棚卸作業に何時間、何日もかかり、本来の業務が圧迫されてしまうということは珍しいことではなく、適切な準備と効果的なアプローチによる改善が求められる部分です。
棚卸は正確な在庫数を把握するための重要な業務ですが、非効率な方法を続けていては、時間とコストの無駄につながります。
棚卸の時間短縮を実現するための、準備段階から作業のテクニック、ITツール活用法などを確認していきましょう。
棚卸の時間短縮をするメリット
棚卸の時間短縮は、企業にさまざまなメリットをもたらす取り組みです。
棚卸時間を短縮できれば、まず担当者の負担が大幅に軽減され、通常業務への影響を最小限に抑えられます。
また、作業時間が短くなるほどミスの発生率も下がり、結果として在庫精度の向上につながるでしょう。
さらに、棚卸に必要な人員・残業・休日出勤などのコストも削減でき、企業全体の生産性改善にも寄与します。
棚卸の効率化は単なる時短だけではなく、業務品質と経営効率を高め競争力強化につながる重要な取り組みです。
棚卸の時間短縮を妨げるよくある課題とは
棚卸の時間短縮を実現するには、まず自社の棚卸作業でどこに時間がかかっているのかを正確に把握することが重要です。
多くの企業で棚卸作業の時間短縮を妨げるよくある課題を解説します。
当日になって資材や人員配置に混乱が生じる
棚卸当日に「カウントリストが足りない」「バーコードリーダーの充電ができていない」などのトラブルが発生すると、作業開始が遅れてしまいます。
また、誰がどのエリアを担当するのか明確に決まっておらず、現場で調整に時間を取られるケースも少なくありません。
事前の準備不足は、作業開始から大幅な時間ロスを生み出す主要因となります。
カウントミスによる手戻りが頻発する
数え間違いや記入ミスが発覚すると、該当箇所を再度カウントしなければなりません。
特に類似商品が多い倉庫や、小さな部品を扱う現場では、カウントミスが発生しやすくなります。
1人での作業では確認体制が不十分になりがちで、後から大きな差異が判明して全体を再カウントする事態にもなりかねません。
在庫の所在が不明確で探すのに時間がかかる
「この商品はどこに保管されている?」と探し回る時間は、棚卸作業の中でも特に無駄な時間です。
日常的に在庫の置き場所が定まっていない、ラベルが剥がれている、複数の場所に分散保管されているというような状況では、棚卸のたびに探す時間が発生します。
また、棚卸リストの順番と実際の保管場所の順序が一致していない場合の移動時間も、時間短縮を妨げる要因です。
アナログな集計作業に時間がかかる
手書きのカウント表をエクセルに入力し直す、手計算で合計を出すなどのアナログな集計作業は、多くの時間を費やします。
また、転記ミスのリスクも高く、数字の確認作業にも時間がかかるでしょう。
このような非効率な方法を続けていると、棚卸の時間短縮はなかなか実現できません。
棚卸の時間短縮に役立つ準備と段取り
棚卸の時間短縮をしてスムーズに進めるための土台となるのが、事前の準備と段取りです。
棚卸の時間短縮に役立つ準備と段取りのポイントを解説します。
具体的な棚卸計画を策定する
まず取り組むべきなのが、「棚卸計画」の策定です。
棚卸の実施日、参加人数、作業時間、担当エリアの割り振りなどを明確にした棚卸計画書を作成しましょう。
計画書では、各エリアの作業量を事前に見積もり、適切な人員配置を行うことが重要です。
計画段階で人員が不足している箇所や、他業務との調整が必要な時間帯も見えてくるため、事前に対策を打ちやすくなります。
作業エリアを整理・整頓する
棚卸の数日前から、対象となる倉庫や保管エリアの整理整頓を実施しましょう。
通路に置かれた不要な物を撤去し、商品を見やすく配置し直すことで、カウント作業がスムーズになります。
また、棚卸対象外の在庫がある場合は、明確に区別できるよう表示しておくと良いでしょう。
整理整頓された現場では、作業者が迷うことなく効率的に作業を進められるため、時間短縮につながります。
担当者の役割分担と作業手順書を明確にする
棚卸の当日に、「とりあえず全員で数えましょう」という進め方をしてしまうと、どうしてもムラや抜け・ダブりが発生します。
そこで重要になるのが、役割分担と作業手順書の明確化です。
カウント担当、記録担当、確認担当、データ入力担当など、役割を細分化することで責任の所在が明確になります。
また、作業手順書には、カウントの方法や記録の仕方、疑問点が生じた際の報告ルートなどを具体的に記載すると当日の混乱を最小限に抑えられるでしょう。
棚卸の時間短縮に役立つ現場テクニック
