多くの企業にとって、決算期末などに行われる棚卸は、負担の大きい業務かもしれません。
しかし、この大変な棚卸のタイミングが、実は適切に「在庫を減らす」ための機会であるともいえます。
棚卸に合わせて在庫を減らす理由は、単に数えるのが楽になるから、という現場レベルの理由だけではありません。
なぜ棚卸のタイミングで在庫を減らすべきなのか、棚卸時に在庫を減らす理由を財務、作業効率、リスク管理、経営戦略という観点から解説します。
棚卸時に在庫を減らす理由とは?
棚卸とは、決算期や期中の特定時期に実際の在庫数量を数えて確認する作業のことです。
帳簿上の数字と実在庫を照合し、在庫管理の正確性を担保するために欠かせません。
棚卸は、在庫削減を検討する上で絶好のタイミングであるともいえます。
なぜなら、棚卸時には在庫の全体像が明確になり、不要な在庫や滞留在庫が可視化されるからです。
企業にとってさまざまな負担となる過剰在庫を解消し、適正水準に保つことは、健全な経営を維持するための基本といえるでしょう。
ここから、棚卸時に在庫を減らすべき具体的な理由を、財務・税金、作業効率、リスク管理、経営戦略の各観点から解説します。
棚卸時に在庫を減らすべき理由:財務・税金の観点
棚卸時に在庫を減らすことは、企業の決算や税金対策に関係する重要な取り組みです。
財務・税金の観点から、棚卸時に在庫を減らす理由を解説します。
売上原価が増えて税金面で有利になるから
棚卸で在庫を減らすと、期末在庫が減少し、その分売上原価が増加します。
売上原価とは、商品を販売するためにかかった仕入れや製造のコストのことで、売上から差し引かれる費用です。
売上原価が増えれば、利益が圧縮され、結果として法人税などの税負担が軽くなる可能性があります。
もちろん、意図的に不正な在庫調整を行うことは問題ですが、不要な在庫を適正に処分・評価することは、税務上も合理的な判断といえます。
過剰在庫はキャッシュフローを悪化させるから
在庫は帳簿上では資産として計上されますが、現金そのものではありません。
過剰在庫を抱えている状態は、必要以上の現金が商品という形で倉庫に眠っていしまっている状態です。
この状況が続くと、仕入れや人件費、設備投資に使える資金が不足し、キャッシュフローが悪化します。
棚卸時に在庫を減らすことで、不要な在庫への投資を見直し、資金をより有効に使える体制を整えることが可能です。
保管コストや保険料などのコストを削減できるから
在庫を持てば持つほど、倉庫の賃料や光熱費、保険料、管理人件費などの保管コストが発生します。
保管コストは目に見えにくいものの、積み重なると大きな負担です。
棚卸を機に在庫を減らせば、こうした間接コストを削減でき、固定費の圧縮につながります。
特に長期間動いていない在庫は、コストだけを生み続ける存在になりやすいため、優先的に見直すと良いでしょう。
棚卸時に在庫を減らすべき理由:作業効率の観点
次に注目したいのが、現場の作業効率です。
在庫が多いほど、日々の在庫管理業務にかかる負担は増します。
作業効率の観点から、棚卸時に在庫を減らす理由を見ていきましょう。
棚卸作業にかかる時間と労力を削減するため
棚卸作業は、すべての在庫を数えて記録する非常に労力のかかる業務です。
在庫量が多ければ多いほど、作業時間は長くなり、担当者の負担も増大します。
通常業務を停止して棚卸に専念する場合も多く、営業機会の損失にもつながりかねません。
事前に在庫を適正水準まで削減しておくことで、棚卸作業の時間を短縮でき、本来の業務への集中が可能になります。
数える在庫数が多いとミスが増えるから
在庫数が多いほど、同じ商品を二重に数えたり、逆に数え忘れたりするリスクが高まります。
このようなミスは帳簿と実在庫の差異を生み出し、在庫管理の正確性を損なう原因です。
差異が発生すれば原因究明のための追加作業が必要になり、さらなる時間とコストがかかってしまいます。
棚卸時に在庫を適正に減らすことで、数える対象が減り、ミスの発生確率を低下させることが可能です。
倉庫内の探しもの時間やピッキング作業のムダが減るから
在庫が減って倉庫内にスペースの余裕ができると、日々のピッキング作業や入庫作業の効率も向上します。
モノが溢れかえっている倉庫では、目当ての商品を探したり、奥まで取りに行ったりする無駄が絶えません。
「必要なものが、必要なときに、すぐ取り出せる」状態を作るためには、不要な在庫を減らすことが第一歩です。
在庫を削減し整理整頓された倉庫環境は、結果として、顧客への納期短縮や顧客満足度の向上にもつながります。
棚卸時に在庫を減らすべき理由:リスク管理・品質の観点
在庫を長期間保管すると、品質劣化や陳腐化などのリスクが高まります。
また、在庫管理の行き届いていない状況は、さまざまなトラブルを招く原因です。
リスク管理と品質維持の観点から、棚卸時に在庫を減らす理由を解説します。
古い在庫を抱えるほど破損・劣化のリスクが高まるから
食品や化粧品のような期限がある商品はもちろん、工業製品や部品でも、長期保管により劣化や変質が進む可能性があります。
