セット品とは?セット品のメリット・デメリットと在庫管理の課題

「セット品」は、消費者の購買意欲を刺激し、客単価の向上に貢献する効果的な販売手法です。

しかし、セット品の販売や管理の裏側では、構成する単品それぞれの在庫を正確に把握し、全体の在庫を最適に保つという、複雑な在庫管理が求められます。

セット品とは何かから、セット品を販売するメリット・デメリット、セット品の在庫管理の課題と対策を確認していきましょう。

セット品とは

セット品とは、複数の個別商品を組み合わせて1つの商品として販売する商品形態のことです。

バンドル商品やセット商品とも呼ばれ、異なる種類の商品を組み合わせる場合と、同じ商品を複数まとめて販売する場合があります。

セット品は、顧客にとっては利便性の向上や価格面での利点があり、販売者にとっては売上向上や在庫回転率の改善などの効果が期待できる販売手法です。

一方、構成する各商品の在庫管理や価格設定、出荷業務などにおいて、単品販売とは異なる複雑さを伴うため、適切な管理が求められます。

セット品の具体例

セット品はさまざまな業界で活用されています。

化粧品業界では、スキンケア用品一式をまとめたトライアルセットや、シャンプーとコンディショナーのセット商品が代表的です。

家電業界では、テレビとレコーダー、スピーカーをまとめたホームシアターセットや、パソコンとプリンター、マウスをセットにした商品などがあります。

食品業界では、調味料セットやお中元・お歳暮の詰め合わせ商品、レトルト食品の複数パックなどが一般的です。

このように、セット品は顧客のニーズや使用シーンに合わせてさまざまな形で商品化されています。

セット品を販売するメリット

セット品販売には、販売者にとって単品販売では得られない多くのメリットがあります。

セット品を販売するメリットを見ていきましょう。

顧客単価の向上

セット品販売の最も大きなメリットは、顧客単価の向上です。

顧客が単品を購入する場合と比較して、セット品では複数商品をまとめて購入するため、1回の取引での売上金額が増加します。

また、セット価格を個別購入よりも割安に設定することで、顧客にお得感を提供しながらも、全体の売上向上を実現できます。

関連商品の認知度アップ

セット品として組み合わせることで、主力商品と一緒に関連商品や新商品の認知度を高めることが可能です。

顧客が普段購入しない商品でも、セット品として含まれることで、自然に試用の機会を提供できます。

これにより、将来的な単品でのリピート購入につなげることが可能となり、商品ラインナップ全体の売上向上に貢献します。

滞留在庫や不動在庫の解消

セット品販売は、滞留在庫や不動在庫(デッドストック)の解消にも有効です。

単体では売れ行きの鈍い商品も、人気商品と組み合わせることで販売機会を創出できます。

これにより、在庫回転率の改善と倉庫スペースの有効活用が実現可能です。

また、季節商品や期間限定商品の在庫処分にも活用でき、廃棄ロスの削減も期待できます。

独自の付加価値による他社との差別化

独自の組み合わせや付加価値をつけたセット品の提供により、競合他社との差別化を図ることが可能です。

同じ商品を扱っていても、組み合わせ方や価格設定、パッケージングの工夫により、オリジナリティのある商品として市場に提供できます。

また、顧客のライフスタイルやニーズに合わせたセット品の提案により、価格競争から脱却し、付加価値による競争優位性を構築することも可能です。

セット品を販売するデメリット

セット品販売には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。

セット品を販売するデメリットを見ていきましょう。

価格設定の難しさと利益率への影響

セット品の価格設定は、単品価格よりも複雑です。

個別商品の原価や利益率を考慮しながら、顧客にとって魅力的なセット価格を設定する必要があります。

セット価格を安く設定しすぎると全体の利益率が低下し、高く設定しすぎると顧客の購買意欲を削ぐ可能性があります。

セット品販売を成功させるには、利益を確保しながらも顧客に魅力的な価格を設定するノウハウが必要です。

顧客ニーズとのミスマッチによる機会損失リスク

セット品の構成が顧客のニーズと合わない場合、販売機会を逃すことになる点もデメリットです。

顧客が必要とする商品がセットに含まれていなかったり、不要な商品が含まれていたりする場合、購買を見送る可能性があります。

また、セット品でしか販売していない場合、単品購入を希望する顧客を取り逃がすことにもなるでしょう。

市場調査や顧客フィードバックをもとに、適切なセット構成を検討することが重要です。

返品・交換対応の複雑化

セット品の返品や交換対応は、単品商品よりも複雑になります。

セット品の一部のみに不具合があった場合の対応方針や、部分返品の可否、交換商品の在庫確保などの課題が発生します。

