仕掛在庫とは?仕掛在庫とは何かと仕掛品の在庫管理のポイント

製造業などにおいて、効率的な在庫管理は企業の売上に直接繋がる非常に大切な要素です。

特に「仕掛在庫」と呼ばれる製造途中の在庫は、その性質上管理が複雑であり、多くの企業が課題を抱えています。

仕掛在庫とはなにか、効率的な仕掛在庫の管理方法や必要性について確認していきましょう。

仕掛在庫・仕掛品の在庫管理とは?

まず、仕掛品とは、製造過程の途中段階にある製品や部品のことを指します。

この、完成品ではなく、完成途中にある製造中の仕掛品が、仕掛在庫です。

例えば、自動車製造であれば、エンジン部分が製造完了した状態、電子機器の製造であれば、基盤部分が完成した段階など、各工程で仕掛在庫は発生します。

仕掛在庫は在庫とはいいますが、まだ完成品ではありません。

そのため、これらの製造途中の在庫を適切に把握することで、進捗状況や投入された原材料費などを正確に管理でき、完成前でも正しく売上の計算が可能となります。

製造業においてプロセス全体の効率性を左右する、重要な要素が仕掛在庫です。

適切な管理をするだけでコスト削減や品質向上に繋がるので、正しい管理方法や管理の知識を得ることが大切となります。

仕掛在庫・仕掛品の在庫管理の必要性

仕掛在庫や仕掛品の在庫管理はなぜ必要なのでしょうか。

仕掛在庫・仕掛品の在庫管理が必要となる理由について確認していきましょう。

正確な原価計算をするため

仕掛在庫の管理は、正確な原価計算を行うためには必要不可欠です。

製造業などでは、完成品が出来上がるまでに時間がかかるため、製造における原価を正確に計算しなければなりません。

そのためには、原材料費だけではなく人件費やどれだけの時間がかかったのかなどさまざまな要素の管理が必要となるでしょう。

正しく在庫管理ができれば、完成品ができあがるまでにどれだけの費用がかかっているのか、どれだけの期間が必要とされたのか、目に見えて管理することができます。

これらの計算は売上にも直接繋がりますし、正確な原価計算ができればコスト削減や生産性の向上も可能です。

お金の動きを見える化するため

仕掛在庫はお金の動きを見える化することができます。

製造業では、完成品ができあがるまで現金化されません。

この期間が長くなればなるほど、どれだけのお金が動いているのかがわかりにくく、売上の計算も難しくなります。

そのため、仕掛在庫をおこなうことで製造プロセス全体でのお金の動きを可視化し、コスト削減ができる部分は削減して資金繰りの改善を行っていくことが大切です。

完成品ができあがるまで現金化ができないことによる問題を乗り越えるためにも、在庫管理はしっかりと行いましょう。

今後の事業の動きを見極めるため

仕掛在庫の状況は、将来の業績を予測するためにも重要な指標になります。

たとえば、仕掛在庫の管理をおこなうことで増減のパターンを分析することができるので、その結果将来の売上や収益を予測することが可能です。

また、仕掛在庫の管理状況を確認するだけで、製造プロセスに問題がないか確認することも簡単になります。

もし問題が発生していれば、回転率が遅かったりどこかの工程で製造プロセスが停滞しているはずです。

しかし、管理表をしっかりと管理できていれば、目に見えて問題のある工程がわかるでしょう。

このように、今後の売上の予想ができるだけではなく、製造プロセスにおいて問題がないかどうかの確認もできるので、仕掛在庫の在庫管理は重要です。

仕掛在庫・仕掛品の在庫管理が難しい理由

仕掛在庫の在庫管理は重要ではありますが、その特徴から非常に複雑で難しいとされています。

なぜ仕掛在庫・仕掛品の在庫管理が難しいのかを確認していきましょう。

製造途中だからわかりにくい

仕掛在庫は製造過程の途中で在庫管理をするため、在庫数だけではなく原材料や原価などの確定ができません。

そのため、仕掛在庫では正確な情報を管理することができず、難しいとされています。

さらに、製造過程が複雑化すればするほどその管理も大変で、多くのプロセスを踏まえた上で製品が完成する場合、簡単には在庫管理はできないでしょう。

このような複雑な製造過程を踏んでいる製品を取り扱う場合、工程ごとに予想をしながら管理する必要がありますが、その予想も容易ではありません。

さらに、完成していないということは常に製造過程は進んでいるということなので、流動的です。

その結果管理もさらに複雑になり、より一層難しくなります。

このように、完成品を管理するわけではないので、仕掛在庫の在庫管理はとても複雑です。

過剰在庫かどうかのリスクがわかりにくい

完成品の在庫管理をする場合は、在庫の回転率などから過剰かどうかの判断ができます。

しかし、仕掛在庫は製造プロセスの途中段階にあるものを管理するため、どうしても過剰在庫かどうかの判断ができません。

そのため、気づかないうちに過剰在庫になっていたり、不足している可能性も高いでしょう。

さらに、仕掛在庫の過剰は複数のプロセスにまたがって発生することもあり、複雑に連鎖することでどこが問題だったのか探すことも困難になってしまいます。

このように、仕掛在庫の場合網羅的に管理することが困難なため、在庫管理自体が難しいとされています。

属人化していて非効率的

多くの仕掛在庫の管理は、特定の担当者が管理していることが多く、結果的に属人化してしまい管理が非効率的になってしまいます。

また、属人化は管理の非効率性だけではなくさまざまなリスク増大にも繋がります。

たとえば、突然の退職や異動により仕掛在庫の管理ができなくなる可能性がでてきたり、属人化することで特定の人にしかわからないルールができたりなど、さまざまな弊害が生まれる可能性が高いです。

