RFIDを使った在庫管理システムを自作する手順や自作の限界を解説

在庫管理の効率化を目指す企業にとって、RFID技術の活用は有効な選択肢です。

バーコードと異なり、非接触で複数の商品を一括読み取りできるRFIDは、在庫管理に関する作業時間の大幅な短縮を実現します。

しかし、本格的なRFIDシステムの導入には高額なコストがかかるため、「なんとか自作で安く導入できないか」と考える方もいるかもしれません。

RFIDを使った在庫管理の自作について、必要なものから構築手順、RFIDを使った在庫管理を自作するメリットと限界などを解説します。

RFIDを使った在庫管理システムは自作できる?

結論から言うと、RFIDを使った在庫管理システムは自作可能です。

市販のRFIDリーダーとエクセルを組み合わせることで、簡易的な在庫管理機能を実装できます。

RFIDとは「Radio Frequency Identification」の略で、電波を使って非接触でデータの読み書きを行う自動認識技術です。

本格的なRFIDシステムの導入には数百万円規模の費用が必要ですが、自作であれば数十万円規模で実現できるでしょう。

ただし、自作には技術的な知識が必要なうえ、機能面や拡張性にも制約があるため、自社の規模や要件を踏まえた判断が重要です。

RFIDを使った在庫管理システムを自作するために必要なもの

RFIDシステムを自作するためには、物理的なハードウェアとデータを処理するためのソフトウェアが必要です。

RFIDを使った在庫管理システムの自作に必要なものを解説します。

RFIDリーダー・ライター

RFIDリーダー・ライターは、RFIDタグに記録された情報を読み取ったり、新たな情報を書き込んだりする装置です。

USBやBluetoothでパソコンに接続できるタイプが自作システムには適しています。

在庫管理で一般的に使われるのは、数メートル離れた場所からでも読み取れる「UHF帯」に対応した機種です。

購入時には、使用する周波数帯が日本の電波法に適合しているか確認しましょう。

RFIDタグ

RFIDタグは、商品や資産に貼り付けて個体を識別するためのICチップとアンテナが内蔵された小型デバイスです。

パッシブタグとアクティブタグがありますが、在庫管理では電池不要で安価なパッシブタグが一般的に使われます。

価格は1枚あたり十数円から百円程度で、形状もシール型、カード型、タグ型など用途に応じて選ぶことが可能です。

金属製品や液体に貼り付ける場合は、専用の金属対応タグを選ぶことで読み取り精度を確保できます。

エクセル

読み取ったデータを蓄積し、在庫台帳として機能させるためのソフトウェアに、エクセルを使用します。

エクセルは多くの企業ですでに導入されているため、追加コストをかけずに活用できる点が大きなメリットです。

VBAというプログラミング機能を使えば、RFIDリーダーから読み取ったデータを自動的にエクセルに入力したり、在庫数を自動計算したりする処理を実装できます。

データ連携用ミドルウェア(必要な場合)

