発注点と安全在庫とは?発注点と安全在庫の違いと計算方法を解説!

在庫管理を安定させるうえで、発注点と安全在庫は欠かせない指標です。

しかし、「言葉は知っているが、発注点と安全在庫の違いや具体的な計算方法までは押さえられていない」という方も多いのではないでしょうか。

発注点と安全在庫を正しく理解して運用に組み込めば、勘や経験に頼った発注から脱却し、欠品や過剰在庫を抑える仕組みづくりにつながります。

発注点と安全在庫の基礎知識と発注点と安全在庫の違いや関係性、計算方法、設定するメリット、設定手順、運用の注意点をわかりやすく解説します。

発注点と安全在庫の基礎知識

発注点と安全在庫は、どちらも適切な在庫を維持するために役立つ指標です。

発注点と安全在庫の定義を正しく理解しておきましょう。

発注点とは

発注点とは、在庫数があらかじめ定めた数量を下回ったら発注をかける、補充タイミングの基準値のことです。

例えば、発注点を100個と設定しておけば、在庫が100個まで減った時点で発注のアクションが発動します。

数値で基準を定めることで、欠品や過剰在庫を防ぎながら、担当者ごとの発注タイミングのばらつきを抑えることが可能です。

安全在庫とは

安全在庫とは、需要の急増や調達遅延などの不測の事態に備えて、常に保有しておく最低限の在庫量のことです。

通常の消費を満たす在庫とは別に、いわば「保険」として確保する在庫であり、欠品リスクを抑える緩衝材の役割を果たします。

例えば、納期が予定より3日遅れた場合でも在庫を切らさないよう、3日分を上乗せして保有するような考え方が安全在庫です。

発注点と安全在庫の違いと関係性

定義からわかるとおり、発注点は「いつ発注をかけるか」というタイミングの基準であり、安全在庫は「最低限保つべき在庫量」を示します。

発注点と安全在庫には違いがあり役割は異なりますが、発注点と安全在庫は無関係ではありません。

発注点の計算式の中に安全在庫が組み込まれており、安全在庫の数値が発注点を押し上げる関係にあります。

安全在庫を適切に設定することが、信頼できる発注点を導き出すうえで不可欠です。

発注点と安全在庫の計算に必要なデータの集め方

発注点と安全在庫を計算するには、品目ごとの過去出荷実績、調達期間の実績、需要のばらつきを記録したデータが必要です。

特に出荷データは日次で記録しておくことが計算精度の前提となり、月単位の集計だけでは需要の波が見えにくくなります。

出荷伝票や入出庫記録を整理し、品目別・日別に集計できる状態にしておくことで、発注点や安全在庫の信頼性を高めることが可能です。

発注点と安全在庫の計算方法

データが揃ったら、いよいよ発注点と安全在庫を計算していきます。

発注点の基本的な計算式と、安全在庫の簡易的な計算方法、統計データを使った計算方法を紹介します。

発注点の基本計算式

発注点の基本的な計算式は、次のとおりです。

発注点 = 1日あたりの平均出荷量 × 調達期間(リードタイム) + 安全在庫

平均出荷量は過去の出荷実績から算出し、リードタイムは発注から納品までにかかる日数を表します。

例えば、1日あたり10個出荷される商品で、リードタイムが5日、安全在庫が10個の場合、発注点は「10 × 5 + 20 = 60個」となります。

在庫が60個を下回った時点で発注をかければ、納品までの間に欠品を起こさずに済む計算です。

簡易的に求める安全在庫の計算

続いて、安全在庫の計算方法です。

正確な安全在庫を求めるには統計的な計算が必要になりますが、過去の実績から簡易的に算出する方法もあります。

代表的なのは「過去の最大出荷数 − 平均出荷数」をもとに、需要の上ぶれ分をカバーする量を安全在庫とする考え方です。

また、「リードタイム中に欠品させたくない日数 × 1日あたりの平均出荷量」で算出する方法もあります。

例えば、リードタイム遅延を3日まで見込みたい場合、1日10個の出荷量に3日を掛けた30個を安全在庫とする形です。

これらの計算方法は、精度は粗くなるものの、まずは運用を始めるための入口として有効な手段といえるでしょう。

統計データを使った安全在庫の計算

より精緻に安全在庫を求める場合は、需要のばらつきを統計的に捉える方法が用いられます。

代表的な計算式は、次のとおりです。

安全在庫 = 安全係数 × 出荷量の標準偏差 × √ 調達期間(リードタイム)

