棚卸と在庫管理の違いはどのようなものなのでしょうか。
どちらも在庫に関わる業務ですが、実は目的も作業内容も大きく異なります。
棚卸と在庫管理の違いを明確にし、在庫業務をスムーズに進めるポイントを解説します。
棚卸と在庫管理の違いとは
棚卸と在庫管理は、どちらも企業の在庫を適切に扱うための重要な業務ですが、その性質は異なります。
簡単に言えば、「在庫管理」は日々継続的に行う在庫の管理活動全般のことであり、「棚卸」は定期的に実施する在庫数の確認作業のことです。
両者は密接に関連していますが、実施する目的、頻度、作業内容がそれぞれ異なるため、それぞれの特徴の正しい理解が欠かせません。
棚卸と在庫管理の違いを目的、頻度・タイミング、作業内容という観点から詳しく見ていきましょう。
棚卸と在庫管理の違い:目的の違い
まずは、「そもそも何のためにやるのか」という目的の違いに焦点を当てて見ていきましょう。
目的の明確化により、なぜそれぞれの業務が必要なのかが見えてきます。
棚卸と在庫管理の違いを目的の違いから確認していきましょう。
棚卸の目的
棚卸の主な目的は、帳簿上の在庫数と実際の在庫数の一致を確認することです。
日々の入出庫記録がどれほど正確に行われていても、記入ミスや商品の破損、紛失などにより、帳簿と実在庫にズレが生じることがあります。
棚卸によってこのズレを発見し、正確な在庫数の把握をすることが可能です。
また、棚卸は会計上の重要なイベントでもあります。
在庫は企業の資産として計上されるため、決算時の棚卸による正確な在庫把握は、適正な財務諸表を作成するためにも欠かせない作業です。
在庫管理の目的
在庫管理の目的は、ひと言でいうと必要なモノを、必要な量だけ、必要なタイミングで用意できる状態を保つことです。
棚卸が「実態の確認」だとすれば、在庫管理は「日々のコントロール」であるといえます。
在庫管理は、営業や生産の計画とも深く関わる業務です。
例えば、売れ筋商品の在庫が足りないと売上の機会を逃し、逆に売れない商品の在庫を抱えすぎると倉庫を圧迫し、キャッシュフローが悪化します。
こうしたリスクを減らし、会社全体の利益を守るのが在庫管理の役割です。
棚卸と在庫管理の違い:頻度・タイミングの違い
次に、「どれくらいの頻度で、いつ行うのか」という観点から違いを見ていきます。
棚卸と在庫管理の違いを頻度・タイミングの違いから確認していきましょう。
棚卸の頻度・タイミング
棚卸は一般的に、「決まったタイミングにまとめて行うイベント」です。
多くの企業では、決算期に合わせて年に1回または2回実施する「定期棚卸」が行われます。
決算棚卸とも呼ばれ、財務諸表作成のために必須の作業です。
ただし、企業によっては月次や四半期ごとに棚卸を実施する場合もあります。
また、すべての在庫を一度に数える「一斉棚卸」ではなく、在庫を複数のグループに分けて継続的に実施する「循環棚卸」という方法もあります。
いずれにしても、棚卸は定期的なスケジュールに基づいて計画的に実施されるのが特徴です。
在庫管理の頻度・タイミング
在庫管理は、棚卸とは対照的に「日々、継続的に行う業務」です。
商品の入荷があれば在庫を追加し、出荷があれば在庫を減らすという記録作業は、毎日欠かさず実施する必要があります。
「忙しいから後でまとめて入力しよう」と後回しにすると、その間に別の担当者が在庫を持ち出してしまうかもしれません。
そうなると、「データ上は在庫があるはずなのに、現物がない」というトラブルを招く原因です。
日々の現場でのこまめな在庫情報の更新が、棚卸を楽にすることにもつながります。
棚卸と在庫管理の違い:作業内容の違い
最後に、「具体的に何をする作業なのか」という視点から、棚卸と在庫管理の違いを確認しましょう。
作業の違いを理解することで業務をスムーズに進められるようになります。
棚卸と在庫管理の違いを作業内容の違いから確認していきましょう。
棚卸の作業内容
棚卸の作業は、倉庫や店舗内にある在庫を実際に数えて、帳簿上の数量と照合する作業が中心です。
具体的には、棚卸表やカウントリストを用意し、商品を一つひとつ確認しながら実在庫数を記録していきます。
複数のスタッフで作業を分担するケースが多く、数え間違いを防ぐためにダブルチェックを行うことも一般的です。
カウント作業が完了したら、帳簿上の在庫数と実際の在庫数を比較し、差異がある場合はその原因を調査し、帳簿を修正して正確な在庫数に更新します。
棚卸は、通常業務を一時停止して集中的に実施することも多く、時間と労力を要する作業です。
在庫管理の作業内容
在庫管理は、日々の在庫の動きを記録・管理しながら、「適正在庫」を保つために判断と調整を行う作業です。