RFIDリーダーとエクセルの間でデータをスムーズに受け渡すために、ミドルウェアが必要になる場合があります。

ミドルウェアとは、異なるシステムやデバイス間でデータを仲介するソフトウェアのことです。

簡易的な運用であれば、RFIDリーダーをキーボード入力として認識させるHIDモードを活用することで、ミドルウェアなしでもエクセルへの直接入力ができます。

より高度な制御や複数リーダーの統合管理を行う場合は、専用のミドルウェアが必要です。

RFIDを使った在庫管理システムを自作する手順

必要な機器が揃ったら、次は実際にシステムを構築する手順に入ります。

RFIDを使った在庫管理システムを自作する基本的な手順を紹介します。

管理用エクセル台帳の設計

まずは、在庫データを管理するためのエクセルの枠組みを作りましょう。

最低限必要な項目として、「商品ID」「商品名」「在庫数」「保管場所」に加え、RFIDタグの情報を紐付けるための「識別番号」の列を用意します。

最初は「何が・どこに・いくつあるか」が分かるシンプルな構成にするのがおすすめです。

RFIDリーダーの接続と入力設定

次に、RFIDリーダーをパソコンに接続し、ドライバーのインストールや設定を行います。

HIDモードに設定すると、リーダーが読み取ったデータを「キーボード入力」として認識させることが可能です。

読み取り後に自動的にEnterキーを送信する設定にしておけば、連続してタグを読み取る際の操作がスムーズになります。

入出庫登録を自動化するVBAマクロの実装

読み取りができるようになったら、VBAマクロを使って入出庫処理を自動化しましょう。

例えば、入庫ボタンを押してからRFIDタグを読み取ると、自動的に入庫データが記録され、在庫数が増加するような処理を実装できます。

同様に、出庫データを記録し、在庫数を減らします。

VBAのプログラミング知識が必要になりますが、近年は生成AIなどで簡単にサンプルプログラムが作れるので、参考にカスタマイズしていくと良いでしょう。

RFIDタグへの個体識別情報の書き込み

すべての商品に同じRFIDタグを貼るだけでは、在庫管理はできません。

各タグに、管理用エクエル台帳と紐付けるための識別番号を書き込む必要があります。

RFIDライターを使って、識別番号と必要な情報をタグに書き込みます。

金属面や液体の近くは電波が反射・吸収されて読み取りにくくなるため、可能な限り避けるか、金属対応タグを使用するようにしましょう。

読み取り精度の検証と現場での運用テスト

システムが組み上がったら、すぐに実際の運用に移行するのではなく、検証が必要です。

実際の現場と同じ環境で、タグが正しく読み取れるか、金属の影響はないか、重複して読み取っていないかなどをテストします。

読み取りエラーが発生する場合は、リーダーの設置位置やアンテナの向き、タグの貼り付け位置などを調整しましょう。

運用テストで見つかった課題を改善し、マニュアルを整備してから本格的な運用を開始すると、スムーズな導入が実現できます。

RFIDを使った自作の在庫管理システムでできること

RFIDを使った在庫管理の仕組みを自作するには、手間と技術が必要ですが、それを乗り越えて構築するといくつかのメリットがあります。

RFIDを使った在庫システムを自作するメリットを見ていきましょう。

コストを抑えてRFIDを使ったシステムが導入できる

自作の最大のメリットは、導入コストを抑えられることです。

専用の在庫管理システムを導入する場合、RFIDリーダー・ライターやRFIDタグに加えて、システムの初期費用や月額利用料がかかります。

一方、紹介したようなエクセルを使った自作システムであれば、RFIDリーダーとタグの購入費用で始めることが可能です。

実現できる機能に制限はありますが、限られた予算の中でRFIDを導入したい場合は、自作は有効な選択肢といえます。

非接触・非視認の読み取りで作業時間を短縮できる

RFIDの最大の特長は、非接触かつ非視認で情報を読み取れることです。

バーコードでは、スキャナーをバーコードに向けて1つずつ読み取る必要がありますが、RFIDであればタグが電波の範囲内にあれば読み取れます。

これにより、棚卸しや入出庫作業にかかる時間の大幅な短縮が可能です。

複数のタグを同時読取して一括登録できる

RFIDのもう1つの大きな利点は、複数のタグを同時に読み取れることです。

バーコードが1つずつしか読み取れないのに対し、RFIDリーダーは電波の範囲内にある複数のタグを一度にスキャンできます。

これにより、入出庫や検品の時間が大幅に短縮され、数え間違いや記録漏れを防ぐことも可能です。

RFIDを使った自作の在庫管理システムの限界

RFIDとエクセルを使った自作の在庫管理システムは、コストが抑えて構築できる一方で、自作ならではの限界もあります。

RFIDを使った自作の在庫管理システムの限界を解説します。

エクセル管理による同時編集や共有の制限がある

エクセルは優れたツールですが、基本的に同時編集には向いていません。

複数の担当者が同じエクセルファイルを開くと、ロックがかかって編集できなかったり、データが上書きされたりするリスクがあります。

倉庫内で複数のスタッフが同時に検品作業を行うような運用フローの場合、エクセルでの管理が破綻してしまう可能性がある点に注意しましょう。

データが蓄積されると動作が重くなる

運用を続けて在庫データの行数が増えてくると、動作が重くなる点もエクセルのデメリットです。

特に、複雑な関数やVBAマクロを組んでいる場合、数秒の処理待ち時間が発生したり、最悪の場合はファイル自体がフリーズしてデータが破損したりするリスクがあります。

大量のデータを高速に処理したい場合は、データベースを使った本格的なシステムへの移行を検討しましょう。

作成者がいなくなると保守が続かなくなるリスクがある

作成者に依存した属人的な運用になりやすい点も自作のリスクです。

VBAマクロを使った複雑な処理を実装している場合、プログラミングの知識がない他のスタッフでは、システムの修正やトラブル対応ができません。

作成者が異動や退職でいなくなると、システムがブラックボックス化し、不具合が発生しても誰も対処できない状況に陥るリスクがあります。

RFIDを使った在庫管理は自作よりzaico

RFIDとエクセルを使った自作の在庫管理システムは、本格的なシステム導入に比べてコストを抑えられ、小規模な運用であれば十分に機能します。

しかし、事業の成長に伴って在庫管理の要件が複雑化してくると、自作システムでは対応しきれなくなる場面が増えてくるでしょう。

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自作システムのように苦労して構築する必要がなく、手厚いサポートで安心して利用可能です。

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