アパレル業界では、毎年一定の割合の商品が売れ残り、その一部が廃棄につながる構造的な課題を抱えています。
こうしたアパレルの在庫廃棄はコストや環境への負荷だけでなく、ブランドの信頼にも関わる問題として注目されるようになりました。
アパレルの廃棄が起こる原因やその影響、社会の取り組み、アパレルの在庫廃棄を減らすための実務上のポイントを解説します。
アパレルの廃棄とは
アパレルの廃棄とは、製造・流通・販売の各段階で生じた衣類が、使われないまま焼却や埋め立てなどで処分されることを指します。
一般に廃棄と聞くと、消費者が着古した服を手放す場面を思い浮かべがちです。
しかし業界で問題視されているのは、店頭やメーカーに残った「売れ残りの在庫」が、新品のまま捨てられてしまうケースです。
環境省の調査によると、アパレルの平均消化率は約7割で、およそ3割の商品が売れ残るとされ、そのうち約2%が廃棄処分されていると報告されています。
売れ残った在庫は保管コストがかかり続けるため、値引きしても売れなければ、最終的に廃棄という選択がとられることも少なくありません。
このように、アパレルの在庫廃棄の背景には、需要と供給のミスマッチによって生まれる過剰在庫があります。
アパレルの廃棄問題が深刻化する原因
アパレルの廃棄問題は、個々の企業の努力不足というより、業界の構造そのものから生まれています。
アパレルの廃棄問題が深刻化する原因を見ていきましょう。
需要を上回る大量生産で売れ残りが生じる
売れ残りが生まれる大きな要因は、実際の需要を上回る量が作られてしまうことです。
卸やメーカーでは、生地の最低ロットや見込みでの生産計画がかさみ、結果として作りすぎが起きやすくなります。
小売の側でも、売れ筋を切らしたくないという心理から、多めの仕入れになりがちです。
安く早く大量に供給するファストファッションに象徴されるように、大量生産と大量廃棄は表裏一体の関係にあります。
トレンドと季節性で商品価値が下がる
アパレルは、トレンドや季節によって商品の価値が短期間で下がりやすい商材です。
小売では、店頭で売り時を逃した商品は値引きの対象になり、それでも売れなければ在庫として残ってしまいます。
卸やメーカーにとっても、シーズンをまたいだ持ち越しがききにくく、取引先への返品や倉庫での滞留につながりやすいという事情があります。
さらにサイズやカラーの展開が多いほど管理対象は増え、すべてを売り切るのは簡単ではありません。
ブランド価値を守るため値引きより廃棄を選ぶケースがある
一部のブランドでは、値引き販売を避けるためにあえて廃棄を選ぶケースも指摘されてきました。
安売りやアウトレット流通が広がると、定価で購入した顧客の満足度が下がり、ブランドの価値やイメージが損なわれると考えられているためです。
希少性や高級感を維持したいブランドほど、売れ残りを市場に流さず処分する動機が働きやすくなります。
しかし、まだ着られる新品を捨てる行為は資源の無駄であり、近年は社会的な批判の対象にもなっています。
アパレルの在庫廃棄がもたらす影響
アパレルの在庫廃棄は、単にものを捨てるだけにとどまらず、企業経営や社会に影響を及ぼします。
アパレルの在庫廃棄がもたらす影響をコスト・環境・ブランドの側面から見ていきましょう。
廃棄コストが利益を圧迫する
売れ残った在庫の廃棄は、企業にとって大きなコスト負担になります。
まず失われるのが、仕入れや生産にかけた費用そのものです。
さらに、在庫を保管する倉庫代や管理の手間、廃棄処分そのものにかかる費用も上乗せされます。
在庫廃棄は「売れなかった損失」と「捨てるための費用」という二重のコストを生むのです。
焼却・埋め立てで環境負荷が高まる
衣類の廃棄は、環境への負荷という点でも深刻な問題です。
環境省の調査によると、消費後を含む衣類全体では手放された衣類の多くが再利用されず、6割以上が焼却や埋め立てで処分されているとされています。
焼却時には二酸化炭素が排出され、地球温暖化の一因となります。
ファッション産業は世界の温室効果ガス排出の2〜8%程度を占めるとの推計もあり、廃棄物の削減は業界全体で取り組むべき課題です。
大量廃棄がブランドイメージを損なう
大量廃棄は、企業のブランドイメージそのものを傷つけるリスクも抱えています。
サステナビリティへの関心が高まる中で、消費者は企業の環境姿勢を厳しく見るようになりました。
売れ残りを大量に廃棄している事実が明るみに出れば、「無責任な企業」という印象を持たれかねません。
これからの時代は、廃棄を減らす姿勢そのものがブランドの信頼につながっていくといえるでしょう。
