「帳簿上では在庫があるはずなのに、棚に行ってみると商品がない」という、帳簿在庫より実在庫が少ないという状態になっている場合があります。
在庫管理において、帳簿在庫と実在庫が一致しない在庫差異は、多くの現場や担当者を悩ませる課題といえるでしょう。
帳簿在庫より実在庫が少ない状態になる原因を明らかにし、帳簿在庫より実在庫が少ない状態によって生じる問題点と効果的な対策方法をわかりやすく解説します。
帳簿在庫より実在庫が少ない状況とは?
帳簿在庫より実在庫が少ない状況とは、帳簿に記録されている在庫数量が、実際に倉庫や店舗のバックヤードにある在庫数量を上回っている状態を指します。
理想的な在庫管理の状態では、帳簿在庫と実在庫は一致しているはずです。
しかし、現実には両者の間にズレが生じることは少なくありません。
例えば、帳簿上では100個の部品があるはずなのに、実際に倉庫を確認すると80個しかないようなケースが該当します。
20個の差異は、どこかの段階で記録と実態がずれてしまったことを意味しています。
このような帳簿在庫より実在庫が少ない状況は、欠品の見落としによる販売機会損失や、緊急の追加発注など、さまざまな問題を引き起こす要因です。
帳簿在庫より実在庫が少ない状態になる原因
なぜ、帳簿上の数字よりも実際の在庫が少なくなってしまうのでしょうか。
在庫が勝手に消えてなくなることはないので、必ず人為的なミスや管理プロセスの欠陥が潜んでいます。
帳簿在庫より実在庫が少ない状態になる主な原因を見ていきましょう。
破損・紛失・盗難による在庫減少
帳簿在庫より実在庫が少なくなる原因としてまず挙げられるのが、破損・紛失・盗難です。
これらは在庫そのものが物理的に消滅、あるいは売り物にならなくなることで、実在庫数だけが減ります。
例えば、作業中に商品を誤って紛失や破損させてしまった際、「怒られる」「手続きが面倒」などの心理から報告を怠ると、帳簿上は在庫が残ったままです。
また、残念ながら従業員や外部業者などによる盗難も物理的に在庫が減る原因の1つです。
これらのケースでは、在庫が実際に減少しているにもかかわらず、帳簿上の記録が更新されないため差異が生じます。
入出庫時の計上漏れや誤記入
日々の入出庫作業でのヒューマンエラーも、実在庫が少なくなる原因です。
例えば、急ぎの出荷依頼があり、現物を慌てて発送したものの、帳簿への記録を後回しにしてしまい、そのまま忘れてしまうケースが代表的です。
商品は出荷されているのに、データ上は残ったままになるため、実在庫のほうが少ない状態になります。
また、伝票上は100個入荷となっているが、業者のミスで90個しか届いていなかった場合、検品をせずに100個入庫と記帳してしまえば、実在庫が10個足りない状態になります。
こうしたミスの積み重ねが、帳簿と実在庫の乖離を広げる原因です。
保管場所の管理不備による行方不明
在庫の保管場所が適切に管理されていないと、在庫自体は存在しているものの見つけられない「行方不明」が発生します。
物理的には在庫が減っていないものの、業務上は使えない在庫となるため、実質的に実在庫が少ない状況と同じ問題を引き起こす原因です。
例えば、入荷した商品を定位置に置かず仮置きしたまま忘れてしまうケースや、担当者間で情報が共有されていないケースなどが挙げられます。
こうした状況が続くと、帳簿上は在庫があるはずなのに実際には使える在庫が見つからず、業務に支障をきたすことになるでしょう。
返品やサンプル出荷などの記入漏れ
通常の出荷とは異なるイレギュラーなモノの動きは、記録漏れの温床になりやすく、実在庫が少なくなる原因になります。
例えば、営業担当者が「商談で見せる見本に使いたい」と、口頭でのやり取りだけで倉庫から商品を持っていったものの、帳簿上はそのままになってしまうケースが挙げられます。
また、返品処理も要注意です。
返品された商品の処理が曖昧なまま、モノだけが動くとデータとの不整合が起きます。
こうしたイレギュラー処理が積み重なると、知らないうちに帳簿と実在庫の差異が大きくなっていく原因です。
帳簿在庫より実在庫が少ないと生じる問題
帳簿と実在庫の不一致、特に実在庫が少ないという状況は単なる数字のズレでは済まず、ビジネスにさまざまな影響を及ぼします。
帳簿在庫より実在庫が少ないと生じる代表的な問題を解説します。
欠品による機会損失や生産停止が発生する
もっとも直接的な問題が、欠品による販売機会の損失や生産停止です。
帳簿を見て在庫ありと判断して受注したのにモノがなかった場合、その注文を断らざるを得ず、代替品を提案できなければ、お客様は競合他社へ流れてしまうでしょう。
また、製造業では、部品在庫のデータが誤っていて、生産ラインに必要な部材が実際には足りなかった場合、生産を停止する事態にもなりかねません。
