在庫を切らさず、かといって余分に抱え込まないために、購買や在庫管理の現場で必ず意識しておきたいのが「発注期限」です。
発注期限を的確に管理できれば、在庫を適正な水準に保ちながら、取引先との関係も安定させられます。
発注期限とは何かから、発注期限を決める要素、発注期限の管理が甘いと生じる問題、適切に発注期限を管理するポイント、役立つツールをわかりやすく解説します。
発注期限とは
発注期限とは、必要な日時に在庫を確保するために、いつまでに発注を完了させておくべきかを示す期限のことです。
商品や原材料は発注してすぐに手元へ届くわけではなく、納品までには一定の期間(リードタイム)がかかります。
そのため「必要になる日」から逆算し、間に合うように発注をかける締め切りを設けなくてはなりません。
似た言葉に「発注点」がありますが、発注点が「在庫がこの数量まで減ったら発注する」という数量ベースの基準であるのに対し、発注期限は「いつまでに発注すべきか」という時間軸でとらえる考え方です。
また、取引先が提示する「納期」は商品が届くタイミングを指すのに対し、発注期限は自社が動くべきタイミングを指す点で異なります。
発注期限を意識することで、必要なものが必要なときに揃う状態を保つことが可能です。
発注期限とは:重要な理由
発注期限を守ることは、単なる事務的な締め切り管理にとどまらず、在庫管理の質そのものを左右します。
発注期限が在庫管理にどのような影響を与えるのか、発注期限の重要性を見ていきましょう。
欠品や機会損失を防げる
発注期限を守る最大のメリットは、欠品を未然に防げる点にあります。
在庫が尽きてから慌てて発注しても、多くの場合、すぐには入荷されません。
その間に注文が入っても出荷できず、「売りたくても売れない」状態に陥ってしまいます。
これがいわゆる機会損失であり、一度「あそこはいつも品切れだ」という印象を持たれてしまうと、顧客は競合へ流れ、長期的な売上にも悪影響を与えるでしょう。
過剰在庫や保管コストを抑えられる
発注期限は「遅らせない」だけでなく、「早すぎる発注を防ぐ」のも役割の1つです。
欠品を恐れて必要以上に早く大量発注すると、倉庫スペースが圧迫され、保管にかかるコストもかさみます。
在庫として寝かせた商品の分だけ運転資金が固定されるため、キャッシュフローの悪化にもつながりかねません。
適切な発注期限を見極めることで、過不足のない在庫水準を保ちやすくなります。
取引先との信頼関係を維持できる
発注期限を守ることは、仕入先や納品先との信頼関係を築くうえでも重要です。
期限ぎりぎりや締め切り後の発注、急な大量発注などを繰り返すと、仕入先側の生産・出荷計画に負担をかけ、対応してもらえなかったり、特別な手配で割高になったりします。
逆に、計画的に常に余裕をもって発注していれば、仕入先からも「付き合いやすい相手」として信頼され、優先的に対応してもらえることもあるでしょう。
安定した発注は、自社の納品先に対する責任を果たすことにもつながり、サプライチェーン全体の信頼にもつながります。
発注期限とは:発注期限を決める要素
発注期限は「なんとなくこのあたりまでに」と感覚で決めるものではなく、いくつかの要素から導き出すものです。
発注期限を決める要素を見ていきましょう。
発注リードタイム
発注リードタイムとは、発注してから商品が納品されるまでにかかる期間のことです。
発注リードタイムは商品や取引先、物流の条件によって変わり、海外から輸入する部品と近隣の卸から仕入れる商品とで大きく異なります。
リードタイムが長いほど、必要な日からより前倒しで発注しなければならず、発注期限は早まります。
そのため、まずは品目ごとの正確なリードタイムを把握することが、発注期限を決める基本です。
安全在庫の水準
需要や納期は常に計画どおりに動くとは限りません。
急な注文の増加や、仕入先の出荷遅れなどの想定外の事態に備えて、あらかじめ確保しておく在庫が安全在庫です。
安全在庫を厚めに設定すれば多少の変動には耐えられますが、その分だけ在庫を多く持つことになり、逆に薄ければ欠品リスクが高まります。
発注期限は、この安全在庫を下回らないように補充できるタイミングとして設定する必要があります。
需要予測と消費スピード
その商品がどれくらいの速さで消費・販売されるかも、発注期限を左右する要素です。
過去の出荷実績や季節変動から消費スピードを見積もることで、在庫が尽きるおおよその時期が見えてきます。
例えば、夏に需要が高まる商品は、繁忙期前に消費スピードが上がることを見込んで発注期限を前倒しする必要があります。
消費が早い商材ほど在庫が減るペースも速く、発注期限の余裕は短くなると考えておくとよいでしょう。
発注期限とは:管理が甘いと生じる問題
発注期限の管理が甘いと、現場ではさまざまなトラブルが発生します。
発注期限の管理が甘いことでどのような問題が起こるのか例を見ていきましょう。
欠品や納期遅延が発生する
発注期限を過ぎてから発注してしまうと、入荷が間に合わず欠品が発生します。
販売店であれば品切れによる機会損失、製造業であれば部材不足による生産ラインの停止につながりかねません。
さらに、自社が納品先に対して約束した納期を守れなくなれば、取引先にも迷惑をかけ、信用を損なう結果になります。
1つの発注遅れが、後工程や取引先にまで連鎖的に影響を広げてしまうのです。
過剰在庫で保管コストが膨らむ