湿気によるサビ、紫外線による変色、ゴム製品の硬化など、時間の経過とともに品質は低下していくものです。
また、保管中の落下や衝突による物理的な破損リスクも無視できません。
棚卸時に古い在庫を確認し、早期に販売や処分を進めることで、品質劣化による損失を最小限に抑えられます。
型落ちや陳腐化による価値低下を防ぐため
物理的な劣化がなくても、商品の「市場価値」が下がる陳腐化リスクがあります。
特にトレンドの移り変わりが早いアパレル業界や、技術革新が激しい家電・IT業界などでは、型落ちや陳腐化の問題が顕著です。
発売当初は高値で売れた商品も、半年後には型落ちとなり、定価では売れなくなることは珍しくありません。
棚卸のタイミングで滞留在庫を把握し、まだ価値があるうちにセールやアウトレット販売などで早期に現金化することが重要です。
管理しきれない在庫は盗難・紛失リスクが増えるから
在庫数が管理能力の限界を超えて増えすぎると、一つひとつの商品に目が行き届かなくなります。
その結果、発生するのが「紛失」や「盗難」のリスクです。
整理整頓されていない倉庫では、商品がいつの間にかなくなっていても、次の棚卸まで誰も気づかないことは少なくありません。
特に高額な商品や転売しやすい商品を扱っている場合、在庫管理の甘さは盗難や不正持ち出しの温床となります。
棚卸時に在庫を減らし、常に把握できる適正な在庫量にしておくことで、不正やミスの兆候の早期発見が可能です。
棚卸時に在庫を減らすべき理由:経営戦略の観点
在庫管理は現場だけの問題ではなく、企業の競争力にも直結します。
経営戦略の観点から、棚卸時に在庫を減らす理由を見ていきましょう。
市場の需要変化に対応しやすい在庫管理を行うため
市場環境は常に変化しており、消費者のニーズやトレンドも刻々と移り変わっています。
過剰な在庫を抱えていると、市場の変化への柔軟な対応が困難です。
例えば、新たなトレンド商品を仕入れたくても、古い在庫でキャッシュフローが固定化されていては迅速な対応ができません。
棚卸時に在庫を適正化し、余裕を持った在庫管理を行うことで、市場の変化に敏感に反応し、早く新商品を投入するなどの戦略的な動きが可能になります。
倉庫スペースを新商品や売れ筋のために活用するため
倉庫のスペースは限られた経営資源です。
売れない商品や動きの遅い在庫が倉庫を占拠していると、本来保管すべき売れ筋商品や新商品のスペースが不足してしまいます。
棚卸によって滞留在庫を削減することで、空いたスペースを収益性の高い商品の保管に活用可能です。
倉庫スペースを単なる保管場所から、利益を生み出すための場所へと変えるためには、定期的な在庫の断捨離が欠かせません。
在庫回転率を改善し収益性を高められるから
経営分析で重視される指標の1つに「在庫回転率」があります。
これは、一定期間内に在庫がどれだけ入れ替わったか(売れたか)を示す数値で、一般的に「売上高 ÷ 平均在庫高」で計算されます。
在庫回転率が高いほど、在庫が効率よく売上に変わっており、資金が効率的に運用されているということです。
分母である「平均在庫高」を減らせば、在庫回転率は向上します。
棚卸に合わせて在庫を適正化することは、在庫回転率を高め、経営の健全性を対外的にアピールするためにも効果的な手段です。
棚卸時に在庫を減らす場合には注意点もある
ここまで棚卸時に在庫を減らすべき理由を説明してきましたが、やみくもに在庫を削減すればよいというわけではありません。
棚卸時の在庫削減には注意すべきポイントも存在します。
もっとも注意すべきは、欠品による販売機会の損失です。
在庫を絞りすぎた結果、顧客からの注文に応えられなくなれば、売上を失うだけでなく、顧客の信頼も失ってしまいます。
また、在庫削減の方法にも配慮が必要です。
値引き販売やアウトレット販売は有効な手段ですが、ブランドイメージを損なわないよう慎重に進める必要があります。
廃棄処分を選択する場合には、廃棄コストや環境への配慮にも注意が必要です。
棚卸の在庫削減は、単に在庫を捨てる場ではなく、適正なラインを再確認し、調整する取り組みであると認識しましょう。
棚卸時に在庫を減らす理由を理解したらzaico
棚卸のタイミングで在庫を減らすべき理由を、財務、効率、リスク、経営という多角的な視点から解説してきました。
在庫の削減は、節税やキャッシュフローの改善などの金銭的な理由だけでなく、現場の作業負担を減らし、会社の変化対応力を高めるためにも有効な取り組みです。
棚卸時の適正な在庫削減を実現するには、日々の正確な在庫管理が大前提となります。
日々の在庫管理の効率化には、「クラウド在庫管理システムzaico」の導入をご検討ください。
zaicoを活用すれば、スマートフォンやタブレットで簡単に入出庫記録ができ、リアルタイムで在庫数を把握できます。
在庫の動きをデータで分析することで、どの商品が滞留しているか、どこに過剰在庫があるか一目瞭然となり、適切な在庫削減策を講じることが可能です。
適切な棚卸で在庫を減らす理由を理解し棚卸しや在庫管理の改善をお考えであれば、まずはお気軽にzaicoにご相談ください。