まず、商品の入荷時には検品を行い、数量や品質を確認したうえで在庫データに登録します。
出荷時には、出荷指示に基づいて商品をピッキングし、在庫データから差し引く記録作業を行います。
また、在庫の保管場所の適切な管理も重要な作業です。
商品の種類やサイズ、出荷頻度に応じて保管場所を決め、誰でもすぐに商品を見つけられるようにロケーション管理を行います。
在庫管理システムや帳簿を使って、これらの情報を日々記録・更新し、常に最新の在庫状況を把握できる状態に維持することが重要です。
棚卸と在庫管理の違い:両方が重要な理由
ここまで棚卸と在庫管理の違いを見てきましたが、どちらか一方だけを行えばよいというものではありません。
両方を適切に実施することで、初めて正確で効率的な在庫業務が実現します。
在庫管理を日々しっかりと行っていても、人為的なミスや予期せぬトラブルによって、帳簿と実在庫にズレが生じる可能性はゼロにはできません。
定期的な棚卸を行うことで、このズレを発見し、在庫データをリセットして正確性を保つことが可能です。
棚卸は、在庫管理の精度を検証し、修正するための重要なチェックポイントになります。
一方、棚卸だけを年に数回実施するのでは、日常的な在庫の動きを把握できず、欠品や過剰在庫などの問題を防ぐことはできません。
日々の在庫管理があってこそ、適切な在庫量を維持し、業務をスムーズに進められます。
在庫管理と棚卸は相互に補完し合う関係にあり、両方を組み合わせることで、正確性と効率性を両立した在庫業務が実現するのです。
棚卸と在庫管理の違いから考える効率化のポイント
棚卸と在庫管理を効率的に行うためには、日々の業務の進め方に工夫が必要です。
棚卸と在庫管理の違いを理解したら、実践したい効率化のポイントを確認していきましょう。
日々の在庫管理が正確なら棚卸は楽になる
棚卸作業を効率化するポイントは、日々の在庫管理を正確に行うことです。
入出庫のたびに確実に記録し、在庫データを常に最新の状態に保っていれば、棚卸時の帳簿と実在庫の差異が少なくなります。
差異が少なければ、原因調査や修正作業にかかる時間も短縮でき、棚卸全体の負担が軽減されます。
また、日頃から在庫の置き場所を整理整頓し、ルール化しておくことも重要です。
どこに何があるかが明確であれば、棚卸時のカウント作業もスムーズに進みます。
在庫管理の精度が高ければ、棚卸は単なる確認作業となり、短時間で完了させることが可能です。
棚卸結果を在庫管理の改善につなげる
棚卸で発見された差異は、単に修正して終わらせるのではなく、在庫管理の改善に活かすことが大切です。
差異の発生原因の分析により、在庫管理上の問題点が見えてきます。
もし、特定の商品で頻繁に差異が出るのであれば、その商品の管理方法に課題があるかもしれません。
差異の傾向を把握し、必要に応じて管理ルールを見直したり、スタッフへの教育を強化したりすることで、次回の棚卸ではより少ない差異を目指せます。
このように、棚卸と在庫管理を連携させることで、継続的な改善サイクルを回すことが可能です。
在庫管理システムを導入する
棚卸と在庫管理の両方を効率化するには、在庫管理システムの導入が効果的です。
バーコードやQRコードスキャンを活用すれば、入出庫や棚卸時の記録をリアルタイムで行え、手作業による記入ミスを大幅に減らせます。
また、システム上で帳簿在庫と実在庫を簡単に比較でき、差異があればすぐに発見できるため、棚卸作業の時間短縮も可能です。
近年はインターネット経由で手軽に利用できるクラウド型の在庫管理システムが広がっており、中小企業でも導入しやすくなっています。
初期費用や月額利用料はかかりますが、人件費やミスの削減によるコスト効果が期待できるでしょう。
棚卸と在庫管理の違いを理解したらzaico
棚卸と在庫管理の違いを、「目的」「頻度・タイミング」「作業内容」という視点から解説しました。
棚卸は「実在庫と帳簿在庫が合っているかを確認する定期イベント」であり、在庫管理は「日々の入出庫を記録し、適正在庫を維持するための継続的な業務」です。
両方をバランスよく行うことで、在庫の精度が高まり、欠品や過剰在庫のリスクを減らせます。
棚卸と在庫管理の業務を効率化したいとお考えなら、「クラウド在庫管理システムzaico」の導入をご検討ください。
zaicoは、スマホやタブレットでバーコードやQRコードを読み取るだけで、簡単に入庫・出庫・棚卸の記録ができます。
「どのユーザーがいつどの在庫を動かしたか」という履歴も残るので、棚卸差異の原因究明にも役立ちます。
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