一方、発注期限が曖昧だと「足りなくなるくらいなら多めに」という不安から、早めに大量発注しがちです。
その結果、すぐには使わない在庫が倉庫を占有し、保管スペースや管理の手間などのコストが膨らみます。
在庫に変わった資金はすぐには現金化できないため、キャッシュフローが悪化し、運転資金を圧迫する要因です。
欠品を恐れるあまりの過剰在庫は、見えにくいかたちで経営を圧迫しているといえるでしょう。
担当者が属人化して混乱が起きる
発注期限の判断が特定の担当者の経験や勘だけに頼っていると、その運用は属人化していきます。
「この商品はだいたいこのタイミングで発注する」という感覚が個人の頭の中にしかない状態では、担当者が不在のときに発注が止まりかねません。
引き継ぎの際にも判断基準が言語化されていないため、発注漏れや誤発注が起きやすくなるでしょう。
特定の担当者に依存した運用は、平常時はうまく回っているように見えても、組織的に見ると大きなリスクです。
発注期限とは:適切に管理するポイント
それでは、発注期限を適切に管理するには何に取り組めばよいのでしょうか。
発注期限を適切に管理するためのポイントを解説します。
発注リードタイムを正確に把握する
発注期限を正しく決めるには、品目ごとの発注リードタイムを実績ベースで把握することが欠かせません。
仕入先ごと、品目ごとにリードタイムは異なるため、「だいたい1週間くらい」のような大雑把な感覚ではなく、過去の実績データをもとに、できるだけ正確に把握しましょう。
繁忙期には通常より日数がかかる場合もあるため、季節要因も考慮に入れると、より現実的な発注期限を設定できます。
リードタイムが変わったと気づいたら、早めに発注期限を見直しましょう。
発注点や安全在庫を数値で明確化する
「在庫が減ってきたら発注する」という曖昧な基準ではなく、「在庫がこの数量を下回ったら発注する」という発注点を、具体的な数値で定めておくことが重要です。
リードタイム中に消費される量と安全在庫を足し合わせれば、発注点を算出できます。
発注点と安全在庫を数値として明確にしておけば、誰が見ても発注すべきタイミングが一目で分かり、判断のブレや遅れを防ぐことが可能です。
数値による管理は、発注期限を守るための指針となります。
担当者間で情報を共有する仕組みをつくる
属人化を防ぐには、発注に関するルールや基準を担当者個人の頭の中に留めず、組織全体で共有できる仕組みをつくることが欠かせません。
誰が見ても在庫数と発注のタイミングがわかるようにしておけば、担当者が不在でも別の人が発注を引き継ぐことができます。
しかし、紙の台帳やエクセルファイルで運用していると、最新の情報がどこにあるかわからなくなりがちです。
ツール・システムを活用して発注期限に関する情報を一元管理し、関係者がいつでも同じ情報を確認できる仕組みづくりが有効です。
発注期限とは:役立つツール・システム
発注期限の管理を効率的に行うためのツール・システムには、どのようなものがあるのでしょうか。
発注期限の管理に役立つツール・システムを紹介します。
エクセル
手軽に始められる方法として、まず挙げられるのがエクセルです。
品目ごとに在庫数、発注点、リードタイム、発注期限などを表にまとめ、関数を使えば発注すべきタイミングを自動で計算できます。
すでにエクセルを導入している企業なら、初期コストがかからず、自社の運用に合わせて自由にカスタマイズできるのが利点です。
ただし、データ入力が手作業となるため、件数が増えると管理が煩雑になり、規模が大きくなると限界が見えてきます。
発注管理システム
発注管理システムは、発注書の作成や取引先ごとの納期管理に特化したシステムです。
どの取引先にいつ何を発注したかという履歴を蓄積でき、発注リードタイムの実績を把握しやすくなります。
例えば、取引先別の納期実績がたまっていけば、発注期限を決める際の精度を高める材料になるでしょう。
一方で、発注業務に主眼を置いているため、在庫数そのものの管理は別の仕組みが必要になる場合もあります。
在庫管理システム
在庫管理システムは、在庫数や入出庫の履歴をリアルタイムに記録・把握できるシステムです。
現在の在庫状況が常に正確に分かるため、発注点に達したタイミングを逃さず、適切な発注期限の判断につなげられます。
また、多くの在庫管理システムは発注管理の機能も備えており、在庫と発注を連動させて一元的に管理できます。
在庫と発注の両面から業務を最適化したい場合に有効な選択肢です。
発注期限の管理にもzaico
発注期限は、必要なタイミングまでに在庫を確実に補充するために、いつまでに発注を完了すべきかを示す締め切りです。
適切に管理できれば、欠品や過剰在庫を防ぎ、取引先との信頼関係も維持できますが、管理が甘いと納期遅延やコスト増、属人化による混乱を招きます。
在庫と発注の管理を両立したいとお考えなら、「クラウド在庫管理システムzaico」をご検討ください。
zaicoはスマートフォンやタブレットでバーコードやQRコードを読み取るだけで在庫を登録・更新でき、最新の在庫状況がリアルタイムで反映されるため、発注タイミングを逃しません。
在庫が設定数量を下回った際の通知機能や発注点の管理機能も備わっており、発注期限の見落としを防ぐのに役立ちます。
発注期限の管理を仕組み化したいとお考えの方は、まずはお気軽にzaicoまでご相談ください。


