在庫管理を行っていると、帳簿上の数値と実際の在庫数が合わないことはよく起こる問題です。
在庫のズレと聞くと、在庫が足りない「欠品」を思い浮かべることが多いかもしれませんが、逆に「帳簿在庫より実在庫が多い」というケースも少なくありません。
帳簿在庫より実在庫が多い状態になる原因を明らかにし、帳簿在庫より実在庫が多い状態になる問題点と効果的な対策方法をわかりやすく解説します。
帳簿在庫より実在庫が多い状況とは?
帳簿在庫より実在庫が多い状況とは、システムや在庫管理台帳に記録されている数量よりも、倉庫や店舗に実在する在庫の数量が上回っている状態を指します。
本来、適切な在庫管理が行われていれば、帳簿在庫と実在庫は一致しているはずです。
しかし、何らかの理由で入出庫の動きが正確に帳簿へ反映されなかった場合、「帳簿在庫<実在庫の数」という状態になってしまうことがあります。
これを、「ないはずの商品があるのだから、損はしていないのではないか?」と安易に考えるのは危険です。
実在庫が帳簿在庫を上回る状況は、管理体制の不備や業務プロセスの問題に起因する場合が多く、放置すれば経営に悪影響を与える可能性があります。
原因と対策を正しく理解し、正確な在庫管理を実現することが大切です。
帳簿在庫より実在庫が多い状態になる原因
実在庫が帳簿在庫を上回ってしまう背景には、必ず何らかの原因が存在します。
帳簿在庫より実在庫が多い状態になる原因を解説します。
入出庫時の計上漏れや誤記入
もっともよくある原因は、在庫品の入庫時や出庫時に、その増減数を帳簿に正しく反映できていない計上漏れや誤記入です。
例えば、商品が到着した際、納品書を確認して帳簿に数量を記録する処理を忘れたり、後回しにしたりすることで計上漏れが発生します。
また、受け取った数量が100個なのに帳簿には10個と誤って記入してしまった場合も、実在庫が多くなるでしょう。
出庫時にも、在庫を減らす処理を忘れたり、実際より少なく記入したりした場合には、結果的に実在庫が多い状態になります。
このように、入庫時の「入れ忘れ」だけでなく、出庫時の「出し間違い」も、実在庫が帳簿を上回る原因です。
伝票処理のタイムラグと締め日のズレ
伝票処理のタイムラグと締め日のズレも、帳簿在庫と実在庫の差異を生み出す原因の1つです。
実際の入庫作業は当日中に完了していても、伝票の起票やシステムへの入力が翌日以降になることは珍しくありません。
このタイムラグが存在する状態で月末や期末の棚卸しを行うと、物理的には倉庫に商品が存在しているにもかかわらず、帳簿上はまだ計上されていないという状況が発生します。
このように、モノが動くタイミングと帳簿が更新されるタイミングのズレが、一時的、あるいは慢性的な在庫差異を引き起こす原因です。
返品・キャンセル品の戻し入れ忘れ
意外に見落とされがちなのが、イレギュラーな業務フローである「返品」や「注文キャンセル」の処理ミスです。
顧客からの返品や取引先のキャンセルによって戻ってきた場合、倉庫に商品が戻っていても、帳簿上で在庫を増やす処理を忘れてしまうことがあります。
通常の出荷フローは運用が徹底されていても、返品やキャンセル対応は頻度が低いこともあり、ルールが甘くなりがちです。
再販売可能な商品が返品されて倉庫に戻った際に、帳簿の更新を忘れてしまうと、実在庫が多い状態を招いてしまいます。
帳簿在庫より実在庫が多いと生じる問題
帳簿在庫より実在庫が多い状況は、一見すると在庫が足りないわけではないため緊急性が低いように感じられるかもしれません。
しかし、この状態が続くことで企業経営にさまざまな悪影響を及ぼします。
帳簿在庫より実在庫が多いと生じる問題を解説します。
発注の判断を誤るリスクがある
在庫管理の重要な目的は、適切なタイミングで適切な量を発注し、在庫切れを防ぐことです。
しかし、帳簿在庫が正確でなければ、この発注判断が狂ってしまいます。
例えば、実際には倉庫に100個の商品があるのに、帳簿上の在庫が10個になっているケースを想像してみてください。
発注担当者は帳簿を見て在庫が足りないと判断し、追加で発注をしてしまうでしょう。
その結果、本来なら発注する必要がなかった商品が届き、在庫がさらに積み上がることになります。
このように、帳簿と実在庫がズレていると発注の判断ミスを招いてしまいます。
販売機会を逃す可能性がある
一見矛盾するように聞こえますが、帳簿在庫より実在庫が多い状況は、販売機会を逃すことにもつながります。
例えば、ECサイトの場合を考えてみましょう。
倉庫には商品があるのに、システム上の在庫が「0」になっていれば、ECサイト上では「売り切れ」と表示されます。