準備が整ったら、次は当日の作業効率を高める実践的なテクニックです。
現場でのちょっとした工夫で、カウント精度を保ちながら作業時間を短縮できます。
棚卸の時間短縮に役立つ現場テクニックを紹介します。
棚番号やラベルを活用して迷子を防ぐ
倉庫内の棚に「A-01」「B-03」のような棚番号を付与し、カウント表に対応する番号を記載することで、どこを数えたかが一目で分かるようになり、数え漏れや重複カウントを防げます。
また、商品や部品には、品番や品名が記載されたラベルを貼付しておくと、目視での確認時間の短縮が可能です。
棚番号とラベルの組み合わせにより、作業者は迷うことなくスムーズに作業を進められ、時間短縮に直結します。
ペア作業でカウントと記録を同時進行する
1人が在庫を読み上げ、もう1人が記録する「ペア作業」も、棚卸の時間短縮に有効な方法です。
カウント担当者は数えることに集中でき、記録担当者は記入ミス防止に集中できます。
さらに、カウント値を口頭で復唱しながら記録することで、お互いにチェックが働き、ミスを防ぐことが可能です。
ペア作業は人員を多く必要としますが、再カウントや書き間違いの確認などの手戻りを減らせるため、トータルの所要時間短縮が期待できます。
定期的に進捗を確認・共有する
棚卸作業は数日におよぶこともあります。
棚卸作業中は、各担当者やチームの進捗状況の定期的な確認・共有が重要です。
確認タイミングで、作業者からの「商品の場所が分からない」「数量が合わない」などの問題を吸い上げることで、大きな手戻りを防げます。
また、ホワイトボードや共有チャットツールを使って進捗を可視化すれば、遅れているエリアに応援を回すなど柔軟な人員配置も可能です。
棚卸の時間短縮に役立つITツール
棚卸の時間短縮をさらに進めたい場合、ITツールの活用は欠かせません。
アナログな手書き・電卓中心のやり方からデジタル化を進めることで、棚卸時間の短縮が期待できます。
棚卸の時間短縮に役立つITツールを紹介します。
エクセル棚卸表
最も手軽に始められるのが、エクセルを活用した棚卸表の作成です。
品番、品名、ロケーション、帳簿在庫数、実在庫数、差異数などの項目を用意し、差異数は関数で自動計算するようにしておきます。
これにより、手書きで集計したり電卓で差分を計算したりする手間の削減が可能です。
ただし、印刷した棚卸表からエクセルへの転記作業が残るため、完全な時間短縮には限界があります。
また、入力間違いを防ぐためのチェックルールが必要になるなど、運用ルールの整備も必要です。
在庫管理システム
棚卸の効率化を本格的に進めるのであれば、在庫管理システムの導入を検討しましょう。
在庫管理システムとは、品目ごとの在庫数量やロケーション、入出庫履歴などをデータベースで一元管理するシステムです。
スマートフォンやハンディターミナルでバーコード・QRコードを読み取ることで、カウント結果をリアルタイムでシステムに反映でき、手書き・手入力のミスをなくせます。
初期費用や月額費用はかかりますが、中長期的には、在庫管理の効率化や棚卸の時間削減によるコスト効果が期待できるでしょう。
IoT重量計
IoT重量計とは、在庫の重量を常時計測し、そのデータを自動でクラウドへ送信する機器のことです。
在庫を「数える」のではなく「重さで把握する」ため、棚卸時に人がカウントする必要がほぼなくなります。
特に、小型部品や頻繁に出入りする資材の棚卸に効果的で、リアルタイムに在庫が可視化されることで棚卸作業そのものを大幅に減らすことが可能です。
また、在庫の異常な減り方も検知できるため、日々の在庫管理精度の向上にもつながります。
棚卸の時間短縮にzaico
多くの企業にとって、在庫の棚卸作業は、多大な時間と労力を要する一大イベントです。
棚卸にかかる時間をできる限り削減することは、本来の業務をスムーズに進めるためにも欠かせません。
棚卸時間の短縮には、事前準備の徹底や現場テクニックの実践、ITツールの活用などが有効です。
手書きやエクセルでの棚卸から脱却し棚卸時間を短縮したいとお考えなら、「クラウド在庫管理システムzaico」をご検討ください。
zaicoは、スマートフォンやタブレットのカメラを使って、簡単にバーコードやQRコードをスキャンできるので、専用のハンディターミナルを購入する必要がありません。
また、IoT重量計「ZAICON」と合わせて使えば、モノを乗せておくだけでリアルタイムにシステムに数量を反映することが可能です。
棚卸の時間短縮をお考えであれば、まずはお気軽にzaicoまでご相談ください。


