在庫管理の基本である先入れ先出し(FIFO)にエクセルが活用されているケースも少なくありません。
しかし、手作業での入力や情報の共有などの課題が生じる恐れもあります。
在庫管理の効率化を目指し、在庫管理において先入れ先出しをエクセルを使って実践する方法から、さらに一歩進んだ効率的な管理方法を確認していきましょう。
在庫管理の先入れ先出しはエクセルで可能?
在庫管理における先入れ先出し(FIFO)は、古く入庫した在庫を優先的に出庫し、品質や鮮度を保つための重要な管理方法です。
基本的な在庫管理は、エクセルを活用すれば対応できるでしょう。
なぜなら、エクセルは「入庫日」や「数量」などを表形式で整理でき、古い順に並べ替えたり、色付けなどの視覚的な工夫で在庫を見分けやすくしたりすることができるからです。
さらに、関数を使えば簡単な計算をセル内で自動処理できるため、残在庫の更新の手間が省けます。
このように、エクセルに適切な数値を入力し、それらを基に在庫管理をすれば先入れ先出しをエクセルを活用してすることは可能といえるでしょう。
在庫管理の先入れ先出しをエクセルでする方法
在庫管理の先入れ先出しをエクセルで実現するにはどうすればいいのでしょうか。
在庫管理の先入れ先出しをエクセルでする方法を確認していきましょう。
入出庫日を使ってエクセルでFIFO順に並び替える
エクセルを活用するためには、以下のような順番で操作すると良いでしょう。
リストの作成
各商品の「品目名」「入庫日」「数量」などを列として設定し、商品ごとにデータを入力します。
並べ替え機能の活用
入力したデータを選択し、「データ」タブの「並べ替え」機能を使用して、入庫日を昇順(古い順)に並べ替えます。
品目ごとの絞り込み
品目名でフィルタリングを行い、特定の品目だけを表示させることで、各品目の在庫状況を個別に確認していきます。
このような方法で整理すれば、古く入庫された商品から順に出庫するものをエクセル上で管理しやすくなるでしょう。
条件付き書式で在庫の期限やロットを可視化する
在庫の状態を一目で把握するには、エクセルの「条件付き書式」を活用してみましょう。
在庫の期限やロット番号を色分けをすれば視覚的に把握できるため、古い在庫から優先的に出荷するように促すことができます。
たとえば、次のような設定をしてみると良いでしょう。
期限が近い在庫をハイライトする
商品の入庫日や有効期限を基準に、「期限まであと30日」などの条件を設定します。
条件に合致したセルの背景色を黄色やオレンジ色に設定することで、注意喚起ができます。
さらに、「期限切れ」となったセルは赤色にすると、より見やすくなるでしょう。
ロット番号ごとに色分けする
複数のロット番号がある場合、それぞれのロット番号のセルに異なる色を割り当てます。
新しいロットには青、古いロットには緑など、視覚的なルールを設けることで、どの在庫が古いかを一目で判断できるようになるでしょう。
このような形で条件付き書式を利用すれば、手動でチェックする手間が省け、ミスの防止にもつながります。
関数を活用して在庫の自動計算・更新を行う
エクセルで在庫を自動計算・更新するには、SUMIF関数やSUMIFS関数が役立ちます。
関数は、特定の条件に合ったセルの値を合計してくれるため、入出庫のデータを集計するのに最適です。
例えば、商品の「入出庫履歴」シートに品目名と数量を入力しておけば、「在庫一覧」シートではSUMIF関数を使って、各商品の入庫数と出庫数を自動で集計できます。
数式の例:=SUMIF(入出庫履歴!A:A, “ペン”, 入出庫履歴!C:C)
上記の数式は、「入出庫履歴」シートのA列にある「ペン」の入庫数を合計してくれます。
さらに、在庫切れを防ぐためにはIF関数と条件付き書式を組み合わせると良いでしょう。
例えば、IF関数で「在庫数が特定の数値を下回ったら」という条件を設定し、「要発注」といった警告を表示させることもできます。
この警告が表示されたセルの色を条件付き書式で変えておけば、視覚的に在庫が少なくなっていることをすぐに把握することが可能です。
このように、エクセルの条件付き書式を活用することで、視覚的に管理しやすくなるでしょう。
在庫管理の先入れ先出しをエクセルでする課題
エクセルは手軽に在庫管理を始められますが、先入れ先出しを徹底するにはいくつかの課題があります。
在庫管理の先入れ先出しをエクセルでする課題を確認していきましょう。
リアルタイム性が不足する
エクセルでの在庫管理は、手動入力が基本となるため、リアルタイムな在庫状況の把握が難しいでしょう。
入出庫のたびに手動でデータを更新しなければならず、現場の在庫数とエクセル上のデータにタイムラグが生じやすいのです。