結果、お客様がその商品を欲しいと思っても購入できず、他店へ流れていってしまうでしょう。
また、BtoBの現場でも同様に、営業担当者が取引先から「この商品はすぐに納品できるか?」と聞かれた際、システムを見て「在庫切れです」と答えてしまえば、そこで商談は終了です。
これらは、在庫があるのにもかかわらず販売できないという、大きな機会損失です。
過剰在庫によりキャッシュフローが悪化する
帳簿在庫より実在庫が多い状態が続くと、気付かないうちに過剰在庫を抱えることになり、キャッシュフローの悪化を招きます。
帳簿上は適正な在庫数でも、実際には必要以上の在庫を保有している状態は、その分の運転資金が在庫という形で固定化されているということです。
本来であれば、売れる商品や成長分野への投資、借入金の返済などに回せたはずの資金が、在庫に変わってしまうことで、会社の手元資金は減少するでしょう。
実在庫が帳簿より多い状態は、会社のお金を無駄に眠らせている状態といえるのです。
帳簿在庫より実在庫が多い問題への対策
ここまで見てきたように、実在庫が帳簿在庫を上回る状況は多くのリスクをはらんでいます。
では、この問題を解消し、正確な在庫管理を実現するためにはどうすればよいのでしょうか。
帳簿在庫より実在庫が多い問題への対策を紹介します。
入出庫時の記帳ルール徹底
入出庫時の記帳ルール徹底は、帳簿在庫と実在庫の差異を防ぐ最も基本的かつ重要な対策です。
「後でまとめて記録する」という習慣は記録漏れの最大の原因となるため、入庫作業と記帳作業をセットで行うことをルール化します。
返品やキャンセル品の戻し入れについても、通常の入庫とは別の明確な処理フローを定め、担当者が迷わず正確に記録できる仕組みを作りましょう。
ルールを明確にし、担当者への教育を定期的に行うことで、記入漏れや計上漏れを最小限に抑えられます。
ダブルチェック体制の確立
人為的なミスを完全になくすことは難しいですが、ダブルチェック体制の確立により、発見し修正する仕組みを作ることは可能です。
例えば、1人の担当者が入庫処理を行った後、別の担当者が記録内容と実物を照合して確認するという二重チェックの仕組みを導入します。
人員的に常に二人体制をとるのが難しい場合は、時間を空けて自分で再確認したり、重要な高額商品や動きの激しい商品に絞ってダブルチェックを行なったりするなど、現場の状況に合わせて対応するのも良いでしょう。
ミスを個人の責任にするのではなく、「ミスは起きるもの」という前提に立ったチェック体制の構築が重要です。
定期的な棚卸しの実施
日々の入出庫管理をどれだけ厳格に行っても、時間の経過とともに小さなズレは必ず生じます。
このズレが雪だるま式に大きくなる前に修正するために必要なのが、定期的な棚卸しです。
多くの企業では決算期に合わせて年1回や半期に1回の棚卸しを実施していますが、それだけでは差異の発見が遅れ、問題が拡大する恐れがあります。
対策として、月次や四半期ごとの棚卸しや、日常的に一部の商品を対象とした循環棚卸し(サイクルカウント)を実施すると、在庫精度を高い状態に保てます。
実在庫が多いという事態も、早期に発見できれば、誤発注や機会損失を最小限に食い止めることが可能です。
在庫管理システムの活用
ここまでの対策を行なっても、手書きの伝票やエクセルへの手入力に頼っていると、記入ミスや入力漏れ、タイムラグなどの問題はなかなか減らせません。
根本的な解決を目指すなら、在庫管理システムの導入が近道です。
バーコードやQRコードを使った入出庫管理を導入すれば、商品をスキャンするだけで帳簿に記録されるため、記入漏れや誤記入のリスクを削減できます。
また、入庫予定データと実際の入庫データを照合する機能や、伝票未処理のアラート機能を持つシステムであれば、処理漏れを防ぐことも可能です。
近年ではクラウド型で安価に、かつ手軽に導入できるサービスが増えているため、予算に制約のある中小企業でも検討してみる価値はあるでしょう。
帳簿在庫より実在庫が多い問題の解消にzaico
帳簿在庫と実在庫のズレは、単なる数字の違いではなく、企業の収益や信用に影響する問題です。
実在庫が多い状態を放置すれば、不要な在庫を抱え込んでキャッシュフローを悪化させるうえ、販売機会を逃すことにもつながります。
しかし、手入力によるミスや処理のタイムラグなどの原因をマンパワーで解決しようとすると、現場の負担が増して新たなミスを誘発しかねません。
ITの力を活用して帳簿在庫より実在庫が多い問題の解決を図るなら、「クラウド在庫管理システムzaico」の導入をご検討ください。
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