アパレルの廃棄問題に対する社会的な取り組み
アパレルの廃棄問題は、いまや個々の企業だけでなく、社会全体で解決に向けた動きが広がっています。
アパレルの廃棄問題に対する社会的な取り組みを見ていきましょう。
売れ残り品の廃棄規制
近年は、売れ残り品の廃棄そのものを規制する動きが海外で先行しています。
EUでは、「エコデザイン規則(ESPR)」によって売れ残った衣類や履物の廃棄が原則として禁止され、大企業には2026年7月から、中規模企業には2030年から適用される予定です。
この規制は小売やブランドだけでなく、製造を担う卸やメーカーにも及びます。
海外へ商品を輸出する企業や、取引先が規制対象となる企業も対応を迫られるため、日本の事業者にとっても無縁の話ではありません。
サステナブルファッションの推進
国内でも、廃棄を前提としないものづくりへの転換が進みつつあります。
環境省は「サステナブルファッション」を掲げ、事業者や消費者に向けて情報発信や普及啓発を行っています。
企業側でも、回収した衣類のリペアやアップサイクル、素材の再利用など、自主的な取り組みが広がってきました。
こうした流れは、売れ残りを減らす発想を業界全体に根づかせるきっかけになるかもしれません。
古着・リセール市場の拡大
売れ残りや使い終えた衣類を再び流通させる、古着・リセール市場も広がりを見せています。
かつては処分するしかなかった在庫も、二次流通に乗せることで「売り切る出口」として活用しやすくなってきました。
繊維をふたたび原料に戻すリサイクル技術の開発も進み、廃棄以外の選択肢は少しずつ増えています。
こうした市場を上手に使うことは、廃棄を減らしながら在庫を現金化する手段にもなるでしょう。
アパレルの在庫廃棄を減らす実務上のポイント
在庫廃棄を減らすには、社会全体の取り組みに加えて、企業自身の在庫管理の見直しが欠かせません。
アパレルの在庫廃棄を減らす実務上のポイントを解説します。
サイズ・カラー別に在庫と消化率をリアルタイムに把握する
廃棄削減は、在庫の正確な把握から始まります。
アパレルは同じ品番でもサイズ・カラーごとに売れ方が異なるため、SKU単位での在庫と消化率の把握が欠かせません。
小売では、店舗ごと・ECごとに、どのサイズ・色がどれだけ売れ、どれだけ残っているかをリアルタイムに見える化することが重要です。
卸では、倉庫の在庫と小売店への出荷状況を突き合わせ、どの商品が動いていないかを早期に把握する必要があります。
勘や紙・エクセルでの管理から脱し、正確な在庫データを関係者で共有できる体制が、無駄な追加生産や仕入れを防ぐ土台になります。
需要予測と生産・発注の最適化で過剰在庫をつくらない
在庫を可視化できたら、次はそのデータを需要予測と発注の最適化に活かしましょう。
過去の販売データや消化率をもとに、小売は発注量を、卸やメーカーは生産量を絞り込むことで、作りすぎや仕入れすぎを抑えられます。
最初にすべてを投入するのではなく、売れ行きを見ながら追加で生産・発注する進め方も有効です。
勘や慣習だけに頼った計画から、数字にもとづく判断へ切り替えることが、廃棄を減らす近道になります。
売れ残りを早期に検知して売り切る
それでも生じてしまった在庫は、廃棄する前に売り切る工夫が欠かせません。
消化率が想定を下回る商品を早期に検知し、値引きや販路変更、拠点間の在庫移動などの手を早めに打つことが重要です。
小売では、動きの鈍い在庫を別の店舗やECへ移す、セールやアウトレットで計画的に消化するといった対応が考えられます。
卸なら、滞留在庫を二次流通業者やリセール市場へ回すことで、廃棄せずに現金化するという選択肢があるでしょう。
早く気づいて早く動けるかどうかが、廃棄と販売を分ける分岐点となります。
アパレルの在庫廃棄の削減にzaico
アパレルの在庫廃棄を減らす鍵は、売れ残りが膨らむ前に、在庫の動きを正確につかんでおくことにあります。
しかし、サイズやカラーで枝分かれした膨大な在庫を、手作業やエクセルだけで店舗・EC・倉庫までリアルタイムに追い続けるのは簡単ではありません。
在庫廃棄の削減に取り組むなら、「クラウド在庫管理システムzaico」の活用をご検討ください。
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写真付きで商品を管理できるため、色柄やデザインの違いも見分けやすく、在庫データをCSVに出力すれば売れ筋・死に筋の分析にも役立ちます。
アパレルの在庫廃棄に課題を抱えている方は、まずはお気軽にzaicoまでご相談ください。