安全係数は許容する欠品率に応じて決まる係数で、欠品率5%なら1.65、1%なら2.33などの値が用いられます。

標準偏差や平方根の計算は、エクセルのSTDEV.S関数やSQRT関数を使えば算出可能です。

需要のばらつきが大きい商品や欠品の影響が大きい品目では、簡易計算よりも統計的手法のほうが実態に合いやすくなります。

発注点と安全在庫を設定するメリット

発注点と安全在庫を運用に組み込むことで、現場の業務負担を減らせるのはもちろん、経営面にも好影響が期待できます。

発注点と安全在庫を設定することで得られる主なメリットを見ていきましょう。

欠品による販売機会の損失を防げる

発注点を設定しておけば、在庫が一定の水準を下回った段階で発注がかかるため、勘と経験に頼った発注に比べて欠品リスクを抑えられます。

発注点に安全在庫が適切に組み込まれていれば、納品までの間に需要が想定より増えたり、納品が遅れたりした場合でも、一定程度までは在庫を切らさずに済むでしょう。

これにより、欠品による販売機会の損失や、納期遅延による顧客満足度の低下を防ぎやすくなる点がメリットです。

過剰在庫を抑えてキャッシュフローを改善できる

過剰在庫の抑制とキャッシュフローの改善も、発注点と安全在庫を運用するメリットの1つです。

欠品を恐れて多めに発注する習慣が続くと、必要以上の在庫が倉庫に積み上がり、保管スペースや管理コストを圧迫します。

数値に基づいた発注に切り替えれば、必要なタイミングで必要な量だけ補充する運用が実現し、在庫として寝かせる資金を減らせます。

これにより保管費の削減やキャッシュフローの改善につながり、経営面での効果も期待できるでしょう。

発注判断の標準化につながる

発注点と安全在庫を数値として仕組み化することで、発注判断の標準化が進みます。

従来はベテラン担当者の経験や勘に頼っていた発注業務も、基準があれば誰が担当しても同じ判断ができるようになるでしょう。

担当者によって発注タイミングや数量がぶれることがなくなり、引き継ぎや新人教育にかかる時間も削減できます。

属人化の解消は、人材の入れ替わりが多い企業にとっては効果的なメリットといえるでしょう。

発注点と安全在庫の設定手順

計算方法とメリットを押さえたら、実際に発注点と安全在庫を運用に取り込んでいきましょう。

発注点と安全在庫の設定手順を解説します。

過去データをもとに計算する

まずは品目ごとに過去の出荷実績とリードタイムをもとに、発注点と安全在庫を算出します。

すべての品目を一度に対応しようとすると負担が大きいため、最初は出荷量や金額の大きい重要品目から着手するのが現実的です。

最初の数値は概算でも構いません。

運用しながら精度を高めていく姿勢のほうが、机上で完璧を目指して着手が遅れるよりも成果につながりやすいでしょう。

関係者に共有して運用ルールを定める

算出した発注点と安全在庫の数値は、発注担当者や在庫管理担当者と共有し、運用ルールとして文書化します。

「誰が」「いつ」「どの基準で」発注をかけるのかを明確にし、発注権限や承認フローも併せて整理しておきましょう。

ルールが明文化されていないと、せっかくの数値が活かされず、結局は個人の判断に頼る運用に戻ってしまいかねません。

関係者全員が同じ手順で動ける状態を作ることが定着のポイントです。

定期的に数値を見直す

発注点と安全在庫は一度設定して終わりではなく、定期的に数値を見直す運用が欠かせません。

仕入先のリードタイム変動によって、設定時の前提が変わってしまうことがあるためです。

四半期や半期ごとなど定期的に数値を点検する運用ルールを設け、変化に追従できる体制を整えることが大切です。

設定して終わりではなく継続的に見直す姿勢が、発注点と安全在庫を機能させ続ける土台となります。

発注点と安全在庫の運用の注意点

発注点と安全在庫を導入しても、運用の前提条件が変化すると数値が機能しなくなることがあります。

設定後に陥りがちな発注点と安全在庫の運用の注意点を押さえておきましょう。

季節変動・需要変動への対応が必要になる

商品特性によっては、平常時のデータで算出した発注点と安全在庫が、繁忙期や閑散期にはそのまま使えなくなることがあります。

例えば、夏に需要が集中する商品で年間平均の出荷量を使うと、繁忙期には発注点が低すぎて欠品が頻発しかねません。

季節変動のある品目では、シーズンごとに発注点と安全在庫を補正することが重要です。

リードタイム変動の影響を受けやすい

仕入先の供給状況や物流事情によってリードタイムが変動すると、設定した発注点が実態に合わなくなります。

リードタイムが想定より長くなれば、発注点に達してから発注しても納品が間に合わず、欠品を招く原因です。

定期的にリードタイムの実績を確認し、変動が大きい場合は安全在庫を厚めに設定するなどの調整を行うことが、欠品リスクを抑えるポイントとなります。

エクセル管理では運用の負担が大きい

発注点と安全在庫をエクセルで管理する方法は手軽に始められる一方、品目数が増えると運用負担が大きくなります。

出荷実績の入力や計算式の更新、在庫数とのつき合わせを手作業で行うと、入力ミスや更新漏れが起こり、属人化の温床にもなりかねません。

実際の在庫の動きとエクセル上のデータがずれると、せっかく算出した発注点も実態と乖離してしまうため、品目数が一定規模を超えたらシステム化を検討するタイミングといえるでしょう。

発注点と安全在庫の管理を効率化するならzaico

発注点と安全在庫は、適正な在庫の維持に欠かせない指標です。

数値を計算するだけでなく、変化に追従しながら継続的に運用していくことが、欠品や過剰在庫を防ぐことにつながります。

発注点と安全在庫を活用した在庫管理の効率化には、「クラウド在庫管理システムzaico」をご活用ください。

zaicoでは品目ごとに発注点を設定でき、在庫数が下回るとアラートで通知が届くため、発注タイミングの見落としを防げます。

QRコードやバーコードを使った入出庫登録により、データがリアルタイムで蓄積されるため、正確な発注点や安全在庫の算出が可能です。

発注点と安全在庫の管理の効率化をお考えなら、zaicoまでお気軽にご相談ください。

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