また、返品されたセット品を再販売する際の品質チェックや再梱包作業も必要です。

ルールが曖昧だと、対応に時間がかかり顧客満足度を低下させたり、現場スタッフが混乱したりする原因となります。

セット品の在庫管理における課題

セット品販売のメリットを享受し、デメリットを回避するためには、正確で効率的な在庫管理が重要です。

しかし、セット品は単品とは異なる特性を持つため、在庫管理においても特有の難しさが存在します。

セット品の在庫管理で直面する課題を解説します。

単品とセット品の在庫数を紐づけて把握する難しさ

セット品を販売する場合、単品在庫(構成品)とセット品在庫(完成品)の2つの在庫管理が必要です。

たとえば、AとBの2つの商品を組み合わせたセット品を販売している場合、セット品が1つ売れると、AとBの在庫がそれぞれ1つずつ減ります。

しかし、手作業で管理している場合、この紐づけ作業が煩雑になり、単品在庫とセット品在庫の数が合わなくなってしまうことが少なくありません。

このズレが、在庫差異を引き起こし、正確な在庫状況の把握を困難にします。

構成品の欠品がセット品全体の出荷を止めてしまうリスク

セット品は、複数の商品で構成されているため、そのうちの1つでも欠品すると、セット品全体を出荷できなくなってしまいます。

例えば、シャンプー、コンディショナー、トリートメントの3点セットを販売している場合、トリートメントが欠品すると、残りのシャンプーとコンディショナーが在庫として残っていても、セット品としては販売できません。

これにより、せっかくの販売機会を逃すだけでなく、顧客満足度の低下にもつながります。

手作業によるセット組・解体時の計上漏れや入力ミス

セット品の組み立て(セット組)や、売れ残ったセット品の解体を行う際、手作業で在庫数を調整すると、計上漏れや入力ミスが発生しやすくなります。

特に、複数の作業者が関わる場合、情報共有が不十分だとミスが増える可能性が高いでしょう。

このようなミスは、在庫数の正確性を損ない、最終的には棚卸しの際に大きなズレとなって現れます。

構成商品の調達リードタイム差による在庫切れリスク

セット品を構成する商品の調達リードタイム(発注から納品までの期間)が異なる場合、在庫切れのリスクが高まります。

リードタイムが3日の商品もあれば、海外からの輸入品で3ヶ月かかる商品もあるかもしれません。

特にリードタイムの長い商品が欠品すると、他の構成品の在庫が潤沢にあっても、長期間にわたってセット品を製造・出荷できなくなってしまいます。

セット品の在庫管理を効率化するポイント

これまで見てきたように、セット品の在庫管理にはさまざまな課題があります。

しかし、適切な対策を講じることで管理プロセスを効率化することが可能です。

セット品の在庫管理を効率化するためのポイントを解説します。

親品番・子品番の管理ルールを策定する

セット品の在庫管理を効率化するためには、親品番(セット品)と子品番(構成品)の明確な管理ルールを策定することが重要です。

親品番はセット品全体を識別するコードで、子品番はセットを構成する個々の商品を識別するコードです。

紐づけルールを明確にし、セット品と構成品の関係を管理することで、在庫の連動処理や欠品リスクの予測が正確に行えるようになります。

レイアウト改善によりピッキングや梱包プロセスを効率化する

倉庫内のレイアウト改善により、セット品のピッキングや梱包プロセスを効率化することが可能です。

例えば、セット品の構成商品を近い場所に配置することで、ピッキング時の移動距離を短縮し、作業時間を削減できます。

また、セット組を行う専用のスペースを設けることで、作業の動線がスムーズになり、ミスを減らすことにもつながるでしょう。

セット品管理に対応した在庫管理システムを導入する

ルール策定や現場改善は重要ですが、手作業での管理には限界があります。

セット品の在庫管理を効率化し、ミスをなくすためには、セット品管理機能を備えた在庫管理システムの導入が効果的です。

セット品に対応した在庫管理システムでは、親品番と子品番を自動で紐づけて管理できるため、セット品が売れた際に構成品の在庫を自動的に引き落とせます。

これにより、手作業での入力ミスがなくなり、リアルタイムで正確な在庫数を把握することが可能です。

セット品の在庫管理にzaico

セット品販売は、顧客単価の向上や他社との差別化などの大きなメリットをもたらす効果的な販売戦略です。

一方で、単品とセット品の在庫連動や欠品リスクへの対応のような在庫管理面の課題を抱えています。

小規模であれば手作業での管理も可能ですが、規模が大きくなると手作業での管理には限界が見えてくるでしょう。

セット品管理の効率化をお考えなら、「クラウド在庫管理システムzaico」をご検討ください。

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