棚卸表をスプレッドシートで作る方法とメリット・デメリット

棚卸作業は、在庫状況を正確に把握するために欠かせません。

業務効率化のために棚卸表の作成などをデジタル化したいけれど、何から始めればいいか分からない方も多いのではないでしょうか。

そんなときに便利なのがGoogleスプレッドシートを利用した棚卸表の作成です。

無料で使えるGoogleスプレッドシートで棚卸表を作る方法から、棚卸表をスプレッドシートで作るメリット・デメリット、さらなる効率アップの秘訣をわかりやすく解説します。

棚卸表はスプレッドシートで作れる?

棚卸表はスプレッドシートで十分に作成が可能です。

棚卸表の主な役割は、「いつ(棚卸日)」「どこに(保管場所)」「何を(品目)」「いくつ(数量)」在庫として持っているかを記録し、棚卸資産額を正確に把握することです。

エクセルやGoogleスプレッドシートのような表計算ソフトは、棚卸データを一覧で管理し、関数を使って集計・計算を行う機能を持ち、棚卸表の作成と運用に適しています。

特に小規模な事業者や、在庫管理を始めたばかりの企業にとって、スプレッドシートは手軽に導入できる選択肢といえるでしょう。

ただし、業務規模が拡大するとスプレッドシートでは業務に限界が見えてくる点には注意が必要です。

まずは棚卸表をスプレッドシートで作る方法とメリットを理解し、その後でデメリットや、より高度な管理方法も検討していきましょう。

棚卸表をスプレッドシートで作る方法

棚卸表の作成は、大きく分けて「項目の洗い出し」「フォーマット作成」「計算の自動化」「入力補助機能の活用」という4つのステップで進めます。

スプレッドシートを使った棚卸表の作成方法を見ていきましょう。

棚卸表に必要な項目を洗い出す

まず、棚卸表にどのような情報が必要かを整理します。

棚卸する商品や業務フローによって項目は異なりますが、一般的に以下の項目を入れておくと良いでしょう。

  • 商品コード
  • 商品名
  • カテゴリ
  • 単位
  • 帳簿在庫数
  • 実地棚卸数
  • 差異
  • 単価
  • 在庫金額

帳簿在庫数とは、システムや台帳上で管理されている理論上の在庫数のことで、実地棚卸数は実際に倉庫や店舗で数えた数量を指します。

これらの項目をベースに、自社で管理したい情報を追加・削除して最適化しましょう。

スプレッドシートでフォーマットを作成する

必要な項目が決まったら、Googleスプレッドシートでフォーマットを作成します。

Googleスプレッドシートは、Googleアカウントを作ると誰でも無料で利用できます。

1行目に項目名を入力し、2行目以降にデータを記録していく形式が一般的です。

商品コードや商品名など、情報を識別しやすいよう、重要な列を左側に配置するなど、入力者が迷いにくいシンプルなレイアウトを心がけましょう。

1度丁寧にフォーマットを作っておき、定期的な棚卸の際にシートをコピーして使うようにすると、手間が省けます。

関数を使って計算を自動化する

Googleスプレッドシートの大きな強みは、関数による計算の自動化です。

手計算によるミスを防ぎ、作業時間を短縮するために、積極的に関数を活用しましょう。

例えば、「差異」列には「実地棚卸数-帳簿在庫数」という式を入力し、在庫の過不足を自動で算出します。

また、「在庫金額」列には「実地棚卸数×単価」という式を設定し、各商品の在庫評価額を計算します。

さらに、SUM関数を使って在庫金額の合計を算出したり、COUNTIF関数で差異がある商品の件数をカウントしたりすることも可能です。

プルダウンリストや条件付き書式を活用する

入力ミスを防ぎ、データの視認性を高めるために、入力補助機能も活用しましょう。

「カテゴリ」や「単位」など、入力する内容がある程度決まっている項目には、プルダウンリスト(ドロップダウンリスト)を設定するのがおすすめです。

また、「条件付き書式」も便利な機能です。

例えば、「差異」の列で、値が0でない(差異が発生している)セルに自動で色を付けるように設定すれば、問題のある項目を瞬時に見つけ出せます。

これにより、差異の原因調査を迅速に開始することが可能です。

棚卸表をスプレッドシートで作るメリット

Googleスプレッドシートを使った棚卸管理には、コスト面や柔軟性など多くのメリットがあります。

棚卸表をスプレッドシートで作るメリットを解説します。

コストをかけずにすぐ始められる

GoogleスプレッドシートはGoogleアカウントさえあれば無料で利用できます。

高価な専用ソフトやシステムの導入費用、月額の利用料などが一切不要なため、予算が限られている場合でもすぐに始められる点が大きなメリットです。

特にスタートアップ企業や個人事業主、小規模店舗など、予算が限られている場合には有力な選択肢となるでしょう。

自社に合わせて柔軟にカスタマイズできる

Googleスプレッドシートは汎用性が高く、自社の業務フローに合わせて柔軟にカスタマイズできる点も魅力です。

必要な項目を追加したり、不要な列を削除したり、計算式を変更したりと、運用しながら改善を重ねられます。

標準的なシステムでは対応できない、きめ細かな管理を実現したい場合には、有効な選択肢となるでしょう。

複数人で共有・編集できる

Googleスプレッドシートはクラウドベースのツールであるため、複数人での共有と同時編集が可能です。

共有設定を行うだけで、関係者はリアルタイムで同じシートにアクセスし、各自が担当する場所の在庫数を入力していくことができます。