特に、取引が多い場合や複数の担当者が同時に作業する状況では、ズレが原因で在庫切れや過剰発注などの問題が起こりやすくなります。
更新忘れや記入ミスが起こりやすい
手作業でデータを入力する以上、更新忘れや記入ミスは避けられないかもしれません。
数量の入力間違いや日付の入力漏れといったヒューマンエラーは、最終的な在庫数に大きな誤差を生じる恐れがあります。
こうしたミスが積み重なると、正確な先入れ先出しが困難になり、原因を探すのにも余計な時間がかかってしまうでしょう。
複数拠点や複数人での在庫管理が困難になる
エクセルは、一つのファイルを複数人で同時に編集することが難しいという課題があります。
ファイルを共有して使う場合、誰かが編集していると、他の人が作業できなかったり、誤ってデータを上書きしてしまったりするリスクがあるのです。
特に、複数の拠点がある企業では、最新のファイルがどれかわからなくなるなどの混乱が生じやすく、一元的な在庫管理が難しいでしょう。
引き継ぎや棚卸しが非効率になる
エクセルで作られた在庫管理表は、作成者によってフォーマットやルールが異なるため、引き継ぎがスムーズに進まない恐れがあります。
例えば、新任の担当者がその表の仕組みを理解するまでに時間がかかることも考えられます。
また、定期的な棚卸しの際、手作業で数えた実在庫数とエクセルのデータが一致しない場合に、正確な先入れ先出しが困難になり、在庫管理全体の信頼性も損なってしまうでしょう。
在庫管理の先入れ先出しをエクセル以外で効率化する方法
在庫管理の先入れ先出しにエクセルを活用することはメリットもある一方で、課題も多い方法です。在庫管理の先入れ先出しをエクセル以外で効率化する方法を確認していきましょう。
バーコードやQRコードを使って自動化する
バーコードやQRコードを活用すると、在庫管理の作業の大幅な効率化が期待できます。
例えば、商品の入出庫時にバーコードリーダーやスマートフォンのカメラで読み取るだけで、データが自動的にシステムに登録されるため、手動入力の手間がなくなるのです。
入力ミスや更新忘れといったヒューマンエラーを防ぐことができるでしょう。
また、読み取りと同時にデータが更新されるため、常に最新の在庫数がシステムに反映されます。
在庫の増減が可視化されることで、発注のタイミングを逃すことなく、欠品や過剰在庫を防ぐことにもつながります。
スマホ・タブレットなどのモバイル端末を使用する
スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を在庫管理に活用することで、時間や場所にとらわれずに作業できるようになるでしょう。
特に棚卸し作業では、モバイル端末のカメラを使ってバーコードやQRコードを読み取り、数値を直接入力できるため、紙のリストとパソコンを往復する手間がなくなります。
複数の担当者が同時に作業した場合もデータはリアルタイムに同期されるため、効率的に作業を進めることができるでしょう。
また、モバイル端末は操作しやすい場合が多く、新しい担当者が取り組む際、スムーズに使い方を習得できるというメリットもあります。
引き継ぎの手間も軽減されるため、業務の効率化に役立ちます。
在庫管理システムを活用する
在庫管理システムは、先入れ先出しを自動的に管理するための機能が充実しています。
上記で説明したバーコードやQRコードの読み取り機能はもちろん、有効期限やロット番号に基づいた出庫指示を自動で行う機能も備えています。
また、システムによっては、複数の拠点や倉庫の在庫を一元管理できる機能も搭載しています。
各拠点の担当者が入力したデータはリアルタイムで共有されるため、全体の在庫状況を本社で一括して把握することが可能です。
なお、スマホ・タブレットなどのモバイル端末に在庫管理システムを導入すれば、倉庫内を移動しながら入出庫や棚卸し作業ができ、時間や場所にとらわれない効率的な在庫管理を実現できます。
このようにリアルタイム性、正確性、複数拠点での共有、業務の効率化を実現を目指すためには、在庫管理システムの活用が有効な手段といえるでしょう。
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エクセルでの在庫管理は手軽に始められますが、先入れ先出しを徹底するには多くの課題があります。
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手作業による入力ミスを防ぎ、リアルタイムで在庫状況を可視化することが可能です。
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