さらに、たとえ退職などで新しい人が担当になったとしても、これまでの熟練な担当者にくらべれば新しい知識もなく、すぐに在庫管理を任せることはできません。

仕掛在庫は予測など、長年の勘を必要とすることもあるので、どうしても属人化しやすい作業です。

そのため、属人化しないようシステムを利用したりグループをつくって全員で共有したりなどの工夫が必要になります。

仕掛在庫・仕掛品の在庫管理の主な方法

仕掛在庫の在庫管理にはさまざまな方法があります。

もっとも基本的な管理方法は、目視で確認して手作業で管理する方法です。

各工程の責任者が、定期的に数量などを数えて管理することで、仕掛在庫の管理ができるしょう。

しかし、この方法は人的ミスも多く、作業の負荷がかかるなどの課題があります。

他にも工程を色分けしながら管理して視覚的に確認していく方法もあります。

この場合は、ホワイトボードなどをつかって管理するので、従業員同士のコミュニケーションも増えてより管理しやすいです。

結局はアナログな管理方法なので、どこかで書き損じがあったり、マグネットで管理していれば気づかないうちに落ちていたりなど、物理的なミスが生じることもあるでしょう。

このように、仕掛在庫管理は複雑な管理になることからアナログでの管理から、デジタルや効率化的な方法を導入してみるといいかもしれません。

仕掛在庫・仕掛品の在庫管理を効率的に行う方法

仕掛在庫や仕掛品の在庫管理を効率的に行うにはどうすれば良いのでしょうか。

仕掛在庫・仕掛品の在庫管理を効率的に行う方法について確認していきましょう。

在庫管理システムを使う

仕掛在庫管理における最も効率的な方法は、専用の在庫管理システムを導入することです。

従来の手作業での管理方法より、システムを利用したほうがミスも少なくさらに複雑な管理も簡単におこなうことができます。

クラウドベースの在庫管理システムであれば、リアルタイムに情報の共有ができますし、更新もリアルタイムに行うことができるので、ミスの発生を未然に防ぐことができます。

また、クラウドベースということはさまざまな場所からアクセスができるので、本社や支社などの垣根を超えて全体で管理することも可能です。

さらに、最近はAIを活用したシステムも増えており、過去の生産実績や材料の投入から、製造プロセスの動きを分析し、必要な在庫レベルなどの算出ができるため、過剰在庫や欠品などのリスクを防ぐこともできます。

このように、在庫管理システムを導入することで、企業全体の無駄なコストを防ぐことができるだけでなく、顧客満足度にも直接繋げることができるでしょう

仕組みを作る

在庫管理システムを導入するだけではなく、そもそも組織全体で仕組みを作ってしまうことも大切です。

なぜなら在庫管理システムを導入するだけでは、担当者が使いこなせれば良いという考えになり属人化から脱却できないからです。

組織的な仕組み作りとは、例えば以下のようなことを指します。

  • 仕掛在庫の定義を周知する
  • 測定方法を決める
  • 報告頻度・管理頻度のルール化
  • 責任者だけではなく担当者決め
  • 管理方法の周知

これらを標準化することで、誰でも管理できるようになるので、属人化から逃れることができるでしょう。

属人化しなければ、一貫性のある管理が可能となるので、ヒューマンエラーを減少させるだけではなく、効率性も上がります。

これらの仕組みをつくるためには、従業員一人一人に教育や研修を行う必要があるでしょう。

それも、月に一度など定期的におこなうことが大切です。

仕掛在庫・仕掛品の在庫管理ならzaico

製造業において仕掛在庫は複雑な管理で、手作業では難しい部分も多いです。

さらに、仕掛在庫や仕掛品の在庫管理は属人化しやすい部分もあり、会社全体で管理するためにも在庫管理システムの導入を考えましょう。

より管理がしやすく、作業の効率性を上げたい場合は「クラウド在庫管理システムzaico」の導入はいかがでしょうか。

zaicoはクラウドベースで在庫管理ができるので、複雑化しやすい仕掛在庫の在庫管理も、複数人でリアルタイムに共有しながら作業ができますし、各工程で正確な管理を行うこともできます。

また、独自のカテゴリを作成してオリジナルの管理表を作成することもできるので、細分化しやすい仕掛在庫の在庫管理をシンプルに行うこともできるでしょう。

よりわかりやすく仕掛在庫や仕掛品の在庫管理をしたい場合は、お気軽にzaicoにお問い合わせください。

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