在庫整理とは?在庫整理の目的・やり方とスムーズに進めるポイント

在庫整理は、単に倉庫やバックヤードを片づけるだけの作業ではなく、在庫管理の精度向上やコスト削減にもつながる業務です。

在庫整理とは何かという基本から、在庫整理のやり方やスムーズに進めるポイント、役立つツールを解説します。

在庫整理とは

在庫整理とは、倉庫や保管場所にある在庫の状態を確認し、不要なものを処分したり、配置を最適化したりする活動のことです。

在庫整理は「整理」と「整頓」の両方の要素を持っています。

「整理」は、必要なものと不要なものを分け、不要なものを処分することであり、「整頓」は、必要なものを使いやすく配置することです。

これらを組み合わせることで、在庫の見える化が実現し、欠品や過剰在庫を防げます。

在庫整理と似た言葉に「棚卸」があります。

棚卸は、決算や月次締めなどのタイミングで在庫数を数え、帳簿上の数字と合わせる作業です。

一方、在庫整理は日常的に行う改善活動であり、数の照合だけが目的ではありません。

棚卸の前後に在庫整理を行うと、数え間違いや探索時間を減らせるため、両者はセットで考えると効果的です。

在庫整理の目的

なぜ時間と労力をかけてまで在庫整理を行う必要があるのでしょうか。

目的が明確であれば、優先順位をつけて作業を進められ、関係者の協力も得やすくなります。

在庫整理の目的を解説します。

不良在庫や滞留在庫の把握と処分

在庫の中には、破損・汚損・賞味期限切れなどで販売や使用ができない「不良在庫」や、長期間動いていない「滞留在庫」が紛れ込んでいます。

これらは売上や生産には貢献しないうえ、管理の手間や在庫評価額などのコストまで生み出す存在です。

在庫整理を通じて、こうした不良在庫や滞留在庫を洗い出し、適切に処分することで、無駄なコストを削減できます。

整理整頓による作業効率の向上

在庫が整理整頓されていると、必要な商品をすぐに見つけられるため、ピッキング作業や出荷作業のスピードの向上が期待できます。

逆に、乱雑に配置された在庫は、商品を探す時間が増え、作業効率の低下を招く原因です。

在庫整理というと単なる片づけに聞こえますが、実際には「作業のしやすさ」を設計する改善活動だと考えるとよいでしょう。

保管スペースの有効活用

限られた保管スペースの有効活用は、コスト削減の観点から非常に重要です。

不要な在庫を処分し、必要な在庫を効率的に配置することで、同じスペースでもより多くの商品を保管できるようになります。

結果として、倉庫増設や外部倉庫の利用を先送りできる場合もあり、コスト面でのメリットも期待できるでしょう。

在庫整理のやり方

在庫整理の目的が理解できたところで、次に実際のやり方を解説します。

いきなり手当たり次第にモノを動かし始めるのは非効率です。

紹介する在庫整理のやり方を参考に、計画的に段階を踏んで進めましょう。

担当者の役割・スケジュール決め

何事もまずは計画からです。

在庫整理を始める前に、「誰が(担当)」「いつまでに(スケジュール)」やるのかを明確に決定しましょう。

担当やスケジュールが曖昧だと、現場での判断がバラバラになり、終わりも見えにくくなります。

あらかじめ「この日までにこのエリアを完了させる」という目安を決めておくと、ダラダラと長引くことを防げます。

在庫を処分する場合は帳簿やシステムを更新

在庫整理の過程で、不良在庫を処分したり、商品の保管場所を変更したりした場合は、必ず帳簿や在庫管理システムに反映させましょう。

更新作業を怠ると、在庫データと実際の在庫状況が一致しなくなり、出荷や棚卸時に問題を引き起こす原因です。

例えば、滞留在庫を処分したのに帳簿を更新しないと、次回の棚卸時に在庫差異が発生します。

面倒に感じるかもしれませんが、この更新作業を確実に行うことが、正確な在庫整理の基本となります。

置き場所と動線の見直し

出荷や棚卸を見据えて、在庫の配置や動線を見直すことも在庫整理の重要な役割の1つです。

例えば、出荷頻度が高い商品は出荷口に近い棚にまとめ、重い商品は腰の高さ付近に配置して持ち運びの負担を減らします。

また、同じ種類の商品を同じエリアに集めたり、品番順やサイズ順に並べたりすることで、探す手間を大きく減らすことが可能です。

この際も、システム上で在庫のロケーションを管理している場合には、合わせて更新するようにしましょう。

散らからない仕組みづくり

せっかく在庫整理をしても、すぐに元の乱雑な状態に戻ってしまっては意味がありません。

整理された状態を維持するための仕組みづくりが不可欠です。

例えば、棚や商品のラベル表示を分かりやすくすると、散らかり防止につながります。

また、在庫の補充ルールや整理整頓の基準を文書化し、マニュアルとして共有すると良いでしょう。

