくありません。
もし、こうした理由で賞味期限・消費期限内に出荷しきれないほどの大量生産をしてしまえば、その超過分は全て食品ロスになり、過剰生産は、作りすぎによる大量の食品ロスに直結する問題です。
賞味期限・消費期限管理の不備
賞味期限・消費期限管理の不備も、食品ロスの原因になります。
これは、在庫管理の基本である先入れ先出が適切に行われていない場合に特に起こりやすい問題です。
また、管理システムへの入力ミスや、目視確認の漏れといったヒューマンエラーも、期限切れの発生に繋がります。
例えば、原材料の賞味期限をうっかり切らしてしまえば、その原材料を使った加工はできず、廃棄せざるを得ません。
商品在庫についても同様で、賞味期限管理が甘いと、棚卸時に倉庫の奥から期限が切れた商品が発見されるといった事態も起こり得るのです。
不適切な在庫管理
食品ロスの原因として最後に挙げるのは、不適切な在庫管理です。
在庫の保管環境が悪いことで商品在庫が販売できない状態になってしまったり、在庫帳簿への記載ミス・入力ミスによって過剰在庫になってしまったり、などがその例です。
例えば、適切な温度・湿度で保管されなかったための品質劣化、あるいは害虫・カビの発生、不適切な積み方による製品の破損などが考えられます。
また、在庫数を正確に把握できていないと、適正な生産量や発注量の判断を誤り、結果的に過剰在庫や欠品、ひいては期限切れロスを招くことにも繋がります。
賞味期限・消費期限管理とも重なる部分があるため、食品製造業者は商品の在庫管理と、賞味期限・消費期限管理をセットで、かつ正確に行うことが重要です。
食品製造業者ができる食品ロス対策
さまざまな原因から引き起こされる食品ロスですが、食品製造業者はどのようなことをしたらこの食品ロスを削減できるのでしょうか。
食品製造業者ができる具体的な食品ロス対策について確認していきましょう。
製造工程の見直し・マニュアル化
製造過程での食品ロスが多い場合、真っ先に行いたいのは製造工程の見直しです。
食品ロスがどの工程で発生しやすいのかを、発生条件とあわせて確認しましょう。
特に小規模事業者の場合、製造場所の室温が一定でないことも食品ロスのひとつの要因になります。
手順・製造環境・作業者など、食品ロスの原因を複合的に捉えることができれば、質の高い再発防止策が講じられるはずですので、ぜひ意識してみてください。
作業者の違いによって食品ロスが生じている場合には、製造工程のマニュアル化も有効な手段です。
賞味期限管理や先入れ先出しの徹底
原材料や商品在庫の賞味期限切れによる食品ロスが多い事業者は、感覚に頼った管理を行っていることも多いはずです。
しかし、感覚的な管理を続ける限り、食品ロスの発生は改善されませんので、一定の賞味期限を切ったものを目立つ棚に移動させたり、賞味期限データとともに在庫を管理をしたりするなどの対策を取りましょう。
食品を使用・出荷する際の先入れ先出しの徹底や、出荷時に改めて賞味期限を目視確認するといった意識改革も、対策のひとつといえます。
需要予測・生産計画の精度向上
過剰生産による大量の食品ロスを防ぐためには、需要予測や生産計画の精度の向上が重要です。
需要は、自社の繁忙期・閑散期の波や、大型連休・季節ごとの行事といった需要増加時期からもある程度予測ができます。
需要予測の精度をさらに高めたいのであれば、自社の前月・前年同月のデータやトレンドも考慮する必要があるでしょう。
AIによる需要予測システムなども上手く活用しながら、機会損失を発生させないかつ、廃棄を最低限に抑えられる生産計画を立て、食品ロス軽減を目指してみてください。
規格外品の利活用
「食べられるけれど販売はできない」という食品ロスが多い企業は、原材料として再加工や、フードバンクの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
B級品や訳あり品といった名称を用いて、数量限定で販売するのもよいかもしれません。
イベント時の試食、小さめパックとしての販売など、ちょっとした工夫で利活用の幅は広げられますので、ぜひ自社の状況に合った活用方法を見つけてみてください。
在庫管理システムの導入
適切な在庫管理は、食品ロスの軽減に大きく貢献します。
その方法としておすすめしたいのが、在庫管理システムの導入です。
在庫管理システムは直感的に操作できるものが多いうえ、賞味期限を管理しやすくしてくれるもの、データを自動集計し、適正在庫を予測してくれるものなどもあります。
もちろん紙やエクセルでも在庫管理はできますが、帳簿の印刷が必要だったり、書き間違い・見間違いが発生したり、スマートフォンで操作しづらかったりするといったデメリットもあります。
無料・少額で利用できる在庫管理システムもありますので、気になった方はぜひ調べてみてください。
食品製造業の食品ロス原因の解消や対策にzaico
食品製造業にとって食品ロスは切っても切れない存在ですが、自社のためにも、地球環境のためにも、食品ロスは軽減すべきです。
食品ロスの多さに悩んでいる企業は、まずは食品ロスの原因をしっかりと追及・特定し、状況に応じた適切な対策を講じることが重要です。
もし、食品ロスの発生原因に在庫管理の不十分さが挙げられるのであれば、「クラウド在庫管理システムzaico」の導入をご検討ください。
zaicoは無料から利用できるのはもちろん、基本的な在庫管理はもちろん、賞味期限が近づくと通知で教えてくれる賞味期限アラートや、過剰発注を防止する発注点管理など、食品ロス軽減にも役立つ機能が複数あります。
食品製造業の食品ロス原因の解消や対策をご検討であれば、お気軽にzaicoにご相談ください。