こうしたトラブルが続くと、多くのビジネスチャンスを逃すことにつながります。
納期遅延や注文キャンセルにより顧客の信用が低下する
受注後に在庫がないことが発覚した場合、納期の遅延をお願いするか、キャンセルするかの対応が必要です。
どちらにしても、顧客満足度の低下は免れないでしょう。
一度でも管理がずさんな会社という不信感を抱かれると、なかなか払拭できません。
特にBtoB(企業間取引)の場合、相手先のビジネススケジュールにも影響を与えるため、取引停止につながる可能性もあります。
帳簿在庫より実在庫が少ない状況は、企業のブランド価値や信用を低下させる重大な問題です。
追加発注や原因調査にコストがかかる
実在庫が足りないことが発覚すると、欠品を解消するための追加発注が必要です。
通常よりも納期を短縮してもらうために追加料金を支払ったり、遠方の倉庫から高額な配送料をかけて在庫を移動させたりするケースもあるでしょう。
これらは本来、正確な在庫管理ができていれば不要だったはずのコストです。
また、時間をかけて商品を探し回ったり、過去の伝票を遡って照合したりと原因調査に時間と労力を要します。
このように、本来不要な作業に時間やコストがかかるため、企業全体の生産性を損なうことにもつながります。
帳簿在庫より実在庫が少ない問題の対策
ここまで見てきたように、在庫差異は経営のリスクです。
では、どうすれば帳簿在庫より実在庫が少なくなる事態を防げるのでしょうか。
帳簿在庫より実在庫が少ない問題への対策を紹介します。
入出庫やイレギュラー処理時の記帳ルール徹底
基本中の基本ですが、モノが動いたときに、正しく記録を残すルールを徹底することが第一歩です。
通常の入出荷だけでなく、返品やサンプル出荷、社内使用、不良品廃棄など、発生しうるイレギュラー処理についても記帳ルールを明文化しましょう。
また、入力ミスを防ぐために「ダブルチェック」を行うことも有効ですが、人手の面で難しい場合も多いでしょう。
できる限り、手書きや手入力を廃止し、デジタルデータとして記録できる環境を整えることも重要です。
在庫の保管場所の適切な管理
実在庫の行方不明を防ぐためには、ロケーション管理の徹底が不可欠です。
倉庫内の棚やエリアに「A-1-1」「B-2-3」のようなロケーション番号を割り振り、どの商品がどこにあるかを帳簿と紐付けましょう。
また、整理整頓を徹底し、決められた場所に決められたモノ以外を置かないようにします。
「誰が見ても、どこに何があるか分かる状態」を作れれば、棚の奥に忘れ去られる在庫もなくなるでしょう。
物理的な環境整備は、データの精度向上に欠かせない取り組みです。
定期的な棚卸しの実施
棚卸しは、帳簿在庫と実在庫の差異を発見し、修正するための重要な作業です。
しかし、年に1回や半期に1回の決算棚卸しだけでは、差異が発覚したときにはすでに数ヶ月前のミスが原因である可能性が高く、在庫差異の原因特定が難しくなります。
対策として、特定のエリアや品目ごとに頻度を上げて行う「循環棚卸(サイクルカウンティング)」が有効です。
日常業務の中に小規模な棚卸しを組み込むことで、ズレが発生しても早期に発見でき、原因が特定しやすくなります。
在庫管理システムの活用
アナログな管理に限界を感じているなら、在庫管理システムの導入が効果的な対策です。
エクセルや紙台帳では、記入漏れや計算ミス、反映のタイムラグを完全に防ぐことは困難です。
バーコードやQRコードを活用した在庫管理システムを導入すれば、商品をスキャンするだけで入出庫の記録が正確に残ります。
システム化により、「いつ・誰が・何を・どれだけ」動かしたかが自動的にログとして残るため、原因不明の在庫差異も減らせるでしょう。
人的ミスを減らすための仕組みとして、システムの力は絶大です。
帳簿在庫より実在庫が多い問題の解消にzaico
帳簿在庫より実在庫が少ない状況は、単なる在庫数のズレではなく、コストや企業の信用、経営判断などにも影響を及ぼす問題です。
在庫差異は、記帳漏れや保管場所の管理不備、イレギュラー処理の記録漏れなど、複合的な要因によって発生します。
問題を根本的に解決するには、明確なルール作りと定期的な棚卸しに加えて、システムによる効率と精度の向上が欠かせません。
ITの力で正確な在庫管理をお考えなら、「クラウド在庫管理システムzaico」の導入をご検討ください。
zaicoはスマホやタブレットからその場で入出庫を記録できるため、処理漏れを防ぎ、リアルタイムで正確な在庫状況を可視化できます。
保管場所登録機能を使えば、現場のどこに在庫があるかが一目で把握でき、行方不明の問題も防ぎます。
帳簿在庫より実在庫が少ない問題に悩んでいる方は、まずはzaicoにお気軽にご相談ください。


