固定資産の管理は、企業の財務状況を正確に把握するために欠かせないものですので、固定資産管理のためにエクセルを使用しているというケースも少なくないかもしれません。
固定資産管理のためにエクセルを使用する企業は多くありますが、課題も存在します。
固定資産管理をエクセルでする方法やメリット・デメリット、固定資産管理をエクセルよりも効率化するポイントを確認していきましょう。
固定資産管理はエクセルでするもの?
エクセルはその汎用性と柔軟性から、さまざまな業務で活用されています。
特に小規模な企業や個人事業主にとっては、簡単な表計算やリスト管理を行うのに非常に便利なツールであり、あらゆるものに使用していることもあるかもしれません。
このことから、固定資産管理もエクセルでしているということもあるでしょう。
購入日、取得価格、耐用年数、減価償却費用といった、資産ごとの情報を管理するためのシートをエクセルで作成することで、資産の状況を把握できるようになります。
たとえば、減価償却の計算や年数ごとの資産価値の計算などにエクセルの基本的な関数や数式を使うことで、効率的な管理ができるなどです。
しかし、資産数が多くなると、エクセルによる管理では限界が来たり、作業負担が増えることがあります。
特に大量のデータをエクセルで管理する際には、手動での更新や管理が煩雑になり、ミスが生じやすくなります。
資産の売却や廃棄、移動などの変更が頻繁に発生する場合、エクセルだけでは管理が追いつかないこともあるでしょう。
そのため、資産数が増加したり、より高度な分析・共有機能が必要になったりする場合には、エクセルだけでの管理には限界があると言われることは少なくありません。
固定資産管理にエクセルを使用することはできますが、管理の効率化を図るためには、専用の固定資産管理ソフトや、クラウドベースの管理ツールを導入すべきでしょう。
固定資産管理をエクセルで行うメリット
固定資産管理をエクセルで行うケースは少なくありません。
固定資産管理をエクセルで行うメリットについて確認していきましょう。
無料で使える場合が多い
エクセルは多くの企業や個人がすでに利用しているソフトウェアであり、追加のライセンス費用が発生しないことがほとんどです。
高額な投資がなくても、すぐに使い始めることができる点は大きなメリットでしょう。
特に小規模な事業や個人の固定資産管理にはコストを抑えられるため、エクセルを使用することは非常に有効です。
カスタマイズがある程度は可能
エクセルは、テンプレートを使ったり、セルの書式を変更したり、関数を駆使したりして、自分のニーズに合った管理方法を作成できる自由度があります。
たとえば、固定資産ごとに異なる減価償却の方法を設定したり、資産ごとの状態を管理する項目を追加したりすることも簡単です。
独自の管理フローを作りやすいのも、エクセルの魅力といえるでしょう。
小規模な管理には十分対応できる
固定資産が少なかったり、複雑な管理を必要としなかったりする場合の固定資産管理には、エクセルの使用は適しています。
専用のソフトウェアを導入する必要はないでしょう。
基本的なリスト管理やシンプルな資産評価で十分という場合には、エクセルの使用は最適といえるかもしれません。
固定資産管理をエクセルで行うデメリット
エクセルが便利なツールであることは確かですが、固定資産管理にエクセルを使用する場合のデメリットもあります。
固定資産管理にエクセルを使用するデメリットについて確認していきましょう。
入力ミスが発生しやすい
エクセルは手動でデータを入力するため、誤って数値を入力したり、セルを誤って消去したりすることが起こりがちです。
特に減価償却や年数など、細かい計算が必要な場合、ちょっとしたミスが全体の計算結果に影響を及ぼすことがあります。
こうしたヒューマンエラーを防ぐためには細心の注意が必要で、担当者にとっては負担が大きいでしょう。
複数人での管理が難しい
エクセルは複数人で同時に管理を行うには限界があります。
たとえば複数人が同じエクセルファイルを開いて更新を行った場合、競合や上書きの問題が発生するなどです。
また、ファイルを更新する度に保存し直さなければならず、リアルタイムでデータを共有することは困難です。
このようなエクセルの特徴によって管理の効率が低下するのは、デメリットといえるでしょう。
資産が増えると処理が複雑化する
固定資産が増えてくると、エクセルでの管理は次第に煩雑になります。
資産の数が増えることで計算やデータ整理が面倒になり、管理が追いつかなくなるケースは少なくありません。
特に減価償却や評価額、修理履歴などが多岐にわたる場合、複雑な式や膨大なデータを扱う必要が出てきます。
エクセルでこうした情報を整理するには、高度なスキルと手間が必要です。
データのセキュリティが不十分
エクセルファイルにはパスワードを設定することができますが、それだけでは十分なセキュリティを確保することは難しいです。
特に企業の機密情報や高価な資産の情報を含む場合、エクセルのセキュリティ設定では情報漏洩や不正アクセスを防ぎきれない場合があります。
アクセス権限管理や暗号化機能など強固なセキュリティ対策が困難であるため、重要なデータを保護するにはリスクが大きいでしょう。
更新や検索に手間がかかる