こうした仕組みづくりまで行うことが、在庫整理の効果を長続きさせるポイントです。

在庫整理をスムーズに実施するポイント

在庫整理を効率的に進め、確実な成果を上げるためには、いくつかの重要なポイントがあります。

在庫整理をスムーズに実施するポイントを紹介します。

エリアと品目を絞って段階的に進める

すべての在庫を一度に整理しようとすると、時間も人手も足りなくなりがちです。

その結果、中途半端な状態で終わってしまい、「結局あまり変わらなかった」ということにもなりかねません。

そこで有効なのが、エリアと品目を絞って段階的に進める方法です。

一部のエリアでも在庫整理の効果が見えると、現場のモチベーションも上がり、次のエリアへの展開もスムーズになります。

整理基準を関係者で共有する

在庫整理では、「何を残し、何を処分するか」という判断が必要です。

判断基準が人によって異なると、混乱が生じたり、後から問題になったりする可能性があります。

そのため、事前に明確な基準を設定し、関係者全員で共有しておくことが重要です。

例えば、「1年間出庫のない在庫は滞留在庫とみなす」「賞味期限が残り1ヶ月を切った商品は値下げ販売する」などの基準を決めます。

判断に迷うケースは、「必ず上長に確認する」というルールも合わせて決めておくと、現場が動きやすくなるでしょう。

迷った在庫は保留エリアを設けて後で判断する

基準を決めても、「これは残すべきか、処分すべきか」「どの棚に置くのが正しいか」と迷う在庫が出てくることは珍しくありません。

こうした在庫で作業が停滞しないよう、一時的に置いておく「保留エリア」を設けると効果的です。

いったん迷いを切り離して作業を進められるため、全体のスピードが落ちません。

最後にまとめて関係者と判断すれば、手戻りも減らせます。

在庫整理に役立つツール

在庫整理を効率よく進めるには、現場の工夫だけでなくツールの活用も欠かせません。

在庫整理に役立つ代表的なツールを紹介します。

エクセルを使った在庫整理リスト

エクセルは、多くの企業で使われている身近なツールであり、在庫整理にも活用できます。

商品名や数量、保管場所、最終入出庫日、処分予定日などの項目を含む在庫整理リストを作成することで、在庫の全体像把握が可能です。

フィルター機能を使えば、「最終出庫日が1年以上前のものだけを抽出する」「特定エリアにある在庫だけを表示する」のような絞り込みも簡単に行えます。

専用システムを導入する前段階として、まずはエクセルで在庫整理の仕組みを試してみるのも有効です。

棚札・フロアマップ

棚札やフロアマップを活用すると、誰が見ても「何がどこにあるか」が一目で分かる状態を作れます。

棚札は、棚ごとに「棚番号」「エリア名」「保管する品目のカテゴリ」などを表示したものです。

商品名や品番を記載することで、誰でも正しい場所に商品を配置できるようになります。

フロアマップは、保管スペースのレイアウトを図示したものです。

エリアごとの役割や棚番号を記載しておくことで、新人や応援スタッフでもすぐに場所を把握できます。

在庫管理システム

在庫管理システムは、在庫の入出庫、在庫数、保管場所などを一元管理できる専用ソフトウェアです。

システムを使うことで在庫把握はもちろん、発注点管理や在庫分析など、高度な在庫管理が可能になります。

リアルタイムで在庫情報が更新されるため、常に正確な在庫数を把握でき在庫整理もスムーズです。

近年はクラウド型の在庫管理システムが普及し、中小企業でも初期費用を抑えながら、必要な機能だけを選んで利用できます。

在庫整理の効率化にzaico

在庫整理は、不良在庫の削減や作業効率の向上、スペースの有効活用など、多くのメリットをもたらす活動です。

しかし、在庫整理を一度実施しただけでは、時間の経過とともに在庫はまた煩雑になっていきます。

継続的に在庫を見える化し、日常の入出庫のたびに正確な記録を残していく仕組みがなければ、在庫整理の効果は長続きしません。

日頃の正確な管理で在庫整理を効率化するなら、「クラウド在庫管理システムzaico」の導入をご検討ください。

zaicoは、バーコードやQRコードをスキャンするだけで、入出庫や棚卸、在庫検索ができるので、手入力の手間やミスから解放され在庫精度が向上します。

在庫の動きをリアルタイムで把握できるため、滞留在庫の早期発見や、在庫回転率の分析など、高度な在庫管理も実現可能です。

在庫整理をきっかけに、より効率的で正確な在庫管理体制を構築したいとお考えの方は、まずはzaicoまでお気軽にご相談ください。

※記事内に記載されたzaicoのサービス内容や料金は記事公開時点のものとなり、現行の内容とは異なる場合があります