棚卸作業は、複数のスタッフが同時に行うことが多いため、共有・編集機能はたいへん有効です。

バックアップや変更履歴が自動で保存される

Googleスプレッドシートで行った編集は、すべて自動でクラウド上に保存されます。

そのため、PCの故障や誤った上書き保存によって、大切なデータが消えてしまうリスクを防ぐことが可能です。

また、「変更履歴」機能で「いつ」「誰が」「どのセルを変更したか」を追跡できるため、入力ミスやデータの不整合が発生した際の原因究明にも役立ちます。

棚卸表をスプレッドシートで作るデメリット

手軽で便利なGoogleスプレッドシートですが、棚卸を続けていくうえでいくつかのデメリットや限界があることも無視できません。

スプレッドシートでの棚卸表を運用するデメリットを解説します。

入力漏れや転記ミスのリスクがある

スプレッドシートでの棚卸は、基本的に手入力に頼ることになります。

そのため、どうしても数字の打ち間違いや入力する行のズレ、入力漏れなどのヒューマンエラーが発生するリスクを避けられません。

プルダウンや条件付き書式で対策は可能ですが、根本的なミスを防ぐのは困難です。

スマートフォンでは使いにくい

棚卸作業は、倉庫や店舗のバックヤードなど、パソコンが使いにくい場所で行われることがほとんどです。

スマートフォンやタブレットのアプリでもスプレッドシートを編集できますが、画面が小さく、操作性は決して良いとはいえません。

結局、現場では紙とペンに頼り、事務所に戻ってからPCで入力するという非効率なフローになりがちです。

データ量が増えると動作が重くなる

スプレッドシートは、データ量が増えるにつれて動作が遅くなる傾向があります。

特に複雑な関数を多用している場合や、複数のシートを参照している場合に顕著です。

過去の棚卸データを蓄積していくと、ファイルサイズがどんどん大きくなり、快適な作業環境の維持が難しくなるでしょう。

定期的にファイルを分割するなどの対策が必要になりますが、これも管理の手間を増やす要因となります。

棚卸表の管理が属人化しやすい

スプレッドシートは自由度が高い反面、作成者の設計思想やスキルによって使い勝手が大きく異なります。

関数の組み方やシートの構成、データの持ち方などが作成者独自のルールになりがちで、管理が特定の人物に依存する「属人化」を招くことが珍しくありません。

もし作成者が異動や退職をしてしまうと、棚卸表の維持管理ができなくなり、最悪の場合、業務が滞ってしまうリスクがあります。

棚卸表はスプレッドシートより在庫管理システムが良い理由

ここまで見てきたようなデメリットが顕在化し、スプレッドシートでの運用に限界を感じ始めたら、それは「在庫管理システム」への移行を検討するサインです。

スプレッドシートの棚卸表から在庫管理システムに移行するメリットを解説します。

バーコードやQRコードのスキャンで簡単に入力できる

多くの在庫管理システムでは、スマートフォンやハンディターミナルを使って、バーコード・QRコードをスキャンするだけで簡単に棚卸の登録ができます。

これにより、手入力による打ち間違いや入力漏れなどのヒューマンエラーを大幅に減らすことが可能です。

作業時間も劇的に短縮され、棚卸の精度と効率が飛躍的に向上します。

スマートフォンを使って現場でスムーズに入力できる

在庫管理システムの多くは、モバイル端末に最適化されたスマートフォン向けのアプリを提供しています。

スマートフォンアプリなら、倉庫や店舗を歩き回りながら、その場でスキャンして数量を入力するだけで、データがリアルタイムで反映可能です。

これにより、最も手間のかかる「実地棚卸し」の工程がスムーズになり、担当者の負担が大きく軽減されます。

データ量が増えてもスムーズに動作する

在庫管理システムは、大量のデータを高速で処理できるよう設計されたデータベース上で動作しています。

そのため、棚卸対象のデータが増えても、スプレッドシートのように動作が重くなることはありません。

いつでも快適な操作性を維持できるため、事業の成長によってシステムが足かせになる心配がなく、長期的に安心して利用し続けられます。

ベンダーがメンテナンスするので属人化の心配がない

在庫管理システムは、開発元であるベンダーが責任を持ってシステムの維持管理やアップデートを行ってくれます。

操作方法が分からないときや、トラブルが発生した際には、サポートデスクに問い合わせることも可能です。

スプレッドシートで起こりがちだった「属人化」のリスクがなく、安定した業務運用が実現できます。

棚卸表のスプレッドシートでの運用に限界を感じたらzaico

スプレッドシートは、棚卸表の運用をコストをかけずに始められる優れたツールです。

一方で、手入力によるミスやスマートフォンでの使いにくさ、データ増加による動作の遅延など、スムーズな棚卸を妨げかねない課題も抱えています。

スプレッドシートでの棚卸表に限界を感じているなら、「クラウド在庫管理システムzaico」をご検討ください。

zaicoは、スマートフォンアプリでバーコードやQRコードをスキャンするだけで、棚卸登録できます。

棚卸はもちろん、日々の入出庫管理や発注点の管理まで、在庫に関するあらゆる業務の効率化が可能です。

棚卸表のスプレッドシートでの運用に限界を感じていたり在庫管理システムの利用をご検討であれば、ぜひzaicoまでお気軽にご相談ください。

※記事内に記載されたzaicoのサービス内容や料金は記事公開時点のものとなり、現行の内容とは異なる場合があります