エクセルで大量のデータを扱う場合、目的の情報を素早く検索したり更新したりするのに時間がかかることがあります。
フィルタ機能やソート機能を使っても、数百〜数千行にわたるデータを迅速に処理するには時間がかかります。
また、資産が増えると必要なデータを探すのも一苦労になり、作業効率が悪化することもあるでしょう。
固定資産管理をエクセルで効率化するポイント
エクセルを使用して固定資産管理を行う場合には、効率的にするためのポイントをおさえる必要があります。
固定資産管理をエクセルで効率化するポイントを確認していきましょう。
テンプレートを活用する
エクセルには固定資産管理用のテンプレートが多く存在します。
テンプレートには、資産の購入日、耐用年数、減価償却率など、管理に必要な項目が組み込まれているため、必要なデータを入力するだけで計算や集計作業が自動で行われます。
自分の企業のニーズに合わせて、テンプレートをカスタマイズすることで、よりスムーズな管理が実現できるでしょう。
関数やピボットテーブルを使う
エクセルの強力な関数やピボットテーブルを活用することで、固定資産の管理を効率化できます。
たとえば、減価償却の計算に「=SLN(定額法)」や「=DB(定率法)」などの関数を使ったり、条件に応じたデータを抽出するために「SUMIF」や「VLOOKUP」を駆使したりするなどです。
ピボットテーブルを利用することで、さまざまな視点でデータを整理し、必要な情報を瞬時に抽出することもできます。
このような機能を活用すれば、効率的な管理や分析が可能です。
条件付き書式で見える化する
データが多くなると、更新のタイミングや重要な項目を把握するのが難しくなります。
そこで、条件付き書式を活用して、更新期限が迫っている資産や、減価償却が完了した資産を色分けすることで、視覚的に一目で管理状態を確認できます。
たとえば、「耐用年数が残り1年を切った資産」や「減価償却の最終年に達した資産」を赤色や黄色で強調表示することで、重要なアクションを忘れない工夫をするなどです。
データの「見える化」によって、より迅速な対応が可能になります。
定期的にバックアップを取る
エクセルは個々のファイルを手動で保存・管理するため、ファイルの破損や誤削除によるデータの喪失リスクがあります。
こうしたリスクを防ぐためには、定期的にバックアップを取ることが重要です。
クラウドストレージや外部ハードディスクにバックアップを保存することを習慣化し、万が一の事態に備えましょう。
クラウドストレージを利用すれば、エクセルファイルを自動で同期できたり、複数のデバイスからアクセス可能になったりするため、より便利にバックアップを管理できます。
固定資産管理をエクセル以外で効率化する方法
固定資産管理をさらに効率化する方法には、エクセル以外のツールを選択するのも検討する必要があります。
固定資産管理をエクセル以外で効率化する方法を確認していきましょう。
専用のクラウドツールを使用する
専用のクラウドツールを導入することで、固定資産管理がさらに効率化されることが期待できます。
これらのツールは、資産の追加、削除、更新などの操作をオンラインで行うことができ、リアルタイムでデータを更新・確認することが可能です。
また、クラウドベースであれば、どこからでもアクセスできるため、複数の拠点で管理を行っている企業にとっては特に有用です。
自動計算機能やレポート作成機能が豊富に備わっているのが一般的で、手動での計算や集計作業を省略できるため、業務効率が向上します。
会計ソフトと連携する
固定資産管理は会計業務と密接に関わっているため、会計ソフトと連携することで、財務データとの一貫した管理が可能になります。
会計ソフトには、固定資産管理機能が組み込まれているものもあり、これを利用すれば、減価償却費用の自動計算や、資産の購入額、減価償却額などの情報が会計システムと同期されます。
二重入力を避け、リアルタイムで会計データを反映させることができ、資産管理と会計の一元化が図れるでしょう。
モバイルアプリを活用する
モバイルアプリを活用すれば、現場での固定資産管理がさらに効率化します。
スマートフォンを使って、外出先でも資産の登録や更新を行うことができれば、現場作業の効率は格段に向上します。
新たに購入した資産をその場でアプリに入力したり、資産の状態や位置をすぐに確認できたりすれば、リアルタイムでの管理が可能です。
さらに、QRコードやバーコードを活用した資産管理を行うことで、スムーズなデータ入力と検索が可能となり、管理がより迅速になるでしょう。
固定資産管理ならエクセルよりもzaico
エクセルは手軽に利用できる一方で、大規模な資産管理や精度が求められる場合には限界があります。
固定資産管理は、特に正確性が求められますので、情報処理能力に限界があったり、ミスが起こり得ることを考えると、エクセルを使い続けるのはリスクがあります。
適切な固定資産管理やエクセルからの脱却を検討している場合は、「クラウド在庫管理システムzaico」の導入をご検討ください。
zaicoはリアルタイムの情報更新やfreeeなどの外部ツールとの連携も可能なため、活用することで固定資産管理の精度は格段に向上します。
固定資産管理に利用できるシステムをお探しであれば、お気軽にzaicoにお問い合わせください。